2023.09.10
約70年の歴史を持つノートルダム清心女子大学の国語教育課程は、卒業生と在学生、国語教育に関心のある人々が集い、互いに高め合う場として「三時の会」を継続して開催してきました。
この度125回を迎えた例会の様子を、国語教育担当の伊木洋教授が記しました。
実践を高め合う場
ノートルダム清心女子大学日本語日本文学会国語教育部会第125回例会
【著者紹介】
伊木 洋(いぎ ひろし)
国語教育担当
国語科教育の実践理論を研究しています。
2023年6月11日(日)、ノートルダム清心女子大学日本語日本文学会、国語教育部会国語教育研究会第125回例会(通称三時の会)を対面で開催した。新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンラインによる開催や参加者を学内に限定した開催としてきたため、通常の開催は、2019年11月30日に開催した第120回例会以来のこととなった。
久しぶりの通常開催となった第125回例会に参加してくださったのは、発表者の矢野祥子先生(岡山県立邑久高等学校)、辻田詔子先生(岡山県立総社南高等学校校長)、板谷香奈先生(岡山県総合教育センター指導主事)、畝岡睦実先生(岡山県立岡山南高等学校)、末田順子先生(岡山市立東山中学校)、林明依さん(岡山大学大学院2年在籍、本学日本語日本文学科卒業)、寺尾穂乃香さん(ノートルダム清心女子大学大学院1年)、本学学生17名の計26名であった。
研究会では、自己紹介の後、日本語日本文学会で実践発表してくださった矢野祥子先生のご発表「高等学校における言語生活を見つめる学習指導の試みー「打ち言葉」の学習指導を取り上げてー」に対する研究協議を行った。
昨年度から実施となった「現代の国語」における実践発表に対して、辻田校長先生からは、学習者の言語生活に根ざした緊要な課題である「打ち言葉」を国語科の学習として取り上げた試みの価値を指摘していただいた。板谷先生からは、道徳教育との関連性に関するご意見をいただいた。末田先生からは、中学校における学習指導との関連から発達段階を意識した学習指導についてご意見をいただいた。畝岡先生からは、ICTを活用した学習指導について先進的な具体例をお示しいただいた。それぞれのご意見に対し、発表者の矢野先生からコメントをいただき、充実した研究協議の場となった。
研究協議のまとめとして、伊木(ノートルダム清心女子大学)は、実社会に必要な言葉の力の育成を目指す「現代の国語」において、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、学習者の言語生活の実態を踏まえた学習指導が展開されていることの重要性を指摘し、高等学校においてこうした学習者の言語生活に根ざした学習者主体の学習指導を一層充実させていく必要性があることを説いた。
参加した大学院生、学部生からは、言語生活に根ざした学習指導の具体的な実践をうかがう機会を得て、学習者の言語生活を学習材とすること、ICTを効果的に活用すること、発達段階を踏まえた指導の重要性など、多くのことを学ばせていただいたとの感想が聞かれた。
本研究会は、大学院生、学部生が卒業生の方のお考えをお聞きする場としても貴重な機会となっており、学部生の一人は、「いろいろな学校に清心を卒業した先輩の先生がいらっしゃるというのはなんだか心強いなと思った。先生たちの話し方や言葉の選び方、声の大きさなどから先生としての振る舞いを感じ、子どもたちの前に立つときに、私も先生たちのような姿で立てるようになりたい思った。」と感想に記している。
本例会を終えて、辻田詔子校長先生から、次のようなご感想をいただいた。
「三時の会に参加させていただき、ありがとうございました。邑久高校の矢野祥子先生の実践発表をお聞きし、現職の中学校・高校の先生方、また、教職を志す清心の3・4年生、大学院生の皆さんと、充実した研究協議の場をもつことができました。学生の皆さんの熱心にメモを取りながら聞く姿や質問する姿に、現職の先生方もこれまでの取り組みについて何か参考になればと、熱のこもった話が続きました。
国語教育について、先輩と後輩が繋がることができる「三時の会」という場は貴重であり、こうした場をご提供いただいたノートルダム清心女子大学の伊木洋先生に改めて感謝申しあげたいと思います。
言葉を扱う国語教師の果たす役割には大きいものがあり、教師という仕事の責任の重さは言うまでもありません。しかし、同時に、言葉を育み、人を育てる国語教師という仕事には多くの喜びと感動があります。引き続き、三時の会という場を通して、参加される皆さんとともに、国語教育について語り合い、悩み、喜びを分かち合っていけたらと思っています。」
実践をもとに、語り合い、互いの実践を高め合う場として、本研究会を続けていきたい。
本学卒業生はもちろんのこと、本学卒業生のみならず、実践を高め合う志をお持ちのご参加も受け付けている。