学部・大学院 教員詳細

青山 新吾(あおやま しんご)
- 職名
- 准教授
- 担当分野
- インクルーシブ教育 特別支援教育
- 学位
- 教育学修士、修士(学術)
- 研究キーワード
- インクルーシブ教育 インクルーシブ教育の基盤 自閉スペクトラム症の方々への生活臨床 特別支援教育
研究内容
インクルーシブ教育に関連する連携事業や共同研究(抜粋) 国立特別支援教育総合研究所「令和5年度地域支援事業」、「重点課題研究「共生社会の担い手を育む教育に関する研究―障害理解教育の検討を中心に―」 岡山県教育委員会「通級による指導におけるICT活用研究事業」委員 岡山県教育委員会「特別支援学級担任専門性向上連絡協議会」委員 岡山市教育委員会「特別支援教育の視点を生かした授業づくり実践研究」研究協力者 赤磐市教育委員会「赤磐市赤坂中学校区における小学校統合準備委員会」委員長 日本LD学会「通常の学校における発達障害等の特別な教育的ニーズのある児童生徒への専門性のある指導・支援の保障プロジェクト」 【取材の例として】 BSS山陰放送番組「ともだち100にんできるかな~共に生きるということ~」 超教育協会「インクルーシブ教育を実装するために ~今、通常学級でできること~」
インクルーシブ教育の基盤形成の研究
インクルーシブ教育は、多様な子どもたちがいることを前提とし、その多様な子どもたち(排除されやすい子どもたちを含む)の教育を受ける権利を地域の学校で保障するために、教育システムそのものを改革していくプロセスです(野口,2022)。その対象は、貧困状況にある子ども、性的マイノリティの子ども、障害や病気のある子ども、不登校の子どもなどのマイノリティを含むすべての子どもです。すべての子どもたちが、自分らしく生きて、人と人が共に生きるかたちを探っていくインクルーシブ教育の研究を行っています。そのためには、小・中学校の通常の学級が変わっていくことが前提になるでしょう。そこで、学校や園、地域とのコラボレーションによる実践的な研究を進めています。
インクルーシブ教育の対象を障害のある子どもだけに限定して捉えていることもあります。文部科学省は「インクルーシブ教育システム」と整理して、その対象を障害のある幼児児童生徒に限定しています。しかし、世界的な流れの中で、インクルーシブ教育は先述のように幅広い対象を視野に入れています。
しかし、我が国では、特別支援教育の取組が丁寧に紡がれてきました。その中には、障害のある子どもだけを対象としていない、まさにインクルーシブ教育につながるものがたくさんあります。『エピソード語りで見えてくるインクルーシブ教育の視点』学事出版は、学校現場での特別支援教育の視点をエピソードベースで整理し、インクルーシブ教育とのつながりを検討したものです。
同様に、通常学級で学ぶ多様な実態の子どもたちへの「個別のアプローチ」と「集団のアプローチ」の組み合わせについて提案したのが『特別支援教育すきまスキル』シリーズ 明治図書です。全国の研究者と実践者と一緒につくったこのシリーズは、基本的な事項を確認すると同時に、通常の学級での「個と集団」へのアプローチバランスを学んだり検討したりすることを意図しています。
また、学内のインクルーシブ教育研究センターと連携し、これらの研究成果を学部生が実際にインターンシップとして学べる機会をつくっています。
幼稚園等サポートプロジェクト
小学校サポートプロジェクト
特別支援学校プロジェクト
は、学びたい学生が登録し、実際に園や学校を定期的に訪れます。そして、子どもとの関わりをエピソードで表現し、カンファレンスで一緒に考えていく取組を行っています。
また、これらの基盤研究を、実際に地域とコラボレーションする取組を行っています。
日本で初めてのイエナプランスクール大日向小学校を研究フィールドとした「個別最適な学びとインクルーシブの関連」研究を行うと共に、毎年学部生をインターンとして大日向小学校に派遣し、学生の教育と研究活動のコラボにチャレンジしています。
また、赤磐市の新しい学校づくりプロジェクトに参画し、学内にNDSUインクルーシブな学校づくり研究会を立ち上げ、学部生、院生の有志20名と一緒に研究、実践に取り組んでいます。
これらの研究は、今まで当たり前とされていた日本の教育システムを見直し、「一斉授業」以外のかたちの授業に取り組んで、自分のペースや学びやすい学び方で自分自身も他者も大切にする教育をつくっていくこと。また、探究型の学習の中で、個の興味関心を大切にして、自分らしい生き方で進めるような教育をつくっていくことを目指しているものです。
インクルーシブ教育は、通常学級の変革を前提としている教育だと考えられます。そこで、新しい通常学級の教育のかたちとインクルーシブ教育をつなぐことで、それぞれの子どもたちが自律して生きる人になること、そして人と人が共に生きるかたちをつくっていくことを探っています。
インクルーシブ教育を実現していく際に、人と人の関係という視点が不可欠です。
私は、学内の児童臨床研究所、清心こころの相談室で、臨床心理士として個別の関わり、臨床も続けています。またそこでは、当事者だけではなく、その家族も対象とした関わりを模索することも多いのです。特に,それぞれの家族の持たれる独自性を「家族の流儀」と表現し、「家族の流儀」を大切にした関わり、支援の在り方について研究を行ってきました。日本発達心理学会で10年近く続けてきたラウンドテーブルの成果をまとめた1冊が『家族の支援を大切にする支援』金子書房です。
清心こころの相談室での実際の心理や教育臨床と、インクルーシブ教育研究センターでの教育学的研究、そして人工知能の活用や栄養学、キリスト教学とインクルーシブ教育の関連研究も視野に入れて取り組んでいきます。
多様性の時代を生きる、少子高齢化の社会の中を生きる。
一人一人が大切にされる保育、教育をつくり、人と人が共に生きる社会の基盤づくりを目指した学びを深め、一緒に研究できる若者との出会いを大切にしていきたいと思います。本学のインクルーシブ学研究室で、そしてインクルーシブ教育研究センターで一緒に学びを深めませんか? 多くの出会いがありますように、お待ちしています。
▶小学館みんなの教育技術連載
「インクルーシブ教育を実現するために、今私たちができること」(外部リンク)
▶超教育協会オンラインシンポジウム
「インクルーシブ教育を実装するために ~今、通常学級でできること~」(外部リンク)
▶みんな教育技術|小学校教員のための教育情報メディア(小学館)
青山新吾准教授の記事掲載(外部リンク)