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現代社会学科

2022.01.12

高校生の探究学習を探究する|現代社会学科|二階堂裕子教授

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学科ダイアリー

社会連携・研究

社会連携

 現役の高校生は、どのようなことに興味を向けているのか。それについて、どのように学んでいるのか、あるいは、学ぼうとしているのか―。これらの問いは、大学で教える者として、また社会学的な研究に携わる者として、私が抱いている関心のひとつです。

 岡山県立笠岡高等学校が実施している「総合的な探究の時間『ACT』」への関わりは、こうした問いについて理解を深められる絶好の機会です。「ACT」とは、「一人ひとりが主体的に(Active)、じっくりと考え(Thinking)、自分らしく創造(Creative)する」ことを意味しているそうです。

 2021年度は、7月の中間発表会に続いて、12月24日(金)に、1年生と2年生がそれぞれ研究の成果を発表する「第4回ACTデー」が開催され、私はその閉会式で講評を述べる役割をいただきました。
 1年生は、「ローカル課題から未来を考える」という目的のもと、いくつかのグループにわかれて地域学に取り組み、その成果をポスターセッションの形式で報告しました。

 正解のない課題について探究する試みは、高校に入学したばかりの1年生にとって、まずテーマを設定する段階で苦労したのではないかと思います。けれども、地元笠岡の現状をしっかりとふまえつつ、彼・彼女らが見出したテーマはなかなか着眼点がよく、参加者をぐいっと惹きつける魅力をもっていました。そのひとつとして、あるグループは「技能実習生のコミュニティを広げよう!!」と題する報告を行いました。日本で働く外国人技能実習生は、私の研究対象でもあり、高校生がその実態に迫ろうとしたことがとても嬉しかったです。

 一方、2年生は、「グローカル課題をSDGsの視点も取り入れて考える」ことをめざして、テーマ探究活動を進めてきました。当日は、2年生を代表して、6グループが全参加者の前で研究成果を披露しました。探究学習への取り組みは2年目とあって、テーマ設定はもちろん、考察の材料となるデータ(情報)の収集や分析にも、1年生の手本となるような「深み」が感じられます。パワーポイントによるプレゼンテーションもわかりやすく、各報告にどっぷりと入り込んでいるうちに、うっかり写真を撮り忘れてしまいました。

 6つの報告のなかには、研究手法として、文献や公表されている統計データの活用のほかに、アンケートやインタビュー調査、実際に行われている活動への参加を採用したグループもありました。これらは、社会学的な研究においてもしばしば実施される方法で、社会の現実を多面的に捉えるために欠かせません。笠岡高校のみなさんにとって、こうした探究活動の経験が、とらえどころのない社会の実態を解き明かそうとする試みの大きな第一歩となることを願っています。

 さて、この探究学習について探究した私が今回得たものとは、何でしょうか。まず、笠岡高校のみなさんが教科書のない学習活動に真摯に取り組み、試行錯誤しながら、自分たちなりの答えをたぐり寄せようとしていることがわかりました。また、笠岡の地域課題について学び、それを自分事として考えた彼・彼女らは、とてもユニークな解決策を提示してくれました。そして、こうした探究学習を、笠岡高校の先生方はもちろん、笠岡市役所の職員や多くの市民が支えていることも、強く印象に残っています。

 では、これらをふまえて、私が考えるべきことは何か、大学で実践すべきことは何か。また新たな宿題ができてしまいました。

現代社会学科
二階堂裕子教授(教員紹介)

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