学部・大学院 教員詳細

郭 まいか(かく まいか)
- 職名
- 講師
- 担当分野
- 歴史学、近現代中国史研究
- 学位
- 博士(文学)
- 研究キーワード
- 租界、上海共同租界、会審公廨、領事団、工部局
研究内容
近現代の中国は、経済的に最も発展していた上海の共同租界を窓口に、西洋諸国や日本との交流を通じて独自の発展を遂げました。この時代の中国は、現在の中国を形作る重要な基盤にもなっており、中国という国を理解するにあたって、格好の材料を与えてくれます。中国は租界を通じ、西洋の近代的な思想、文化、制度を取り入れましたが、私は会審公廨という、租界に存在した裁判所に注目しています。これまで公廨の制度そのものに関する研究や、公廨において問題となった国籍関係の研究、租界に逃げ込んだ中国人政治犯をめぐる研究などを行ってきました。また、最近は租界の境界線とその周辺に広がる外国人居住区に関する問題にも興味があります。
主な研究
私が専門とする歴史学という学問分野では、
私が主な研究対象とする会審公廨(Mixed Court)とは、19世紀半ばに上海共同租界において設立された合同裁判所で、中国人裁判官と外国人会審官がともに出廷し、租界内で、かつ中国人と外国人間で発生した訴訟事件を扱うものです。会審公廨は従来、中国法の近代化に貢献したという評価がある一方で、外国による中国主権の侵害という帝国主義的側面も強調されていました。では、この会審公廨は、当時の社会においてどのような役割を担っていたのでしょうか。実際には、英米の会審官が主導する会審公廨は、上海の中国人エリート商人団体の意向を汲む形で訴訟手続を指示したり、二重国籍を利用して訴訟を免れようとする中国人に対し、北京政府が制定した国籍法を援用したり、必ずしも中国人あるいは中国政府に不利な形で各種決定を下していたわけではありませんでした。公廨は中国の在来の社会と相容れなかったのでなく、むしろ相互依存の関係にあったり、また、中国政府の影響力を緩やかに外国租界に浸透させるパイプのような役割を果たしたりしたことがわかってきました。