International Communication Research IBの履修生(3・4年生)13名の主導で、2022年12月20日に公開授業を行いました。
公開授業では、本科目で学んだ質的調査方法とその分析方法を実際に用いてグループ研究を行なった成果の報告、および授業内でスキルアップした研究発表に対するコメント(批評)を、全て英語で行いました。この公開授業にも、2年生の学生がオーディエンスとして参加し、意義ある意見やコメントによって、議論を深めてくれました。本科目の履修生たちは、2年生の参加者に対し、国際コミュニケーションコースの魅力についてプレゼンテーションを行い、自らの経験に基づいた丁寧な紹介を英語で行いました。
また、コメンテーターとして国際コミュニケーション履修コースのFast先生が参加し、模擬国連に参加する学生の動機に関するグループ発表にコメントを寄せてくださいました。
《発表の様子はこちら》
東京フィールドワークの実習で収集したデータを基にした研究発表については、2022年11月9日に公開されたブログマレーシア大使館で多民族社会の文化を学ぶ(フィールドワーク実習報告vol. 1)の続編を以下に掲載します。
■ウィズコロナの羽田空港で観光人類学におけるお土産について学ぶ(フィールドワーク実習報告vol. 2)
■モデルカルチャーの提供を東京ディズニーランドで体感する(フィールドワーク実習報告vol. 3)
■浅草から学ぶインバウンド観光の実態(フィールドワーク実習報告vol. 4)
■新大久保から多文化共生について考える(フィールドワーク実習報告vol. 5)
ウィズコロナの羽田空港で観光人類学におけるお土産について学ぶ(フィールドワーク実習報告vol. 2)
2022年8月17日、実習二日目の午前中は羽田空港を訪れ、国内線である第1及び国際線である第3ターミナルで、グループに分かれて空港利用者にお話を伺いました。私たちのゼミでは、今年から特に観光人類学の研究に力を入れています。観光人類学の研究において、インタビューが方法論として重要であるため、今回はその練習で、様々な方にお話を聞いてみました。羽田空港では「お土産」に焦点を絞り、「空港でお土産を買ったかどうか」、「誰に対して何を買ったか」、「なぜ観光地ではなく、空港で買うのか」などの質問をしました。羽田空港を選択した理由として、観光人類学においてお土産は、観光の楽しみの一部であり、消費活動や文化の表象でもあり、重要なテーマです。またコロナ禍で増減する国内観光客やインバウンドとお土産との関連について、実際の現場の状況を自分たちの目で見たいと考えたためです。
2日目、羽田空港が見ず知らずの人に声をかけてお話を伺う初めての場所だったため、なかなか苦戦して、思うような成果は得られませんでした。まず協力してくださる方を見つけることに難しさを感じ、断られる度に焦りと不安も感じました。しかし、そんな中でも外国人の方にお話を聞くことができた時には、大学で鍛えた英語力を発揮すると同時に、国際コミュニケーション履修コースに所属している醍醐味を感じることができました。
羽田空港での実習を全体的に振り返ると、うまくいかなかったという印象が強いですが、この経験を通して「どのような人に声をかければ協力してくださるのか」、「どのように聞けば、自分たちの意図していた回答が返ってくるのか」など、実践的に学び得ることができました。失敗から学びを得たことにより、2日目午後のディズニーランド、そして3日目の新宿・浅草でのフィールドワークに繋がる良い実習になったと思います。
モデルカルチャーの提供を東京ディズニーランドで体感する(フィールドワーク実習報告vol. 3)
2022年8月17日の実習二日目の午後、東京ディズニーランドを訪れました。ゼミの授業の際に観光に関する文献であるHost and Guest : The Anthropology of Tourism (Smith, 1989) を読み進めていく中で、モデルカルチャーという言葉に触れました。モデルカルチャーは「生きた博物」とも言われ、歴史的過去を再構築するために成功裏に開発されたものであり、進歩を測定することで祖先が遭遇した厳しさを思い起こすことができる物差しを提供します。ハワイのポリネシアン・カルチュラル・センターやバンコクのローズ・ガーデンだけでなく、ディズニーもモデルカルチャーの一例です。ディズニーは、19世紀末から20世紀前半の「古き良きアメリカ」の再現や、おとぎ話のモチーフ、テーマ村などさまざまな形態のモデルカルチャーを提供しています。架空の世界であると人々は分かっていながらも、多くの人がディズニーランドやディズニーシーを訪れ、その空間や世界観に魅了されています。それは何故なのか、このことをディズニーに関する私たちの問いとしました。
私たちは文化人類学の研究手法の一つである参与観察を行い、他の来場者に「ディズニーランドを訪れる理由」を尋ねてみました。研修の三日目には浅草と新大久保でのインタビュー実習を控えており、その練習も兼ねて来場者との交流を実際に図ろうとしたためです。学生や家族連れ、外国人観光客などの多くの来場者で賑わっており、私たちは多くの方々のお話からディズニーに対する非常に幅広い考えを知ることができました。時には外国人の来場者と英語でコミュニケーションを取る機会もあり、それはこれまで培ってきた英語力を発揮できた瞬間でした。大学入学と同時にコロナ渦が始まったことで対面活動を大きく制限された私たちの代は、実際に外国人と交流する機会はほぼありませんでした。
