本学人間生活学部食品栄養学科の小林謙一教授が、公益財団法人両備檉園(ていえん)記念財団の第44回研究助成で、生物学研究奨励賞を受賞しました。
本助成は、岡山県下における独創的・先駆的な生物学的研究を奨励、振興するすることを目的としたものです。
写真:左から安原氏、小林教授、大木氏、石川氏
研究課題は、
非アルコール性脂肪肝炎におけるトリプトファン代謝異常の「腸-肝-脳」連関の解明
です。
近年、肥満などを介してアルコール性脂肪肝炎(NASH)という病気を発症する患者が増加しており、この病気の発症メカニズムに注目が集まっています。
私たちは、肥満を介してNASHを引き起こすマウスを用いて解析したところ、アミノ酸の1つであるトリプトファンの体内での代謝が異常になることを見出しました。
一方で、NASHを発症すると、精神疾患のリスクが高まるという報告が数多くあり、NASHの肝臓と脳との間には密接な関連があると考えられます(「肝-脳連関」)。また、NASHにおいては腸内細菌叢が大きく変動することも報告されており、NASHの肝臓と腸との間にも深い関係があると考えられます(「腸-肝連関」)。しかし、これらの臓器連関を繋ぐ因子については明らかになっていません。そこで我々は、NASHでは「腸-肝-脳連関」が存在し、トリプトファンの代謝産物がその臓器連関を繋ぐ鍵因子となると考えました。この研究は、そのことを明らかにしようとする試みであり、NASHの治療のみならず、うつなどの精神疾患の治療や予防などにも役立つものと期待しています。
本研究は、この研究助成をもとに、安原 香子氏(本学食品栄養学科・助手)、大木 淳子氏(山陽学園短期大学 健康栄養学科・講師)、昨年度まで小林ゼミの大学院生であった石川 真美子氏(山陽学園短期大学 健康栄養学科・助手)を共同研究者としてご協力いただきながら実施していきます。
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