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日本語日本文学科

2022.06.16

《特殊文庫の魅力》第1回「特殊文庫とは?」|日本語日本文学科 野澤真樹

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授業紹介

本学特殊文庫には、本学国文科(現・日本語日本文学科)の教授であった故・正宗敦夫氏の旧蔵書からなる正宗敦夫文庫、江戸時代を代表する国学者である黒川春村・真頼・真道の旧蔵書を収める黒川文庫を中心とし、貴重な古典籍が多く所蔵されています。特殊文庫の資料を授業や自身の研究に活用している日本語日本文学科の教員が、全10回にわたって「特殊文庫の魅力」を発信します。

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《特殊文庫の魅力》第1回「特殊文庫とは?」

日本語日本文学科 講師 野澤真樹


高等学校の古典の授業で『源氏物語』や『おくのほそ道』などの古典文学作品に触れたという人は多いでしょう。古典文学とは江戸時代以前に成立した文学作品のことを指しますが、それらの作品がどのような形で現代に伝わってきたか、考えたことがあるでしょうか?

教科書や一般の書籍では、古典文学作品をパルプ紙に印刷された活字体で読む事ができます。しかし当然ながら、それは作品のもともとの姿ではありません。文学作品は、その時代にあった素材(和紙や、木簡など)に、その時代にあった技術(書写や、木版印刷など)で「本」に記され、伝えられてきたのです。(現代私たちが手にする書籍とは形が大きく異なるものもありますが、今は便宜上これらを「本」と呼んでおきます。)


 

黒川文庫『古今餘材抄』

黒川文庫『古今餘材抄』

古典文学作品や歴史資料を現代に伝えてきた江戸時代以前の「本」のことを「古典籍」と呼びます。「古典籍」は全国の博物館や公立・私立図書館、大学図書館などに所蔵されていますが、多くの場合、ガラスケースの中に展示されていたり、また、貴重書として一般には公開されていない場合もあり、なかなか簡単に触れられるものではありません。古典文学作品や、それらをモチーフにした作品は身の回りに溢れているにもかかわらず、古典文学作品を現代に伝えてきた「古典籍」は私たちの生活からはやや離れたところにあります。

本学には、全国的にも価値の高い「古典籍」のコレクションを収める「特殊文庫」があります。「文庫」とは「ふみぐら」とも読み、もとは「書庫」を意味する言葉です。本学の附属図書館には教育研究のための様々な資料が所蔵されていますが、それとは別に、「特殊」な資料を収蔵する「文庫」として、正宗敦夫文庫、黒川文庫を中心とした貴重な「古典籍」を収めるのが特殊文庫です。特殊文庫に所蔵される資料は現代まで幅広い分野の古典文学研究に寄与してきました。
 

特殊文庫の書庫。古典籍の多くは柔らかい和紙で作られているため、横置きで保存します。

特殊文庫の書庫。古典籍の多くは柔らかい和紙で作られているため、横置きで保存します。

日本語日本文学科では、本物の古典籍に触れ、古典文学作品に対する理解を深めてもらうことを目的として、特殊文庫の資料を利用した授業を開講しています。そのひとつが、「近世文学講読Ⅱ」です。この授業では実際に資料を手に取って調査するとともに、古典籍を扱う際の作法を学び、貴重な資料を後世に残していくための知識を身に付けます。
 

「近世文学講読Ⅱ」の模様

「近世文学講読Ⅱ」の模様

2021年度の「近世文学講読Ⅱ」では受講生が特殊文庫に所蔵されている古典籍のなかから1点を選び、調査した結果をまとめて口頭発表を行いました。古典籍は、そこに記される作品そのものに価値があるだけでなく、本の装訂(綴じ方)や材質、蔵書印などから多くの情報を得ることができます。

たとえば、江戸時代の本には木版印刷によって作られたものが多く存在します。木版印刷で作られた本を「版本(刊本)」と呼びますが、この印刷面には本文を囲う枠(「匡郭・きょうかく」)がある場合が多く、この枠の寸法を測ることで、その本が初版に近いのか、それとも後刷本にあたるのか、といったことを推測できると言われています。

これは当時の木版印刷が桜の木の一枚板を用いて行われているためです(印刷方法は、私たちが小中学校の美術の時間に経験する木版画をイメージしてください)。印刷に用いられる一枚板は、時間の経過とともに水分が抜けて縮んでいき、全体が小さくなると考えられています。匡郭の寸法はその目安になるもの、というわけです。

正宗敦夫文庫『南総里見発見伝』第二輯

正宗敦夫文庫『南総里見発見伝』第二輯

版本の匡郭を計測する学生

版本の匡郭を計測する学生

高等学校などの授業では「文章」や「単語」を意識して触れることの多い古典文学作品ですが、現代に伝わってきた「モノ」としての古典籍に触れることで、それまでとは異なる見方、感じ方ができるようになるのではないかと思います。

日本語日本文学科では「近世文学講読Ⅱ」以外にも、授業や研究に様々なかたちで特殊文庫を利用しています。次回以降、古典文学作品を研究対象とする日本語日本文学科教員が、それぞれの担当授業や専門分野に関連づけながら、特殊文庫を通した教育・研究のかたちを紹介していきます。

全10回を予定している連載企画「特殊文庫の魅力」が、古典籍の奥深さを多くの人に知ってもらう手助けになれば幸いに思います。



附記
本記事は2022年度学長裁量経費教育改革研究助成金「「ノートルダム清心女子大学」特殊文庫目録」改訂に向けての資料整理および調査・研究」を受けての研究活動の一環として作成・公開しています。


ノートルダム清心女子大学附属図書館「特殊文庫」紹介ページ

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