今回の実習で遂に自分の英語力を試すことができることに喜びと高揚感を覚えると同時に、他の来場者に声をかけるという慣れない状況で英語を駆使して本当にコミュニケーションがとれるのかという不安もありました。しかし実際に英語での意思疎通がとれたことで、これまでの自身の学びや努力、さらに国際コミュニケーション履修コースの一員としての自信を持つことができました。また、「コロナ禍で写真を撮るときにマスクを外すのかどうか」というコロナ禍ならではの観点から参与観察を行うだけでなく、「なぜパーク内では見ず知らずの人同士で手を振り合うのか」という疑問も浮かび、常に達成感や新たな発見の連続でした。
ディズニーランドで楽しいひと時を過ごす中で、他の来場者から感じ取れる声や雰囲気、可視化された情報だけでなく、自分も来場者として楽しんだからこその気づきを得ることができました。参与観察を通して実感したことや気づき、経験を最終日となる三日目のインタビュー実習や今後のフィールドワークに活かしていきます。
浅草から学ぶインバウンド観光の実態(フィールドワーク実習報告vol. 4
2022年8月18日のフィールドワーク実習最終日に2グループに分かれ、私たちは日本を訪れた外国人に人気の観光スポットである浅草を訪問しました。私たちが専攻する観光人類学において、観光に関する人やモノの移動は重要な観点です。Host and Guest : The Anthropology of Tourism (Smith, 1989)をゼミで読んだ私たちは、観光やお土産を学術的に考察するために、コロナ禍における観光地の様子を調査・観察し、観光客を受け入れるホスト側とゲスト側(観光客)にお話を伺いました。またフィールドワークをより良いものにする工夫として、浅草ではレンタルした着物を着て観光する方が多いため、私たち自身もゲスト側と同じ視点に立ち、浅草という観光地そのものを経験するために着物を着用して行いました。
ホスト側へは「コロナ禍での変化や苦悩、工夫は何か」を、浅草で有名な老舗の雷おこしのお店では「日本人観光客と外国人観光客の、または年代別の買うものの特徴や違いはあるのか」「外国人観光客への接客の工夫はあるのか」についてお話を伺いました。
ゲスト側への質問内容として「浅草を訪れた目的は何か」「お土産は何を誰のために買ったのか?」を外国人観光客に絞り調査を行いました。アジア圏や欧米諸国の外国人にお話を伺い、観光客ではない日本に滞在・在住する外国人の存在やアイデンティティについて考えるきっかけとなりました。英語で初めて会った外国人に話しかけ、お話を伺うことは自身の英語力を活かす場面であると同時に非常に難しく感じました。しかし外国人の方々がフレンドリーに接してくださり、楽しくお話を伺えたことはとても良い経験になりました。
日本人観光客やインバウンドが戻りつつある浅草における今回のフィールドワークを、今後のゼミ活動や英語学習の発展に繋げたいと思います。
新大久保から多文化共生について考える(フィールドワーク実習報告vol. 5
2022年8月18日、最終日の3日目では、班活動でフィールドワークを行いました。私たちの班は、多文化共生を主な研究テーマとし、新大久保に行きました。具体的な訪問場所としては、しんじゅく多文化共生プラザ、イスラム横丁、コリアンタウンを訪れました。新宿区は、多文化共生の街として有名です。私たちは、初めに本当にこのまちで多文化共生が実現しているかを調べるために、しんじゅく多文化共生プラザを訪れました。ここでは、センター内にある資料を拝見しました。施設内では、外国人訪問者が母国語で相談などが出来るよう、外国語を話せる職員が曜日ごとに対応言語を決め、対応をされるそうです。また、センター内は外国人が働きやすい環境が整っており、実際に私たちが訪問した時には、中国人女性が受付をされていました。
イスラム横丁やコリアンタウンでは、現地で生活をする外国人の声を集めるために新大久保で働く外国人に実際にインタビューをしました。インタビューの具体的な内容として、「日本に滞在する理由」や「日本や日本人に対するイメージ」などの情報を収集しました。
ここ数年間はコロナ禍で外国人と関わる機会がありませんでした。しかし、新大久保でのフィールドワーク全体を通して、久しぶりに多くの外国人とコミュニケーションをとることができ、実際に会話をすること自体がとても新鮮で楽しかったです。
新大久保という多文化が共生する街を実際に訪れてみることによって、まるで日本ではないようなお店の雰囲気などからも異文化を体感することができました。しかしその反面、繁華街から少し離れた路地では、外国人のみのコミュニティーが形成されてしまっていて、多文化共生が実現しているとは言い難い現状も垣間見えました。今回のフィールドワークで得た情報を、今後の活動の糧にして精進していきたいです。
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