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現代社会学科

2022.10.25

【卒業生の活躍】「社会学」の視点を地域の行政職に活かす|現代社会学科卒業生 久志 百合香さん

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学科ダイアリー

社会連携・研究

社会連携

私は現在、吉備中央町役場の企画課に所属しています。吉備中央町は、岡山県の真ん中に位置しており、人口は約1万人の町です。産業の中心は農業で、ふるさと納税の返礼品である「ふるさと米」は全国から注目されています。また、吉備高原都市は、地盤が強固であり、地震に強く安心安全な都市とも言われています。

【写真1】上空からの吉備中央町

【写真1】上空からの吉備中央町

【写真2】吉備中央町の「ふるさと米」(ふるさと納税返礼品)

【写真2】吉備中央町の「ふるさと米」(ふるさと納税返礼品)

私が現在所属している企画課は、町の重要施策の企画、地域情報化の推進、広報活動等の業務を行う部署で、私はホームページ、SNS、音声告知放送等、情報発信に関する業務を担当しています。ここでは、現代社会学科で学んだ「社会学」が行政職員として働く上で、どのように役立っているかについて述べたいと思います。

私は卒業論文で、瀬戸大橋の橋脚となっている島について研究しました。瀬戸大橋の橋脚(橋の土台)となっている島は、与島、岩黒島、櫃石島の3つです。それぞれの島に住んでいる島民の方から聞き取り調査を行い、瀬戸大橋建設に対して島民が起こした行動と、現在の認識について調べました。

【写真3】岩黒島から見た瀬戸大橋

【写真3】岩黒島から見た瀬戸大橋

【写真4】岩黒島に建設された瀬戸大橋の橋脚

【写真4】岩黒島に建設された瀬戸大橋の橋脚

社会学には、「受益・受苦圏」という考え方があり、例えば、ダムの建設、新幹線の路線設置等、それらが建設されることによって利益を得るエリアと不利益を被るエリアが生じます。瀬戸大橋の建設についても、交通体系の改善が図られ、観光・物流・通勤通学の側面では多くの利益を生みましたが、一方で、フェリー業界の衰退、橋の直下に位置する地域の騒音問題などが発生しました。中でも、瀬戸大橋の橋脚となっている島では、交通手段の変化、産業の衰退、人口流出等、島での生活そのものに多大な影響をもたらしました。
 
大規模な公共事業を、社会学の視点から分析する際には、表面的な発展のみでなく、それによる人々の生活環境の変化等、様々な視点から社会の流れをとらえていく必要があると考えられます。

【写真5】与島に建設された瀬戸大橋の橋脚

【写真5】与島に建設された瀬戸大橋の橋脚

 近年、コロナ禍により人々の生活は大きく変わり、社会のデジタル化が急速に進んでいます。行政として、社会の変化へ対応していくことはもちろんのこと、その先を見据えた取り組みもしていかなければなりません。リモートワークの普及によりどこでも仕事ができる現代だからこそ、都会などから地方へ移住を考えている層へ、町の魅力を積極的に届けていくことが重要だと思います。

今後益々、行政の情報発信が注目されていく中で、町の取り組みを効果的に伝えるために重要なことは、情報の取捨選択と整理整頓です。情報を詰め込むのではなく、受け手にとってどのような情報があれば嬉しいか、どのような情報が役に立つのかを考える視点を忘れないようにしています。情報発信の業務を通じて、行政職員という立場から一歩引いて町の取り組みを分析するという経験を積ませてもらっています。

【写真6】デジタル田園健康特区・吉備中央町の協議会

【写真6】デジタル田園健康特区・吉備中央町の協議会

「町民がワクワクしながら生活できる環境を提供する未来型シティの創出―吉備中央町HP」 ( https://www.town.kibichuo.lg.jp/site/kibikougentoshi-supacity/ )

また、吉備中央町は、この度、革新的事業連携型国家戦略特区「デジタル田園健康特区」に指定されました。これは、デジタル技術の活用によって、人口減少、少子高齢化など、特に地方部で問題となっている課題に焦点を当て、地域の課題解決の先駆モデルを目指すものであり、今後様々な取り組みを展開していくものです。
 
地方の課題を、デジタル化を活かした取り組みによって、社会全体を発展させていくことが期待されています。特区の指定をきっかけに、色々な課の職員や、ステークホルダーの方々が現状をより良いものとするために努力されている中で、私も自分のできることから貢献できるように頑張りたいと思います。

私は行政に関する仕事だからこそ、「多くの視点から物事をとらえ、分析する力」が重要だと感じます。社会学で学んだ多角的な視点を、日々の業務に生かしていきたいと思います。

岡山県吉備中央町役場・企画課 久志百合香(本学現代社会学科 2017年度卒業生)

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