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日本語日本文学科

2022.09.16

《特殊文庫の魅力》第4回「特殊文庫を利用した講義」 日本語日本文学科 江草弥由起

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日本語日本文学科

授業紹介

本学特殊文庫には、本学国文科(現・日本語日本文学科)の教授であった故・正宗敦夫氏の旧蔵書からなる正宗敦夫文庫、江戸時代を代表する国学者である黒川春村・真頼・真道の旧蔵書を収める黒川文庫を中心とし、貴重な古典籍が多く所蔵されています。特殊文庫の資料を授業や自身の研究に活用している日本語日本文学科の教員が、全10回にわたって「特殊文庫の魅力」を発信します。

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《特殊文庫の魅力》第4回
「特殊文庫を利用した講義」 

日本語日本文学科 講師 江草弥由起
 

貴重な古典籍が多く所蔵されている特殊文庫は研究者・専門家らに開かれ、学術の発展のため利用されています。古典籍の扱いを熟知した研究者らのみに開かれているかというと、そうではありません。古典籍に実際に触れて多くのことを学ぶ機会を、本学では講義の中で学生に提供しています。今回は特殊文庫を利用した講義の一つである「中世文学講読Ⅰ」の紹介を通して、古典籍に触れての「学び」の面白さをご案内しようと思います。

「中世文学講読Ⅰ」は、特殊文庫の書庫の中に入って調査資料を一つ選び、それを約半年かけて調査しながら書誌学を学んで行く体験学習型の講義です。嬉しいことに2022年度は古典籍に興味を持つ学生が多く集まったため5名グループを8班作り、グループワークで資料調査に取り組み、それぞれに調査内容を発表してもらいました。その内容と着眼点が素晴らしかったと多くの受講生から評価されたグループの代表者2名より、特殊文庫を利用した講義にて学んでの声が届いていますのでご紹介します。


 

「グループワークでの古典籍調査」

グループ長 日本語日本文学科 4年 髙橋未羽(倉敷南高校出身)

グループワークでの古典籍調査について意識したことは、小さな気づきからグループ全員で考えを発展させることです。古典籍に実際に触れることで分かった、古典籍の触り心地や、ページの捲りづらさなど、どのような小さな気づきでもメモをしました。その小さな気づきから、新たな問いを発見します。互いの知識を持ちよりあい、発見した問いを多様な考えに発展させていきました。一人で研究していては考えつかないような新たな考え方に出会えることがグループワークの良さであると考えます。私たちの班では、一番下の学年である二年生が、くずし字から読み取った情報を調べてくれました。上級生である三年生も、古典籍についての深い知識で研究対象がどのような本であるか多くの意見を出してくれました。また、私が投げかけた問いについて学年問わず、全員がそれぞれの考えを述べてくれました。学年の差を超えて、古典籍の調査に全員が積極的に取り組めたと思います。


 

「古典籍調査の体験を通して気づいたこと・学んだこと」

日本語日本文学科 3年 江藤みく(丸亀高校出身)

今回私たちが調査した古典籍では、裏表紙の見返しの裏に、印や書き込みが確認できたり、本の背に、合冊と判断できるような綴じ跡が見られたりしました。事前のマイクロフィルム等を用いた調査では分からなかったことが多く、実物を確認して触って、あらゆる角度から考えることの大切さを学びました。特殊文庫で、実際の古典籍を用いた調査は初めてでしたが、匡郭の寸法の計測によって、本が刷られた時期を推測できることや、蔵書印の調査によって、本の流通経路が見えてくることなどが印象に残りました。こうした書誌学ならではの考え方が大変興味深いと感じました。また、実際に本の形として自分の目で見ることで、これまで親しんできた古典が、多くの人々に読まれ、受け継がれてきたものであるのだと、より強く実感することができました。今後の学びにおいても良い経験になったと思います。

合冊の可能性を確認中

合冊の可能性を確認中

蔵書印サイズの計測

蔵書印サイズの計測

髙橋さんと江藤さんのグループは『小町物語』(黒1-G-218)の調査に取り組みました。当該資料は黒川文庫(近世の国学者黒川家の蔵書)に含まれる資料です。特殊文庫所蔵の黒川文庫の古典籍の多くに、黒川真道や真頼の書入が確認できます。この『小町物語』には書入がなく、表紙には「珍本」と書かれた貼紙があります。書入がないところから、珍しさは学問をなす上での資料価値に基づいてではないだろうと推定し、当該資料が「珍本」とされる理由は何なのかを考え、そしてそこから近世において本の価値は何によって決まり判断されたかという問いを立てて取り組んでいきました。

 

『小町物語』(黒1-G-218)表紙

『小町物語』(黒1-G-218)表紙

裏表紙見返し裏の「青山堂」印

裏表紙見返し裏の「青山堂」印

その他のグループも様々の視点で調査資料の解明に取り組んでいました。学生らが自ら選び手にした古典籍が、「知りたい」という知的好奇心を膨らませてくれたのかもしれません。最も重要なのは、その好奇心を学習に繋げたのは学生ら自身の努力ということです。学生らの学びの可能性を見ることができたことは大きな収穫でした。

学内外問わず特殊文庫での学びに興味が湧いてきた方は、是非下記URLから特殊文庫の紹介をご覧下さい。

 

附記
 本記事は2022年度学長裁量経費教育改革研究助成金「「ノートルダム清心女子大学」特殊文庫目録」改訂に向けての資料整理および調査・研究」を受けての研究活動の一環として作成・公開しています。

 

ノートルダム清心女子大学附属図書館
「特殊文庫」紹介ページ https://lib.ndsu.ac.jp/collection/special.php

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