大学の取り組み 清心の文化遺産

清心の文化遺産

貴重な文化遺産を残し続ける

ノートルダム清心女子大学は、教育研究機関として、またカトリック大学としての貴重な文化資産を所有しています。
その資産は本学学生に対してはもちろんのこと、全国の研究者、地域の方々に活用していただいています。

1929年に竣工したノートルダムホール

1929年に竣工したノートルダムホール

特殊文庫(附属図書館所蔵)

黒川文庫

江戸末期の国学者、黒川春村、真頼、真道 の三代にわたる黒川家の蔵書で、和歌・物語・歳時の部を主とし約1100点、3000冊を収蔵しています。特記すべき資料としては『光源氏物語抄(異本紫明抄)』『草根集』及び万葉集関係の古版本などがあります。

黒川文庫

正宗敦夫文庫

本学国文学科教授であった正宗敦夫氏が収集した蔵書の一部で、和歌関係を主とし約70点、400冊を収蔵しています。特記すべき資料としては『金葉和歌集』『長恨歌伝』などがあります。

坪田譲治コレクション

本学附属図書館は、岡山県出身の作家・坪田譲治の自筆原稿・書簡・初版本等の関連資料を2004年度より収集してきました。そしてこれらの貴重な資料を整理して、2009年、坪田譲治の命日である7月7日に、「坪田譲治コレクション」として開設しました。
さらに、2015年度の図書館増築の際、附属図書館東棟の2階に新しいコーナーを設けました。

坪田譲治コレクション

登録有形文化財

現在も使用されているノートルダムホール本館とノートルダムホール東棟は、昭和4(1929)年に建築されたものです。設計者はアントニン・レーモンドという人物で、現在のチェコ共和国に生まれ、アメリカへ移住した建築家です。その後、世界的に著名な建築家フランクロイド・ライトの助手として、東京に建築された帝国ホテル(1923年竣工・現在博物館明治村に移築保存)の建設で来日することとなりました。そしてこのことが縁で、東京にレーモンド建築事務所を開設し、延べ44年間にわたり日本の建築界で活躍しました。
本学の本館と東棟は、日本における昭和初期のモダニズム建築(20世紀の初頭に興り、建築の歴史的様式による装飾的建物ではなく、新しい工業生産品の材料を用い、機能的で合理的な建築形態を求める)として貴重な存在です。今もその姿のままで使われ続けている素晴らしい建築遺産であることから、平成19年に文化庁から登録有形文化財として登録されました。

登録有形文化財

本学の建物は、アントニン・レーモンドの初期における代表的なモダニズム建築として高く評価されています。レーモンドは、日本の伝統的な民家にも大きな影響を受け、西洋の近代建築と日本の伝統的建築を融合させる設計手法を編み出したといわれています。
これらの手法は、本学の建物にも多く見られます。例えば、日本の建物では、庇は重要な建築部位として位置づけられています。本館の建物は、二階の窓上部に水平方向に伸びた庇が設けられ、一階の窓上部にも連続したデザインで庇が取り付けられています。日本の気候条件による雨風から建物を守り、光のコントロールにも有用な技法です。水平と垂直を意識したモダンなデザインは、東棟の聖堂正面の構成に強く表現されています。長方形の窓を座標軸上に整然と配置し、天へ向かう垂直性を強調しています。さらに、建物の最上部両端を切り落とし、より強く垂直性を高める効果を演出しているといえます。また、本館でも庇の水平方向への広がりとともに、規則正しく垂直方向に配列された長方形の窓形式も印象深いものです。
内観では、教室の引き戸は、日本における引き違いの襖の意匠表現を取り入れたものと考えられます。インテリアの意匠には、「○・△・□」の特徴ある幾何学紋様が多く見られます。機械的なデザインでもあるこれら幾何学紋様は、大量生産を行う時の繰り返しのデザインパターンとして応用しやすい形態です。柱と窓のリズミカルな配置、丸窓、正方形と長方形の窓、三角を取り入れた美しい繰り返しのデザイン等が建築意匠表現の特徴の一つといえます。

2018年7月には、ノートルダムホール本館と東棟がDOCOMOMO Japanによる「2017年度 日本におけるモダン・ムーブメントの建築216選」に保存の重要性の高い近代建築として選定されました。
DOCOMOMO Japanとは、ポルトガルのリスボンを本部とし、20世紀のモダン・ムーブメント(近代運動)に関する近代建築とその環境の記録・保存・評価・調査を行う国際的学術組織DOCOMOMO(略称:ドコモモ)の日本支部です。

