「女性がリーダーシップを発揮するロールモデルの構築に向けて」
ノートルダム清心女子大学
学長 シスター 津田 葵
学長 シスター 津田 葵
一昨年から新型コロナウイルス感染症に世界が悩まされ、未だ先行き不透明なさなかにある現在、皆様を社会に送り出すことに一抹の不安を抱いております。
現代社会における女性の責務・現状と課題は、大学の創立者聖ジュリーの生き方と大いに関連しています。
女性のエンパワーメント(力をつけること)が叫ばれている中、SDGsのジェンダー平等の目標は、このパンデミックをきっかけとして、社会的、経済的、法律的に女性の地位を改善し、強化する道へとつながっています。よりよい未来を築くため、この社会の現実に目を向け、それに向きあい可能なことを先導してゆくことが求められているのです。
また、女性がリーダーシップを発揮する社会では逆境や困難に直面したときに適応する精神力と心理的プロセスがかなめになります。
聖ジュリーは、自分に与えられた使命を信じ、それに向けて最善を尽くそうと努力し、その生涯は、信仰にもとづくレジリエンス―復元力、回復力―によって特徴づけられます。
皆様の行く手にすばらしいIT技術があったとしても、人間的な触れあいと愛の交流がなければ相手を真に癒やすことができないということを忘れないでください。そして、たとえ過酷な状況に見まわれても、そこでどう生きるかという人間のあり方といった自由は、だれにも奪われないということを、聖ジュリーの生涯を通じて、心に銘記してお過ごしになられますようにお祈りしております。
(2022年3月3日ノートルダムデー講話より)