【WEB卒論】 東城敏毅ゼミ(上代日本文学)
-飛鳥・奈良時代の「万葉びと」の世界に思いをはせる-
-飛鳥・奈良時代の「万葉びと」の世界に思いをはせる-
日本語日本文学科 東城敏毅
先日2月17日に、日本語日本文学科、東城敏毅ゼミでは3年と4年の合同ゼミを実施いたしました。合同ゼミは、例年この2月の時期に実施していますが、卒業論文を書き終え、口頭試問も終えた4年次のゼミ生が、3年次のゼミ生に、卒論の進め方、先行論文の集め方、または就職活動の方法から最後の1年間の過ごし方等までを伝授する、毎年恒例のゼミです。今年度はコロナ禍のために、Zoomでの実施となってしまいましたが、先輩からのアドバイスは、教員の言葉以上に、重みをもって、身近に実感できたと思います。4年次の学生は、学生生活のすべてを終えた安堵から、3年次の学生は、今後の多くの悩みや不安から、対照的な雰囲気が漂いますが、今年3年次の学生も、来年度の今頃は、穏やかな顔になっているだろうと期待します。
さて、東城ゼミは、主に、上代日本文学をテーマとする学生が集い、4年間の集大成「卒業論文」を目指します。上代日本文学とは、日本の最も古い飛鳥・奈良時代の文学を指し、最古の和歌集『万葉集』や、『古事記』『日本書紀』『風土記』における古代神話を扱います。『万葉集』には、初期女性歌人である額田王、儀礼歌を確立した柿本人麻呂、中国文学を取り込んだ山上憶良、編纂者と目される大伴家持の歌日記、浦嶋伝説等の伝説を詠んだ高橋虫麻呂の歌等、後世の文学を彩る和歌世界が凝縮されています。それらの歌一首一首をじっくりと読み解くことは、和歌史の解明とともに、新たな古代史を掘り起こすことにもつながります。歌表現から飛鳥・奈良時代の古代の生活に思いをはせることができるのです。
また、日本神話に描かれる「イザナキ・イザナミ」「黄泉の国」「アマテラス」「ヤマタノヲロチ」「稲羽の白兎」「オホクニヌシ」等の神々の世界は、日本人の世界観を端的に表わすと同時に、現代においても、私たちの身の回りにある神社や身近な民俗・風習・慣習とも密接に結びついています。
ゼミでは、自分の興味のあるテーマを自らが設定し、お互いに議論しながら発表することで、古代世界の核心に迫っていきます。そして、歌表現や日本神話を、歴史学や考古学の成果も取り入れながら、じっくりと考察・分析することで、飛鳥・奈良時代の世界を、生き生きとよみがえらせつつ、自分の研究をまとめあげていくのです。卒論の書き方やまとめ方、引用文献の書き方や参考文献の収集方法等の研究の基本は、3年次の「古代文学演習」という科目で、地道に論理的に学んでいきますが、伝えたいのは、どのような研究にもロマンが必要だ、ということです。自分を取り巻く世界は、過去の世界と密接に結びついていますし、過去の世界観は、現代の私たちの世界観に新たな意味を見出してくれます。ゼミ生が一丸となって、そのような古代文学のロマンを追い求める、これこそが東城ゼミの大きなねらいなのです。
また古代を実感する「万葉旅行」も重視しており、例年、3年次には、飛鳥・奈良の地に、4年次には、ゼミ生が計画をたて、京都や福岡・島根等、「古代」を実感できる地にでかけます。例えば、奈良の地は、日本古代における最重要地であり、小学生の修学旅行等では感じることのできなかった、古代文学の意義を理解することにもつながるはずです。つまり、「万葉旅行」は、文献のみの理解ではなく、実際の現場を見て「古代」を実感することに重きをおいています。「文学を実感し、体験すること!」、これも東城ゼミのねらいです。このコロナ禍において、なかなか「万葉旅行」も実施できませんでしたが、ぜひとも早く復活させたいと祈念している今日この頃です。なお、コロナ禍において「万葉旅行」を実施できなかった、現4年次のゼミ生は、ぜひともコロナが収束した暁には、自らの足で飛鳥・奈良の地を踏みしめていただきたいと、願っております。
最後の写真は、2019年度の「万葉旅行」の一コマを掲載しています。すでに卒業された学生さんのため、後姿のみの写真で残念ですが、雰囲気だけでも感じ取っていただければ幸いです。
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