• Youtube
  • TwitterTwitter
  • FacebookFacebook
  • LINELINE
  • InstagramInstagram
  • アクセス
  • 資料請求
  • お問合せ
  • 受験生サイト
  • ENGLISH
  • 検索検索

日本語日本文学科

2022.01.18

2021年「第37回 岡山市文学賞 市民の童話賞表彰式」が開催されました。| 児童学科 村中李衣教授| 日本語日本文学科 山根知子教授・星野佳之准教授

Twitter

Facebook

日本語日本文学科

児童学科

岡山市が主催する岡山市文学賞の「市民の童話賞」の入選作品表彰式が、2021年12月19日に、西川アイプラザで挙行されました。
この「市民の童話賞」では、本学の村中李衣教授(一般の部)と星野佳之准教授(小中学生の部)が選考委員を務めています。
授賞式当日は、星野佳之准教授が、小中学生の部の講評を述べ、村中李衣教授が作家・岩瀬成子氏と対談を行いました。
また、本学の山根知子教授と日本語日本文学科学生が岡山市の「学生イノベーションチャレンジ推進事業」として行っている「ツボジョーワールド探検隊」の活動について、学生が報告しました。

● ツボジョーワールド探検隊の活動については、ぜひこちらのブログをご覧下さい。
〈文学の力〉を人生と社会につなげる学生の活動―「ツボ ジョーワールド探検隊」2年目の挑戦―|山根知子|日文エッセ イ 187|日本語日本文学科|ノートルダム清心女子大学 (ndsu.ac.jp)

● 選考会の様子については、ぜひこちらのブログをご覧下さい。
また書いてね ―第34回岡山市文学賞・市民の童話賞の表彰式を終えて―|星野 佳之|日文エッセイ184|日本語日本文学科|ノートルダム清心女子大学 (ndsu.ac.jp)

● 過去に本学で開催された表彰式の様子については、ぜひこちらのブログをご覧下さい。
本学で岡山市の「市民の童話賞」表彰式が開催されました(1)|日本語日本文学科|ノートルダム清心女子大学 (ndsu.ac.jp)
本学で岡山市の「市民の童話賞」表彰式が開催されました(2)|日本語日本文学科|ノートルダム清心女子大学 (ndsu.ac.jp)
 

村中李衣教授

村中李衣教授

星野佳之准教授

星野佳之准教授

ツボジョーワールド探検隊による活動報告

ツボジョーワールド探検隊による活動報告

  
●当日の講評
 星野佳之准教授の当日の講評の内容を、以下に転載します。
 講評の中で、今年度の入賞作品7点について触れていますが、これらの作品は作品集『おかやま しみんのどうわ 2022』(ふくろう出版)にてお読み頂けます。市内書店を中心に県内主要書店にて発売されていますので、ぜひお手にとってお読み頂きたいと思います。 
 
***

 小中学生の部の選考委員4名を代表して、今年度の入賞作品の講評を申し述べます。
 今年は小中学生の部には315件の応募があり、この中から入賞作品を選定致しました。入選作4点、佳作3点、合計7点を選びました。

 河合大哉(かわい・ひろや)さんの『くうちゃんのたん生日』は、くわがたのくうちゃんが友達のだいやくんのところに遊びに来るお話です。内海里紗(うつみ・りさ)さんの『いえにかえろう』は、ゆりちゃんが思いがけず宇宙にいって星座を巡り歩く話です。くうちゃんや星座の行動に工夫が凝らされているのですが、どちらの作品も、楽しかったその日を暖かく眺めて一日を終えるラストが素晴らしいと思います。こうして眠りにつくのなら、その次もきっといい一日でしょう。そういう明日を約束してくれるような作品は、「童話」と呼ぶのに相応しいものだと思います。
 野上華(のがみ・はな)さんの『茜』は、狐と二度出会うことになる人の話です。「あんなこともあったなあ」の一言で、成人した後の主人公を登場させるところなどは、さりげなく展開しているようで、考えてみると大胆な手法です。これを一例として、構成が巧みで、語りに無駄のない引き締まった文章です。
 國政知里(くにまさ・ちさと)さんの『獅子狐と権八』は、岡山方言による昔語りがまず特徴的ですけれども、それだけではありません。長寿草というものを求めて森の中を別けいる主人公が、「今まで見てきた中で一番美しい景色」に思わず見惚れる場面は、筋書きから言えば必須ではないでしょうが、過去を回想する文体に、一種の現在時制を持ち込みます。
 この二つの作品は、こうした緩急をつけた語り口によって、昔話のようだけれども古臭くない、生き生きとした物語になっているのだと思います。

