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2024.07.01

国語教育研究会「三時の会」について―伊木洋教授インタビュー― | 星野 佳之 | 日文エッセイ247

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国語教育研究会「三時の会」について
―伊木洋教授インタビュー―
 
星野 佳之 (日本語学担当)
古代語・現代語の意味・文法的分野を研究しています。
 

本学の国語教育課程は約70年の歴史を持ちます。
国語科教師として教壇に立つ清心の卒業生が帰ってくる場所、また後輩の学生たちが彼女たちから学ぶ場所を作ることを目的 として、1996年には「ノートルダム清心女子大学日本語日本文学会国語教育部会 国語教育研究会」(通称、「三時の会」)が発足し、今に至ります。
2023年12月に開催された研究会の模様を取材し、参加者のインタビュー動画を公開しました。今回はその動画に収めきれなかった、国語教育担当の伊木洋教授のインタビューをまとめました。

インタビューの様子インタビューの様子


―日本語日本文学科に着任して10年になりますね。
 もとは鳥取県で中学校の教員をしておりました。教諭として実践し、その後教頭として5年ほど努めて、本学に赴任いたしました。
 研究対象は「国語単元学習」です。国語単元学習というのは、学習者を起点に一人一人の興味関心に応じた学びとすることを大切にする学習です。学習者の国語の力を育てるべく、言語活動にふさわしい材料を集め、どう学びを進めていくのがよいかを考える、そういう実践的な研究です。
 そうした実践研究を中学校に務めながら重ねてきました。教頭になってからは、学習者を指導する先生方に対する指導の機会も持つようになり、教師になる学生たちを育てる仕事に取り組みたいと考え、喜んでこちらに赴任いたしました。

―オープンキャンパス等でつねづね「本学の教職課程は本格的に鍛えますよ!」と言ってきました。
 その通りで、ただ免許を取得するだけの指導はしていません。本当に教師としての実践的な指導力を育てるように心がけていますし、教師にならなくても、教育に関心を持ってくれる人たちを育てるということを大切にしています。
 本学の学生たちは誠実です。集中して地道に学びを継続し、相手のことを大切にしつつ、子どもたち一人一人の力を育てるべく、誠実に学んでいると思います。

―本学科から国語教師になるのは、教育学部を卒業するのとはまた別のルートですね。
 それぞれの良さがありますが、日本語日本文学科を卒業して国語教師になる強みは、やはり日本語日本文学そのものに関する専門的な学びを経ていることだと思います。日本語学という言葉そのものの知識、日本文学に対する興味関心の持ち方・考え方、それを学生たち一人一人が自分自身の実感として持っています。国語という教科内容の魅力をきちっと体得した上で教師になっていく。これは本当に大きな力だと思います。

―大学の授業だけでなく、学外の教育現場とも関わっていますね。
 中学校・高等学校の学校現場の先生方の指導もしています。例えば、2022年に全国高等学校国語教育研究連合会の研究大会が倉敷市で開催されました。そういう場合の指導助言者として、現場の先生方と共に実践研究を行っています。他にも岡山県の中学校の国語教育研究会や、様々な高等学校の実践研究等にも関わらせていただいています。
 また、岡山県・岡山市教員等育成協議会の委員を兼ねています。これからの岡山県・岡山市の教育を担う養成段階の学生たちに、どういう指導をしていけばいいのか、あるいは大学卒業後にどのように教師としてキャリアップを図っていくかということを、ともに考えています。

―「三時の会」も長く続いていますね。
 国語教育研究会、正式には「ノートルダム清心女子大学 日本語日本文学会 国語教育部会 国語教育研究会」という名称です。現場の先生たちが参加しやすいように、土曜日の午後3時に行われるということで、通称「三時の会」。大学を卒業しても、教師になった方たちがともに学べる場を持つことができるようにと始まったものを引き継ぎました。
 現場の先生方と在学生とが、ともに学ぶ場としてより一層機能すればと心がけてきました。多くの学生たちが参加して学びを深めています。
 会を運営する上で、もちろん苦労もあります。現場の先生方はそれぞれ実践研究をなさっていますけれども、多忙な中でそれをまとめて報告をするのは、ハードルの高いものです。ご無理を言って発表をお引き受けくださることも時にはあります。
 ただ、ささやかなことでもいいと思います。大きなまとまった研究でなくても、日々お感じになっていること、ささやかな工夫をなさっていること、子どもたちの力を育てるために小さな試みをなさったこと、そういうことをご発表いただき、共有できればと思います。そういう共有の場があることが、私にとっても何よりも喜びです。卒業していった教え子たちが発表してくれることはもちろんですが、在学生たちがここで大きな学びを得ているのを見ること、そしてその場に共にいることが、何ものにも代え難い喜びです。
 この会で発表される先生方それぞれの実践は、大変貴重な示唆に富んでいます。日本を支える子どもたちの言葉の力を育てていく上で、貴重な価値を持つものだと思っています。


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