学部・大学院 教員詳細

林 泰資

林 泰資(はやし やすし)

職名
教授
担当分野
解剖生理学、解剖生理学実験、薬理学
学位
博士(医学)
研究キーワード
アレルギー性鼻炎、ストレス、オルニチン、コラーゲンペプチド、コーヒー香気

教員からのメッセージ

自分はどんなことが好きなのか、学びたいのか、フリーな気持ちで考えてみましょう。自分が好きでずっと続けられるものを見つけることが大切です。「資格がとれるから」「将来役に立つから」という理由で、周囲の人たちは進路を進めてくることもありますが、まずは、あなた自身が好きなこと、学びたいことを見つけられるかどうかだと思います。

研究内容

薬学部出身ということもあり、クスリのような作用がある食品に興味を持っています。現在は、アレルギー性鼻炎に効く食品成分と、ストレスを緩和する香気成分の研究をしています。抗鼻炎作用に関しては、コラーゲン分解産物による鼻炎抑制作用を明らかにしました。また、ストレス緩和作用に関しては、コーヒー豆の産地によって、その香気がリラックス作用やリフレッシュ作用があることがわかりました。クスリには副作用がつきものですが、食品成分は穏やかに効いてくれます。新しい発見を一緒に楽しみましょう。

1. アレルギー性鼻炎の症状を軽減する食品成分について

わが国において、アレルギー性鼻炎の有病率は全人口の約半数に達し、大きな社会問題となっています。現状では薬物治療が主流ですが、完治は難しく、副作用も心配です。このような背景から、近年、機能性を有する食品への期待が高まっています。

林研究室では数年前より、食品成分の抗鼻炎作用について、アレルギー性鼻炎モデルマウスを用いて検討し、いくつかの有効成分を発見しました。これらの成分については、既に特許を取得しています1)2)。今後も抗鼻炎作用や抗アレルギー作用を有する食品成分について探索し、その作用メカニズムを解明したいと考えています。

1) アレルギー性鼻炎の予防及び/又は治療薬(特許第6671671号,https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6671671
2) 鼻炎予防・治療剤(特許7244059号,https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2019-026956/10/ja

2. コーヒー香気の効能について

林研究室ではコーヒー香気の機能性について、マウスを用いて研究しています。様々な行動分析法を用いて、産地と焙煎度の異なるコーヒー香気の機能性を検討したところ、短時間のブラジル中煎り香気は疲労回復作用があり、長時間のグァテマラ深煎り香気は鎮静作用や抗不安作用を有することが明らかになりました1)2)。また、これらの機能性に関係する単一成分を探索した結果、いくつかの有効成分を見つけることができました(特許出願中)3)。

さらに最近、この研究で日本アロマセラピー学会のベストポスター賞を受賞しました(下写真)。
マウス実験より示された結果は、ヒトによる研究と相通ずるものであり、食品香気の機能性を研究するモデルとして有用であることがわかりました。

1)Neuroscience Letters 531(2), 166-169, 2012
2)Aroma Research 18(1), 28-33, 2017
3)カテコールアミン分泌向上剤(特願2021-171388)

  • 日本アロマセラピー学会のベストポスター賞

    日本アロマセラピー学会のベストポスター賞