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日本語日本文学科

2008.09.01

図書館見学<県立図書館の巻>|神原 俊治|日文エッセイ59

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日文エッセイ

日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第59回】2008年9月1日
図書館見学<県立図書館の巻>
著者紹介
神原 俊治(かんばら としはる)
図書館学・司書課程担当
図書館を活用した資料と情報の探索方法を探究しています。

※教員情報は、掲載時のものです。
今回は、山口県立山口図書館を紹介します。
図書館の概要(数字は「日本の図書館 統計と名簿 2007」による)
奉仕人口:1,499千人  蔵書冊数:709千冊(0.47冊/県民一人あたり)【岡山県:850千冊】
職員数:27人(内有資格者21人) 2006年度購入図書冊数:13,174冊
2007年度図書購入予算:42,865千円  延べ床面積:8,471㎡
図書館設置率:90.9%

山口県立山口図書館は、JR山口駅から歩いて15分少々の場所に位置し、周辺には文化施設である県立美術館、県立博物館があり、また、山口市役所、山口県庁など行政の中心地でもある場所に設置されています。一般的には行政の中心地といえば喧噪な場所をイメージしますが、ここでは鬱蒼と繁る樹木に覆われた清閑な環境の中にありました。

当該図書館は、「図書及び図書館史」「資料組織概説」の中で取り上げており、講義内容の確認するのが主な目的でした。1903(明治36)年に開館し、その時の初代館長が佐野友三郎でした。当時としては先駆的な図書館思想の持ち主で、現在で言う"移動図書館"(当時は巡回書庫)を我が国で最初に導入したこと、児童閲覧室を県立図書館内に設けたこと、また閲覧室に公開の書架を設置したこと、自ら出向いて郷土資料の収集を始めたことなどを、私はどのような方法でも良いから確かめたいと思いました。また、図書記号の取り方が珍しいことでも知られているので、ラベルを見て確かめたい、と。

玄関を入ると緩い勾配のスロープが正面にあり、上がり切った左手にカウンターが設置してあり、ベテランらしき職員1名が利用者に対応していました。スロープ右手の小ホールには「新収県内出版物(出版物発行の際は収集にご協力ください)」の張り紙をしたガラスケースが置いてあり、中には郷土資料17点の展示がしてありました。数ページの報告書のような資料、新書サイズ・文庫サイズの資料、単行本などが並べられており、来館者にアピールしているように見えました。県立図書館が積極的に"郷土資料"を収集すれば、市町村も見習いますし、ひいては国立図書館への納本へと繋がって行くのです(私は佐野の考えが継承されていると思いました)。そのガラスケースの奥に『県立図書館開館105周年』のパネル展示があり、かなり詳細に写真なども入れて紹介がしてありました。これを見て佐野友三郎が在職中に実施した事柄を確認することができました。また、1951(昭和26)年にCIE(民間情報局)山口分館が館内に開設され、社会科学関係を中心に1000冊余りの図書、雑誌、パンフレット、写真、レコードなどの資料を提供していたこと、CIEフィルム映写会、レコード・コンサート、英語講座等の活動がされていたとも知ることができました。

スロープを上りカウンターのあるフロア(視覚的には中二階と思われるが、平面図では一階)には文学を中心に言語、芸術関係の資料を排架しています。ここで図書記号の疑問も解決できました。多くの図書館では、著者の頭字を図書記号として採用しています(本学の図書館も著者の頭字1字)が、山口では刊行年を記号化して用いる方法を採用しています。例えば2008年刊行の資料はN8(西暦2000年代をアルファベットのNで表現し、最後の一桁を数字で示す)を使用しています。これはインドのランガナタンという人が考案した図書記号で、工学・技術分野等の資料を閲覧室から書庫へ入れる時、あるいは廃棄処分(除籍)をする時に効果的な記号といわれています。

例えば『高分子化学』上 フローリ著 丸善 1975 は
分類記号 431.9 図書記号 K5(西暦1970年代はK)
という表示でした。

懸案事項が早々と解決したので、ゆっくりと見学することが出来ました。2階には、まず「こども資料室」。天井が高く明るいので落ち着いて資料を探したり読んだりできる雰囲気でした。隣には「ふるさと山口文学ギャラリー」があり、山口県出身の作家紹介、作品紹介や生原稿などが展示してありました。「参考資料室」もかなりのスペースを確保し、その一角に県民資料室、明治維新資料室などが設えてあり、県としての特色を出していました(参考資料室に入るにはロッカーを使用)。その他、目に着いたコーナーは、『闘病記コーナー』(癌関係、脳関係、その他と分けてある)、『起業・就業支援コーナー』(図書資料、ビデオ、パンフレットやハローワーク山口の求人情報を排架)などが設けてあり、また別のコーナーでは高校用とか小学校用の教科書を集めた『教科書展』があり、『Foreign books』の書架も備え付けてありました。

県立図書館としては中規模程度の図書館ですが、落ち着きのある図書館でした。
今回は残念ながら一人見学でしたが、やはり学生の皆さんにも一度は見学して欲しい図書館の一つであることに間違いはない、と思いました。

画像は、山口県立山口図書館。

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