学部・大学院 教員詳細

工藤 裕子(くどう ゆうこ)
- 職名
- 准教授
- 担当分野
- 東南アジア史、インドネシア地域研究、アジア経済史
- 学位
- 博士(文学)
- 研究キーワード
- インドネシア、東南アジア、アジア経済、植民地、華人、民族
研究内容
東南アジアの社会経済史を専門としています。特にインドネシアを調査対象として、現地の社会経済の特徴をアジア域内との関係から研究しています。例えば、ジャワ島で生産された砂糖とアジア市場との関係や、日本植民地期の台湾で生産されたジャスミン茶が東南アジアに輸出された後に現地生産化されて国民的な飲料に定着した過程について、ヒトやモノ、カネの流れから分析してきました。モノに注目することで、その生産地の環境や社会状況、さらにその流通の経路や方法、それらを担う人々、またモノを入手し消費する側の社会のつながりがみえてきます。これらを統合的に捉えることで、その地域と自然や人間、文化の特徴が理解できるのではないかと考えています。
主な研究
東南アジアの社会経済史を専門としています。特にインドネシアを調査対象として、現地の社会経済の特徴をアジア域内との関係から研究しています。例えば、ジャワ島で生産された砂糖とアジア市場との関係や、日本植民地期の台湾で生産されたジャスミン茶が東南アジアに輸出された後に現地生産化されて国民的な飲料に定着した過程について、ヒトやモノ、カネの流れから分析してきました。モノに注目することで、その生産地の環境や社会状況、さらにその流通の経路や方法、それらを担う人々、またモノを入手し消費する側の社会のつながりがみえてきます。これらを統合的に捉えることで、その地域と自然や人間、文化の特徴が理解できるのではないかと考えています。
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インドネシア銀行での植民地期銀行文書の資料調査
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ジャワの茶工場、オーナーは台湾出身華人の3代目
ヒトについては、国境や植民地の領域を越えて広域で活動する華人の役割に注目しています。首都ジャカルタや中部ジャワの港町スマラン、古都スラカルタ、さらに台湾、神戸などで、華人街や現地の人々への聞き取り調査などを継続的に行っています。調査のたびに、華人をとりまく新たなネットワークの存在が明らかになり、ヒトとヒトとの関係性が多層的に交錯し、定住地の社会や文化、政治にも影響を与えていることに気づかされます。スマランでは戦前、台湾籍を有した華人が日本の経済進出の足掛かりとなっていましたし、ジャカルタでは客家の人々がマッチやメリヤスなどの日本の雑貨輸入を手掛け、神戸との間で強い結びつきを維持してきました。近年は中部ジャワで発見された華人商店の帳簿類から、インドネシアだけでなくタイやラオスにかけての広い地域で建材ビジネスを展開した潮州系の人々の足取りを追っています。経済活動の裏側には、華人たちが現地で直面した社会的な軋轢や政治問題が隠されており、現在は一つの国民国家であるインドネシアという国を考えることにもつながります。
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神戸から輸出された明治期の日本のマッチ
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東ジャワの中国寺廟に飾られている日本製タイル
インドネシアはオランダの植民地支配や日本の軍政を経て独立し、多民族多宗教の社会を統合するという難しい国家運営に迫られました。冷戦下では軍や大統領による開発独裁を経験しながらも、現在は民主化に舵を切り、近年著しい発展を遂げています。インドネシアから多くの人が観光や実習生という形で日本に来るようになり、ハラール食などのイスラーム教徒への対応が日本の中でも大きなテーマとなっています。その他の東南アジアの国々も、複数の宗教や言語、文化が交じり合う多民族の国家です。こうした環境のなかで、文化やことばが異なる人々が共存・共生していく知恵を、学生のみなさんと一緒に考えていければと思っています。