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書道卒業制作展

2012.04.11

学生の作品紹介|第10回(2004年度)書道卒業制作展の出品作品(1)

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日本語日本文学科

書道卒業制作展

第10回(2004年度)書道卒業制作展の出品作品 紹介

作品のサムネイル(小さな画像)をクリックすると、別ウィンドウの大きな画像で見ることができます。
※画像の転載はご遠慮下さい。

篆刻「純孝至敬」 梶原雅世
【大意】無上の孝行と無上の敬。〔王縉〕
【所感】卒業論文で叙景歌を扱ったので景色の言葉にしようと思ったのですが、見えないものを示すこの言葉に惹かれるものを感じて選びました。直線が多いですが、斜めの線や三角形を取り込み、面白みを出しました。印稿を作る際にとても苦労しました。石を刻しているときには直線が多いことが救いになったのですが、細かい線など気をつけなければならない箇所も多くあったので、慎重になりました。

島田陽子の詩「海の記憶」 川井智恵
【釈文】とろとろとゆられていた海の/心地よいあたたかさも/魚の匂いも/皮膚の内側にたたみこんで/きっぱりと打ち上げられた砂浜/それがどこか/わたしたちは知らされてはいない/だが それは約束の地/寒々と荒れた北の浜であろうと/灼けつく石の浜であろうと/えらぶことはできない/打ち上げられたいのちの等しさが/すべての始まり/からみついた藻を洗い流し/おぼつかない足どりではるばると来た/ここまでの道はえらんだ道/ここに在るのは選択の末/わたしたちを歩ませたものは海の記憶/それと無縁に選択されたものは何もない/などと言わないでほしい・・・(以下略)
【出典】島田陽子著『新日本現代詩文庫 13 新編 島田陽子詩集』
【所感】何かに動かされたのではなく、自分たちの意志でここに在るという意味のこの詩に触れた時、卒業制作を選択した自分の気持ちと重なると感じました。その気持ちを文字上に表すべく、凛とした線を書くよう心がけました。お手本という拠り所のない状況では、いくら書いても自分本位でくずした文字が散漫になりがちでした。しかし、文字の中心を揃えるようにし、流れだけは途切れないようにしたことで、全体がまとまったと思います。

臨呉讓之・宋武帝勅 木尾展子
【訓読】頃ろ學尚お廢弛し、後進は業を頽る。衡門の内、淸風は響きを輟む。良に戎車は屡警し、禮樂は中息し、浮夫は志を近くし、情は事と與に染まるに由る。豈文籍を敷崇し、風尚を激勵せざるべけんや。此の境の人士、子姓林の如くんば、明發にも捜訪し、令軌を想聞せよ。然れども刑玉は寶を含むも、要は瑩を開くを竢ち、幽蘭は馨を懷くも、事は扇發するに資る。獨學は悟ること寡く、義は周典に著わる。今經師遠からず、而れども業に赴くは聞く無し。惟れ學に志す者の尠きに非ず。或いは是勸誘の未だ至らざるか。復た之を宏くせんことを想え。
【解説】書者の呉讓之は、嘉慶四(西暦一七九九)年の生まれ、江蘇省儀徴の人で、同治九(西暦一八七〇)年に七二歳で卒した。
宋武帝勅は「劉裕与藏燾書」とも言う。文は南朝宋の武帝(劉裕)が藏燾に与えた書で、当時の学術の頽廃を嘆き、これを振興する必要を述べたものである。
【所感】篆書は大学生になってから初めて出会った書体です。そのため私は、卒業制作展に參加するなら一つは篆書を書きたい、と思っていました。半切四枚という大きな作品は途中で何度も挫折しそうになりました。また、裏打ちでは水を増やすと朱墨が滲み、水を減らすと皺ができ、大変でした。しかし書き上げてみるととても充実感があり、書いて良かったと思えるようになりました。

和綴じ各種 古波蔵幸枝
【所感】和綴じ本を作るのが好きだと言うと、多くの人が「手先が器用なんですね」「忍耐強い」などと褒めてくれますが、実は私はその逆の人間です。大学1年生の時、書道の講義で初めて和綴じ本を制作し、元々の要領の悪さと気の短さでちっとも上手く制作できず悔しい思いをしました。けれど自分の好きな和紙を紙屋さんで買い、世界に一冊の自分の本を作る贅沢な楽しさに惚れ込み、下手は下手ながらに四苦八苦しているうちに、四年間で少しずつ成長できたように思います。その集大成として今回作品を発表できて光栄です。孤独な作業を陰で支えてくれた母には感謝しています。現、日文三年生の西住由里さんが創作した綴じ方を二冊再現してあります。記して感謝いたします。

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