学部・大学院 教員詳細

中本 幸一(なかもと ゆきかず)
- 職名
- 教授
- 担当分野
- オペレーティングシステム
- 学位
- 博士(工学)
- 研究キーワード
- 組込みシステム、分散システム、リアルタイムシステム、機械学習、ソフトウェア工学
研究内容
IoTシステムのアプリケーションは、人が使用するスマートフォンからデータを収集するセンサーまで、自動車などの制御と情報提供を統合するより複雑なシステムにまで及びます。物理空間につながってモノからデータを収集し、デバイス、エッジコンピューター、クラウドでこのデータを分析し、適切にモノを制御します。 IoTは専用コンピュータで、リアルタイム特性、CPUやメモリ容量、バッテリーなどのシステムリソースに対する制限がある等さまざまな特性があります。 私たちの研究室では、IoTシステムやなどのコンピュータシステムに関連するさまざまなシステムとアプリケーションソフトウェアを研究しています。
研究テーマ
IoTは、モノがインターネットを介してクラウドとサーバに接続されるITシステムです。IoTシステムのアプリケーションは、人が使用するスマートフォンからデータを収集するセンサーまで、自動車などの制御と情報提供を統合するより複雑なシステムにまで及びます。物理空間につながってモノからデータを収集し、デバイス、エッジコンピューター、クラウドでこのデータを分析し、適切にモノを制御します.また人が使うデバイスの場合はデバイスを介して集めたデータを分析、その結果に基づいて人にサービスを提供します。また、システムの観点から見ると、IoTシステムは多くのコンピュータが世界中に展開されたりするような大規模システムで、各コンピュータが協調しながら動作する分散システムです。さらに、これらのコンピュータはどこにでも存在するという意味でユビキタスシステムでもあります。
これらのコンピュータは、モノ、マシン、およびデバイスに組み込まれているため,組込みシステムとも呼ばれます。組込みシステムは専用コンピュータで、物理空間からの入力が取得されて物理空間に出力される限られた期間内に応答するリアルタイム特性、CPUやメモリ容量、バッテリーなどのシステムリソースに対する制限がある等さまざまな特性があります。さらに、組み込みシステムには、このような制限があるため、サービスの実現にはより高度な技術が必要です。
このようなシステムは、社会を安全かつセキュアにする、社会を変革するための基礎となるシステムとなります。私たちの研究室では、IoTシステムや組込みシステムなどのコンピュータシステムに関連するさまざまなシステムとアプリケーションソフトウェアを研究しています。
IoTシステム向けデータ中心分散ソフトウェアプラットフォーム
科学の4番目のパラダイムとして、「データ集約型科学」が注目を集めています。これは、大量のデータ(ビッグデータ)を取得し、コンピュータを使用してそれらに存在する現象と規則を導出します。この研究では、このパラダイムを組み込みシステムに適用するための新しいソフトウェア構築フレームワークを研究しており、組み込みシステムで重要なリアルタイム、信頼性、セキュリティ、可用性などの動的なデータ品質の保証に焦点を当てています。この研究では、このようなシステムの構築に必要な分散システムプラットフォーム技術を研究しています。特に、最近では、組織化され効率的な方法でさまざまなデータを処理することが必要になりました。これにより、分散システムでの仮想的なデータ共有と、データから「知識」を見つけることができるようになります。このテーマでは、これらの問題を解決するために新しいデータ中心の分散ソフトウェアプラットフォームを研究しています。
サステナブルでディペンダブルなIoTシステムソフトウェアの研究
IoTシステムはもの(Things)につながったシステムであり、ものからデータを取得し、ものに働きかける。この「もの」には、身の回りにあるスマホや情報家電から大は自動車があります。実現のためには、決まった時間以内(一般に短時間)で処理するリアルタイム処理技術、制約のあるコンピュータ資源で動作するためのリソース管理技術、マルチコアCPU等ハードウェアを効率よく利用するための技術等が必要です。さらに最近はサステナブル、ディペンダブルという技術が注目されている。サステナブルとは持続可能という意味で、ディペンダブルとは安全、セキュア、高信頼の意味である。本研究テーマではIoTシステムを長期に渡って、安全に利用可能とするためのソフトウェア技術を研究しています。例えば、低消費電力でのプログラム実行、長期の利用のためのサービスの更新や移動、また、IoTシステムを安全に運用するためのセキュリティ技術などであります。さらにこうしたシステムは実際の物理環境でのテストが難しく、物理環境をサイバー空間で仮想的に実現するデジタルツィンという考え方も提案されています。この研究テーマでは、IoTシステムを長期間安全に使用できるようにするソフトウェア技術と開発支援システムを研究しています。
機械学習技術のコンピューティングシステムへの応用技術の研究
機械学習はさまざまな分野で使用され始めており、IoTシステムおよび組み込みシステムの分野で期待されています。しかし、これらのシステムは、安全で信頼性が高く、リアルタイムパフォーマンス、厳しいリソース制約が必要です。これまで、機械学習ソフトウェアの有効性は学習結果によってのみ決定されることが多く、ブラックボックスとして扱われてきました。このため、内部でどのように処理されているか分からず、組込みシステムを始めとするでは利用しづらいという問題があります。これらの問題を解決するための研究を行っています。