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日本語日本文学科

2004.11.01

レファレンスサービス パート2|神原 俊治|日文エッセイ13

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日文エッセイ

日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第13回】2004年11月1日

レファレンス・サービス パート2

著者紹介
神原 俊治(かんばら としはる)
図書館学・司書課程担当
図書館を活用した資料と情報の探索方法を探究しています。

前回(第3回2004年1月)図書館サービスの一つに"レファレンス・サービス"があると紹介しました。それは私たちが日々の暮らしや日常生活の中で、ふと疑問に思った事柄を私たちに代わって図書館職員(司書)が解決してくれることだとも。

例えば、「夏目漱石の誕生日はいつか」と疑問に思ったとしましょう。明治・大正の文豪ですから誰でもが知っているものとか、文学関係者なら常識であるとしても、それまで興味関心のなかった人にとっては、疑問となり知りたいという要求になります。相談を受けた図書館職員(司書)も知っていたとしても、必ず図書館が持っている資料・情報を使って質問者に回答しなければなりません。これがこのサービスの基本です。

人物に関する質問を受けた場合、当然「人名事典」を使用します。目の前の人名事典を手当たり次第検索するのも一つの方法ですし、夏目漱石のように作家というジャンルが分かっているときは、文学事典や作家事典などを検索することもできます。しかし調べたい人物がどのようなジャンルの人か特定できないような場合には、『人物レファレンス事典』新訂増補(日外アソシエーツ,1996-2003)を利用することになります。これは事典の事典といわれるもので、目当ての人物が『どの事典に掲載してあるか』を教えてくれる"優れもの"です。

この事典を調べてみると「夏目漱石」に関しては、24点の事典に掲載があり、生没年月日を掲載しているものは4点、没年月日のみ掲載は15点、生没年月日掲載なしは5点であることが分かります。上記の「漱石の誕生日」は『人物レファレンス事典』にも掲載(慶応3(1867)年1月5日)してありますので、これだけでも十分と思います。が、よく見ると生没年月日記載の4点には異なる二とおりの表示があることに気がつきます。

生:慶応3年2月9日の表示は
朝日日本歴史人物事典(朝日新聞社,1994)、
海を越えた日本人名事典(日外アソシエーツ,1985)
生:1867年1月5日の表示は
近代日本哲学思想家辞典(東京書籍,1982)、
現代日本人物事典(旺文社,1986)

となっています。この違いは何か。我が国では、明治6(1873)年よりそれまでの太陰暦から太陽暦が採用されました。このことが分かっていれば前者は太陽暦での表示、後者は太陰暦での表示と理解できます。(別途"暦対照表"などの調査が必要)」横道に逸れましたが、図書館では利用者から寄せられる質問の種類を内容別に、上記のような「人物や団体に関する質問」のほか「ことばや文字に関する質問」、「歴史に関する質問」、「地理や地名・場所に関する質問」、「事柄・事象に関する質問」、「図書や出版に関する質問」、「新聞記事や雑誌論文に関する質問」などに分けています。図書館職員(司書)は、毎日大量に生産される資料の中から、それぞれに必要な辞書・事典類を選択し図書館資料として受け入れ、個々の辞書・事典の特徴をつかみ、どのような質問にも素早く対応できるよう準備をしているのです。また、前回否定的に紹介したインターネットも検索の一手段として利用できるよう、信頼のおけるサイトを探し出すこともしています。これらの蓄積がなくして、適切なレファレンスは到底できません。

さて、このようなサービスがあることを紹介すると、質問すれば何でも受け付け答えてもらえると思う人がいると思いますが、残念ながら受け付けられないことや答えられないこともあります。具体的には、法律や税務に関する相談、医療や健康に関する相談、美術品や骨董品の鑑定に関する質問などは、それぞれ資格を持った専門家がいますので受付できませんし、学校の宿題や懸賞問題の解答に関する質問などは本来個人で解決すべきものなので答えられないのです。上記以外の疑問や質問が生じたときは、近くの図書館へ出かけてみましょう。申し込みは、カウンターの職員(司書)にしても良いし、フロアで書架の乱れを直している職員(司書)に声掛けしても良いのです。図書館まで出かけられない利用者は、電話や手紙、ファクシミリでもできます。また最近ではメールでの申込みも可能な図書館もあります。一度このサービスを利用してみてください。役立つ図書館を実感できると思います。

そして'レファレンスって面白そう'と思った人、レファレンス・サービス演習でさらに面白さを味わってみませんか? 例えば演習では、過去に公共図書館利用者から寄せられた質問を内容別(7タイプ)に分け、個人別に割り当てて回答を作成するようにしています。しかし、それぞれの質問に対してベストの回答を求めるのではなく、"回答までの手順を考える"、これを重視した演習を心がけています。

さて、読書用の資料を借りる以外にも、図書館の利用方法があることを紹介しました。しかし、予算などの制約から規模の小さい図書館では、充分な辞書・事典類を準備できないこともあります。ご注意ください。

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