参考リンク

埋蔵文化財

上伊福九坪遺跡

弥生土器の美から見えるもの

1983年、現在のカリタスホール建設に伴って行われた発掘調査によって、弥生時代中期から古墳時代前半期を中心とした遺物、遺構が確認されました。特に一括して出土した弥生時代の土器群は我々の心に強く語りかけます。その優美でスマートなフォルムは祭祀に関する機能を想起させます。
通常、弥生土器にはロクロは使用されておらず、基本的には粘土紐を積みあげる縄文土器と同じ製作技法が採用されたとされます。また縄文土器に比して弥生土器が高温で硬く焼かれたとは必ずしも言えず、焼成温度も600~800度程であったとの考えもあります。弥生土器の表面調整には鉄で加工した木製道具が使用されています。例えば、鉄刃で割った木板で平行の細い筋目を残す「刷毛目」、また鉄刃で木に刻みを入れた「櫛」で描く方法、鉄刃で平行線を刻んだ叩き板で「叩き目」を入れる方法です。
弥生土器に見る美的要素と製作技術の背景には、大きな社会変動と技術革新があったと考えざるをえません。弥生土器には時間をかけて丁寧に製作されたものと、時間をかけず雑につくられたものがあります。この背景には土器の使用目的が有力者用と一般民衆用に分化し社会階層化が進んだ事が考えられます。一方、雑につくられた土器の存在は消耗品として大量生産されるだけの社会の発展があった事を想起させます。

埋蔵文化財

上伊福九坪遺跡出土土器

弥生時代の各時期においても土器の様相は大きく違います。例えば、ある地域において技術的に洗練された土器が文化的先進地域である畿内では見当たらない場合があります。これは畿内では時間と労力をかけた土器づくりの段階を既に終えていたとも考えられます。
近年、弥生土器の機能を考える上で重要な新発見が相次いでいます。特に注目されるのは、山陰の青谷上寺地遺跡出土の木器群です。その中には上伊福九坪遺跡出土の底部に縦長のスリットが入った壺と酷似した一木彫りの器もあります。またスリット用と思われる独特な形をした耳かき状工具も出土しています。さらに木地に複数のコンパスのような円が見られる事から、高速回転のロクロを使用したとしか考えられない木製高杯もあります。
これは当時、恐ろしく高い木工技術を持った職人集団が山陰にいた事を物語ります。多くの遺跡では木器は土壌の関係上、腐ってしまっていて出土するのは稀です。もしかしたら祭器には特殊技能を必要とした木器が珍重され、土器はその代用品だったのかもしれません。我々は上伊福九坪遺跡の美しい土器を見ながらその奥に隠された多くの事柄を類推しなければならないのです。

お問い合わせは博物館学ホールへ

博物館学ホール

学芸員課程の実習等に利用される博物館学ホールがあります。
本学キャンパス内から出土した土器をはじめ、キリスト教史関連年表パネルを展示しています。
授業での使用はもちろんですが、本学の歴史を様々な視点から見つめることができる部屋となっています。
見学を希望される方は学芸員課程までご連絡ください。

博物館学ホール

博物館学ホールへのお問い合わせ先

学芸員課程

TEL: 086-252-3207
E-mail: gakugei@post.ndsu.ac.jp

お電話でのご連絡は月~金9時~17時(祝・本学休業日等を除く)にお願いいたします。

ノートルダム清心女子大学展示室

2016年11月に開室しました。
展示室では、本学広報室アーカイブにおいて収集保存している資料を、次の4つのブースに分けて、展示しています。

  • 1. ナミュール・ノートルダム修道女会のシスターたちの来日と第二次世界大戦、そして本学開学
  • 2. ナミュール・ノートルダム修道女会の創設者マザー・ジュリーの足跡
  • 3. 本学の建学の精神とそれを継承する伝統行事
  • 4. デジタルサイネージ(パネルにタッチすると画面がかわるモニター)

岡山の地に根ざし、世界に開かれた大学として発展してきた本学の歴史を、在学生、教職員をはじめ、卒業生や保護者、地域の方々にお伝えしています。

ノートルダム清心女子大学展示室

特別展示室

第5代学長シスター髙木孝子監修のもと2017年10月に開室した特別展示室では、1924年アメリカからやってきたナミュール・ノートルダム修道女会の6名のシスターが岡山で女子教育を始めた時代に焦点をあてています。
なぜ岡山の地で女子教育を広めることになったのか。当時の教区と神父、シスターの書簡のやり取りをもとに、彼らが直面したさまざまな困難と奮闘、現在のノートルダム清心女子大学の雛形に至るまで、その起源に迫ります。

特別展示室

展示室に関するお問い合わせ先

広報室

TEL: 086-252-3107
E-mail: archives@post.ndsu.ac.jp

お電話でのご連絡は月~金 9時~16時(祝・本学休業日等を除く)にお願いいたします。

NDSUコレクション

準備中