学部・大学院 教員詳細

天野 憲樹(あまの のりき)
- 職名
- 教授
- 担当分野
- エンターテインメントコンピューティング、教育支援システム、プログラミング
- 学位
- 博士(情報科学)
- 研究キーワード
- エンターテインメントコンピューティング、ライブコーディング、XR、可視化、メディアアート
研究内容
我々の研究室では、人々の心に彩りを与え、心を豊かにするエンターテインメント・コンピューティングを研究テーマに活動している。具体的には、ユーザを楽しませたり,喜ばせたりするユニークなICTの利活用やシステム・アプリ・サービス・コンテンツの設計開発を研究目標として、「キレイ」「カワイイ」「美味しい」「楽しい」と感じる女子大生の視点を活かした女子大ならではのエンターテインメント・コンピューティングに取り組んでいる。技術要素としては、プロジェクションマッピング、モーションセンシング、XR、3Dゲーム、デジタル音楽、メディア・アート、ドローン等が挙げられ、これらに関する複数の研究プロジェクトが同時進行している。
1.着る音楽
本研究では「着る」という音楽の新しい楽しみ方を創造し、そのエンターテインメント化を探求しました。具体的には、音楽からカラフルなコスチュームの映像をリアルタイムに生成し、人の周囲に生成した霧にプロジェクターで投影することにより「着衣」とします。このため本研究では、音楽を立体的に色彩化する手法、音楽からコスチュームの映像を生成する手法、そして、音楽の映像を身に着ける手法を提案しました。鍵となるアイディアは、音階の螺旋構造と共感覚に着目した音楽の立体的な色彩化、ジェネラティブ・アートの技法によるコスチュームの映像形成、投影媒体のフォグに対する3方向からの映像投影です。
参考文献:「音楽の立体的な色彩化とウェアラブル化の試み」天野憲樹,芸術科学会論文誌第20巻第2号,頁72-81,2021年6月30日
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実験の様子:くるみ割り人形(チャイコフスキー)の例
2.舞台照明のライブコーディング
ライブコーディングとは、即興的なプログラミングのパフォーマンスを意味しますが、本研究では、物理的なライブコーディングを実現し、その可能性を模索しました。具体的には、舞台演出の照明機器を制御するシステムを設計・開発し、音楽系のライブコーディングシステムであるSonic Piと連携可能にしました。さらに、照明機器のライティング(光の照射)による音楽の表現を試みました。こうした本研究により、音楽の演奏者が演奏と同時に舞台演出を行うことを意味し、演奏者の意図を直接反映させた舞台演出が可能になります。
3.ドローンによるフィギュアスケートの原寸大シミュレーション
本研究はフィギュアスケートの軌跡をドローンの飛行によりシミュレート(物理的な可視化)し、その軌跡を空中にライトペインティングとして描く(原寸大の可視化)研究です。具体的には、LEDライトを搭載したドローンによりフィギュアスケートの滑走をシミュレートし、その軌跡で空をキャンバスとするライトペインティングの制作を目指しました。本研究では、スケート選手の滑走データを入手し、そのデータにもとづいてドローンの飛行プログラムを生成するシステムを開発しました。
参考文献:「ドローンによるフィギュアスケートの可視化とアート化」天野憲樹,NICOGRAPH2020オンライン論文集, 頁65-72,2020年11月2日
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実験の様子
4.たこ焼きプロジェクションマッピング
本研究では、たこ焼きにプロジェクションマッピングを行うユーザインタフェースの試作を行いました。具体的には、たこ焼きの焼き型(穴)で文字を表現するドットパターンをリアルタイムに生成し、連続して投影することでメッセージを表現する入出力インタフェースを試作しました。なお、入力可能な文字は数字・アルファベット・カタカナである。このようなたこ焼きのプロジェクションマッピングは店頭における待ち時間にたこ焼きを通じて情報を提供するなど単なる食(料理)と調理のエンターテインメント化以上の可能性を持っています。たこ焼きプロジェクションマッピング
参考文献:「たこ焼きプロジェクションマッピング-食と調理のエンターテインメント:たこ焼き編-」天野憲樹,映像情報メディア学会技術報告, VOL.42, NO.12, 頁29-32,2018年3月16日
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たこ焼きプロジェクションマッピング
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実験の様子
5.光のクレーンゲーム
本研究では、光を用いた新しいクレーンゲームの制作を試みました。具体的には、壁や天井に投影した映像をムービングライトによる光の照射で消去するゲームであり、最終的には、プラネタリウムのドームに投影した星や星座を掴み取るクレーンゲームを目指しています。このため本研究では、ムービングライトを制御するとともに、その光の位置情報(座標)を画像処理で取得して当たり判定をするプログラムを実現しました。本研究は光を利用したゲームを開拓する試みであり、様々なゲームへの応用が期待できるものです。
参考文献:「A New Claw Crane using a Moving Light - Aiming to Grab Stars in the Planetarium -」Noriki Amano, Proc. of 19th International Conference for Asia Digital Art and Design (ADADA2021), pp.3-4, 2021年12月4日
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実験の様子