2022年度に本学を卒業した日本語日本文学科の学生たちに、卒業論文に取り組んだ体験について「WEB卒論」として語ってもらいました。あわせてゼミの教員からも、学生の卒業論文についてコメント・解説をしてもらうとともに、ゼミの紹介もしてもらいました。全5回です。
第5回(最終回)は長原ゼミと家入ゼミです。
長原ゼミ
中尾楓果さん
卒論題目:吉屋信子『わすれなぐさ』から見る女学生の自己肯定感について―現在の女学生と比較して―
この卒業論文で、入学したころから何となく思っていた「こんなことを研究したいな」を形にすることができて非常に嬉しく思っています。大変なこともありましたが、興味のあることをテーマにできたので、楽しみながら研究ができました。
取り組み期間が長く、分量も多い卒業論文を書くにあたって必要になる計画性や文章構成力、論文作成の決まりなどを、日本語日本文学科での基礎演習、特講、講読、演習の授業で、年次ごと段階を追いながら学ぶことができたと感じています。また、物事に対して自分なりの疑問を持ち、それを突き詰めようとする態度も身につけることができました。
計画や構想を綿密に練って物事に取り組むという、卒業論文作成での学びを、社会人になっても大事にしていきたいです。
卒論担当教員(長原)から
近現代文学を研究する長原ゼミでは、明治から令和の今に至る文学を対象に卒論研究を行っています。ゼミ生の興味は幅広く、江戸川乱歩や太宰治、横溝正史、東野圭吾、三浦しをんなど、2022年度の対象作家は様々でした。作品を読み説くことはもちろん、作家の女性観を解明したり、海外作品(「若草物語」)の翻訳を時代による違いから探ったり、原作となる作品を映画やドラマと比較したりと、各自の決めたテーマを深めていきました。
この中で中尾楓果さんは、現代の若者が抱える問題である「自己肯定感の低さ」に着目し、文学を通してその原因を明らかにしつつ、自己肯定感を高めるために何ができるかについて考えました。
中尾さんを含めた全てのゼミ生が文学作品に真摯に向き合い、自分の思いのこもったテーマに対して1つの答えを出せたことは大きな成果となっています。
家入ゼミ
高藤のなさん
卒論題目:木簡にみられる書風の考察
今年度の家入ゼミでは書に関連した研究を行っているゼミ生が多く、私は、木簡の書風について考察を進めてきました。他のゼミ生は教育現場における「書くこと」について考察を進めてきました。私たちのゼミでは、週に一度一人が発表を行い、少人数ゼミを生かし一人の考察に対し他のゼミ生と先生で意見を交換し、みんなで卒業論文を作り上げてきました。今年のゼミ生は全員が教員採用試験を控えていたこともあり、限られた時間の中ではありましたが、家入先生が一人一人に丁寧に指導を行ってくれたため、様々な資料や知識を得ることができ、みんなで声を掛け合い切磋琢磨しながら卒業論文を完成させました。多くの資料を比較する中で自分の意見を持つこと、それをいかに相手に伝えるか。社会に出たときに大切になることを、この家入ゼミで学ぶことができました。
卒論担当教員(家入)から
家入ゼミでは、主に書に関する卒論研究を行っています。毎週、一人が発表を行い、その発表内容についての質疑応答や討論等の話し合いを行います。書そのものについての研究では、活字資料を読むだけではなく、多くの写真資料を比較しながら話し合いをすることもあります。また、書写教育や書道教育の研究では、これまでの歴史や現在の書写や書道教育について話し合いをすることもあります。
この中で高藤のなさんは、日本の木簡の書風についての考察を行いました。出土場所による木簡の書風の異同や、どのような影響を受け日本の木簡の書風が成立しているのか等について、書風を比較検討して研究を行いました。
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