 以上の四作品は、日常の外側にある異世界に踏み出すものでしたが、逆に坂本浩和(さかもと・ひろかず)さんの『僕とジローちゃん』川井結太(かわい・ゆうた)さんの『入れ替わり』は、日常の中に不思議なものを紛れ込ませる作品といえます。
 私のカバンの中にもジローちゃんがいたら楽しいだろうなと思います。犬のちくわと入れ替わらされるのは、ちょっと困ります。あって欲しいなと思う明るさと、見ないでいた方が楽な不都合とで、逆の方向を向いてはいますが、どちらも私たちの日常でしょう。それを、カバンの中のスッポンや、急に起こった犬との入れ替わりという、非日常の極地と言えるものに託して描きながら、依然作品のムードは日常生活のどまん中にあります。どちらの作品も、淡々とした文体のまま、プツンと軽妙に終わる洒落た結末が印象的ですが、日常がそもそも終わりなく続くものである以上、こうした終わり方は、作品の本質を正当に反映したものでしょう。非凡な語り口だと思います。

 天野理央(あまの・りお)さんの『マリーゴールドいろのはね』は、今回の入賞作品の中では唯一、異世界と無縁の物語です。羽化しきれなかったアゲハ蝶の幼虫をめぐって、三人の小学生が思いがけない友情を見出すお話しですが、この作品の重要な登場人物をさらに挙げるとしたら、それは「世論」を持ったクラス全体としての「みんな」です。「みんな」は、幼虫を逃すという主人公の提案に賛成したのに、激しい雨の後に幼虫が見えなくなると心配になって、主人公を非難がましく眺めます。その後の曲折を経て、チャイムが鳴ってわらわらと帰っていくところまで、うつり気な世論を見事に描き切りました。これを背景とするからこそ、主人公たちの友情が心強く思われるのであって、今の私たちの社会を鋭く見据える眼差しを持った童話です。

 このように、それぞれに独自の世界を持った七つの作品を選ぶ事ができました。依然感染症への警戒を怠れない状況は続きますが、それでも去年は、「市長から皆さんに直接賞状をお渡しできただけでもよかった」と思ったものです。それが今年は応募数も例年並みに戻り、このように一堂に会して授賞行事が行えるということを、とてもありがたく思います。
 その上で、これは運営者の側からはちょっと余計なことかもしれませんが、せっかくの機会なので一言申し添えたいと思います。こうして壇上で講評を述べたり、賞状をお渡ししたりするのは、私のような選考委員だったり岡山市長だったりするのですが、私たちだけで市民の童話賞が運営できるのではありません。315もの作品をまず読み込んで、手分けして47作品に絞り込んでくれるのは、市内の学校司書15名の方々です。またそうした作業も含めて、選考の全ての過程や、授賞式までの細かい段取りを取り仕切ってくれるのは、岡山市役所の、文化振興課の皆さんです。こういう人々の、表に出ることのない働きによって、きょうの授賞式まで至りました。私は運営の側の人間ではありますが、みなさんからも、現場の人たちをお労い頂けたらありがたく存じます。

 この後、7名の皆さんの作品を讃え、岡山市民の感謝の意のこもった表彰状を、市長から皆さんにお渡しできることを、選考委員として嬉しく思っております。今後もまた多くの小中学生の皆さんが、岡山に新しいお話を生み出してくれることを願っています。


日本語日本文学科
山根知子教授(教員紹介)
星野佳之准教授(教員紹介)
ツボジョーワールド探検隊(関連ブログ)
【刊行物紹介】日本語日本文学科|ツボジョーワールド探検隊『みどりと水のみちへ~譲治がくれた〈いのち〉の感覚~』

児童学科(学科紹介)
村中李衣教授(教員紹介)

「第37回岡山市民の童話賞」に本学学生2名の作品が入選しました
 

『おかやま しみんのどうわ 2022』(ふくろう出版)

『おかやま しみんのどうわ 2022』(ふくろう出版)

一覧にもどる