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日本語日本文学科

2021.09.01

岡山で行う国際交流|日文エッセイ215|星野佳之|日本語学・古代語から現代語までの意味・文法の研究|日本語教員養成課程

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日本語日本文学科

授業紹介

日文エッセイ

星野 佳之 (日本語学担当)
古代語・現代語の意味・文法的分野を研究しています。


 本学の日本語教員養成課程在籍の学生が、岡山市内で学ぶ留学生と交流してきました。
 
 
 本学には日本語教員養成課程があります。日本語を母語としない人達に日本語を教える教師を育てる課程です。この課程では2年次生から学びを開始し、4年次生の秋季に、実際に外国語話者を対象とした教育実習に臨みます。例年は台湾にある協定校・輔仁大学に赴くのですが、折からの感染症拡大により、去年は断念せざるを得ませんでした。その代わりに、中国やベトナムからの留学生が多く学んでいる岡山ビジネスカレッジにお願いして、教育実習をさせて頂いたのです。
 今年に入っても感染症の収束が依然見通せないのはご承知の通りです。この秋も海外で実習を行える保証がありません。そこで昨年度に引き続き教育実習をさせて頂くのですが、今年はそれだけでなく、本学の学生と留学生の皆さんとの交流自体を目的とした機会を持ちたいとお願いしたところ、快く応じて頂きました。
 交流は岡山ビジネスカレッジが主導して企画を立ててくださいました。
 グループに分かれて、まず互いの自己紹介をします。紙が用意してあって、「名前、出身地、好きな食べ物、趣味」の4つの項目を書き込みます。各自それを踏まえて会話を交わす、というものでした。相当に準備をしてくださっていたようで、留学生は色々な話を聞かせてくれました。出身の中国の街について、「経済的に大きなところではないけれども、自然が美しいから一度行ってみてほしい」と語る姿が印象に残りました。
 こうした会話を、一回20分から30分、何回かグループを交代して続けました。コロナ禍でなければもう少し時間を割けたかも知れません。そう思えば、4項目を書き出しておくというやり方にも、限られた時間を有効に使えるようにという配慮がうかがわれて、有り難いことでした。

岡山ビジネスカレッジにおける交流の様子

岡山ビジネスカレッジにおける交流の様子

 そのような短い時間であっても、時に会話が途切れることもあるようでした。初めて会う相手ですし、それが普通でしょう。要因も、「留学生の側に語彙が見つからない」といった場合だけではなかったようです。そもそも今回参加してくださった留学生のみなさんは、随分と上手に日本語を話していました。コロナ禍による入国の遅れもあって、日本語を習い始めてまだ半年なのだそうです。それで日本人との会話をリードしてくれるのですから、これには同行した本学の尾崎喜光教授も私も、大変驚きました。 
 私の目に付いたのは、例えば「ここの伝統料理とはどういうもの?」「岡山でお薦めの場所は?」といった問いかけに、本学の学生が立ち止まっているケースでした。どれも、改めて問われればとっさには答えられないものですね。そして私たちが外国を訪れたら、確かに現地の人に聞きたくなることでもあるでしょう。
 後々、「私ならどう答えたかな」と考えてみました。伝統料理として、祭り寿司のことなどが言えたらよいかも知れません。或いは、サワラを好んで食べる地域だと説明するのもありでしょうか。ここまで来て、「ラーメンやカレーではいけないだろうか」と思い至りました。こんなに私たちの生活に馴染んでいる料理は、あまり他に思いつきません。それらしい答えもそうでないものも、私たちの生活のそれぞれの側面ですが、いずれにしても普段はあまり顧みることがありません。
 日本のことと言葉とを知るほどに、自分の国のことも改めて見つめ直すことになるはずですから、異国で暮らす留学生には自分のことを問い問われる機会が毎日のようにあるのでしょう。そういう日々を送る彼らの知見が広がり深まっていくのは疑いようがありません。
 気をつけなければならないのは、この社会のマジョリティである私たちの方でしょう。努めて意識しなければ、自分の内も外も見渡せるような窓をいくつも開けていくような機会には、そうそう恵まれるものではありません。だからそのような場の一つを与えてくれる隣人がいるというのは、私たちにとってとても幸いなことです。岡山ビジネスカレッジのみなさんに、心からの感謝を寄せたいと思います。

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