学部・大学院 教員詳細

末弘 美樹(すえひろ みき)
- 職名
- 教授
- 担当分野
- 言語文化論、多文化共生論、異文化接触研究、社会学、教育学
- 学位
- 博士(言語文化学) 、修士(言語文化学)、修士(社会学)、Ed. M (Bilingual Education/教育学修士・バイリンガル教育)
- 研究キーワード
- 言語文化教育、複言語・複文化、異文化マネジメント、多文化共生、異文化接触、アイデンティティ
研究内容
私は言語文化学を専門とし、言語や文化のソフトパワーとしての役割を研究しています。異文化接触や多言語環境における言語的・文化的ダイナミクスのメカニズムと、その相互作用が世界や社会、人々に及ぼす影響に強い関心を持っています。そして、複言語・複文化主義の理念に基づき、多文化共生社会の基盤づくりに取り組んでいます。
研究紹介(異文化接触研究×海外研修)
日本文化や社会の中で形成された個のアイデンティティが、異文化との接触を通じて、どのように変化していくのかというテーマを中心に研究してきました。具体的には、高校や大学で留学経験を持つ日本人を対象に、国内外での教育環境や母子関係に焦点を当て、ライフヒストリーの分析を通じて、アイデンティティ変容のプロセスとその特徴を明らかにしてきました。
これらの知見を基盤として、海外研修プログラムを交流先大学の教員と一緒に時間をかけて設計・実施してきました。目標言語学習や文化体験に加え、当該海外研修は、参加学生に異なる文化・社会的背景を持つ人々と協働する経験をさせるために、海外の現地大学生とペアを組ませ、一緒に様々な科目の大学講義を受けさせたり、共同研究やプレゼンテーションを行なわせたりする機会を提供しました。学生は文化・社会的背景が異なる人と協働する中で、深い異文化接触を経験し、直接的な対話を通じて多様な価値観を体験的に理解することができました。それにより自己を省察し、自らのアイデンティティを再構築する契機を得られたと考えます。
この取り組みは、実践的な教育プログラムと理論的な知見を結びつける試みであり、学生の成長に寄与するとともに、言語文化学的な視点からの教育実践の可能性を探るものです。
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海外研修(異文化に触れて)
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海外研修(現地学生と課題に取組む)
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海外研修( 国境を越えた友情 )
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海外研修(研修の思い出に)
研究紹介(言語文化教育学×多文化共生社会)
グローバル化の進展に伴い、言語文化学の知見は異文化接点が増える企業や個人にとって、観光や国際ビジネスをはじめとする多分野で不可欠です。
例えば、日本国内では少子高齢化による労働力不足が深刻化しており、経済を支えるために外国人労働者の受け入れが重要になってきています。その結果、日本に定住する外国人の数が増加し、多文化共生の必要性が一層高まっています。異なる文化背景の人と協働する際には、円滑なコミュニケーションを図りつつ、相互理解を深め、効率的に成果を上げることが求められます。そのため、異文化マネジメントの知識が不可欠となります。
近年は、海外の送り出し機関からの要請や国の研究資金支援を受け、経済連携協定に基づく看護師・介護福祉士候補者や技能実習生を対象に、国家試験対策を含む言語文化教育におけるICT活用の効果を検証する課題に取り組んでいます。特に、VRを活用した教育手法の効果についても検証を進めており、実践的な学習環境の構築を目指しています。
また、県や地域の福祉課からの依頼で、外国人労働者の受け入れ施設職員向けの異文化マネジメントの講義やワークショップを実施し、実践的課題解決と社会貢献に取り組んでいます。
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VRを活用した課題の取り組み
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送り出し機関での授業風景