去る5月12日から14日にかけて、札幌コンベンションセンターで第77回日本栄養・食糧学会大会が開催されました。
食品栄養学科の栄養生化学研究室(小林ゼミ)では、大学院生3名、学部4年生8名が、「病気になる新しいメカニズムを知り、その上で、病気にならない食品成分を探索する」研究を日々行っています。
彼女たちが日々行っている実験の珠玉の結果を、多くの研究者の前で発表するのが、ガッカイ(学会)なのです。小林ゼミの研究を発表する主な学会の一つが、この日本栄養・食糧学会です。
今回の大会では、小林ゼミからも大学院生(修士課程2年生)の橘髙充加さんが以下のタイトルでポスター発表を行いました。
GAN 飼料誘導性肥満モデルマウスにおける非アルコール性脂肪膵疾患(NAFPD)発症と膵 NAD 代謝変動への影響
○橘高 充加1)、高橋 万由花1)、土屋 友梨華2)、 奥野 海良人3)、安原 香子2)、小林 謙一1,2)
1)ノートルダム清心女子大学 大学院人間生活学研究科 食品栄養学専攻、
2)ノートルダム清心女子大学 人間生活学部 食品栄養学科、
3)柴田学園大学 生活創生学部 健康栄養学科
肥満などによって起こる非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が、近年問題となっています。彼女は、肥満からNAFLDを誘導できるGAN飼料という高脂肪・高コレステロール・高フルクトース食を食べさせたマウスでは、普通の餌を食べさせたマウスに比べて、肝臓で肝線維化を生じさせるとともに、膵臓でも線維化を誘導することを明らかにし、この肥満モデルが、近年話題になりつつある非アルコール性脂肪膵疾患(NAFPD)モデルになる可能性を示すことができました。また、その時にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)代謝関連酵素が軒並み低下するというユニークなデータを得ることができました。NAFPDは、現在患者数が増加している膵癌発症と関連していることが報告されています。この報告は、NAFLDのみならずNAFPDの発症メカニズムを明らかにできるとともに、NAFPDの予防・治療法の開発に一役買えるかもしれません。
この発表は、一般発表であるとともに学生優秀発表賞の候補演題(小林ゼミ初)でありましたが、惜しくも学生優秀発表賞の受賞には至りませんでした。しかし、多くのコメントをいただくことができ、彼女にとって、刺激的で有意義なものとなりました。
今後とも、小林ゼミでは、学生さんたちと一緒に、新しいこと面白いことを明らかにすることによって、社会に貢献してまいりたいと思っています。
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