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日本語日本文学科

2010.01.05

県内図書館みてある記 ― 姫新線沿線 ―|神原 俊治|日文エッセ イ75

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日文エッセイ

日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第75回】2010年1月5日

県内図書館みてある記 ― 姫新線沿線 ―
著者紹介
神原 俊治(かんばら としはる)
図書館学・司書課程担当
図書館を活用した資料と情報の探索方法を探究しています。

今回は姫新線沿線のユニークな図書館2館を紹介しましょう。
まず、津山市立図書館。
図書館概要  奉仕人口:110千人  固定施設:4館  専任職員数:14人(内有資格者:10人)
蔵書冊数:370千冊(奉仕人口一人当たり3.36冊)  登録率:47%
購入受入図書冊数:14,989冊(奉仕人口百人当たり13.63冊)
個人貸出点数:586千点(奉仕人口一人当たり5.3点)
2006年度決算額 図書館費:88,872千円(奉仕人口一人当たり808円)
うち図書購入費:23,537千円(奉仕人口一人当たり214円)
2008年度予算額 図書館費:78,889千円(奉仕人口一人当たり717円)
うち図書購入費:17,373千円(奉仕人口一人当たり158円)

津山市は、2005(平成17)年2月28日に旧・加茂町、阿波村、勝北町、久米町と合併し、面積をそれまでの約2.7倍、人口を約1.2倍にした県北の拠点都市になりました。この地域の図書館サービスを牽引するのが、津山市立図書館です。

JR津山駅改札口を出ると目の前に見え、そこから歩いて約15分という場所に位置しています。「アルネ津山」と称し、百貨店と専門店の商業施設が1~3階、図書館、文化展示ホール、男女共同参画センターと音楽ホール等の文化施設が4~5階に設置されています。公共図書館といえば単独館が普通です。また、複合施設であっても他の公共部門と一緒という例は結構多く見受けられますが、津山市のような商業施設との同居は少ないし、県内では唯一ではないでしょうか。この点でユニークといえます。

移動図書館の「ぶっくまる」

移動図書館の「ぶっくまる」

一見ミスマッチのこの複合施設も、統計の数字を見ると確実に利用者(市民)に受け入れられています。特に合併後の登録率や貸出点数の上昇が見られますし、住民一人当たりの図書購入予算も200円以上と健闘しています(2006年度をピークに減少傾向)。商業施設の集客力に依存している面もありますが、図書館の営業努力もあるのではと考えます。例えば有資格者の3年連続採用、分館(地域館)と本館の連携、移動図書館(ぶっくまる)によるきめ細かい対応など、図書館サービスの向上が要因ではないかと考えます。

次に、東隣の勝央町勝央図書館。
図書館概要 奉仕人口:11.5千人  固定施設:1館  専任職員数:1人(内有資格者:1人)
蔵書冊数:44千冊(奉仕人口一人当たり3.83冊)  登録率:39.2%
購入受入図書冊数:1,925冊(奉仕人口百人当たり16.7冊)
個人貸出点数:46千点(奉仕人口一人当たり4点)
2006年度決算額 図書館費:24,072千円(奉仕人口一人当たり2,093円)
うち図書購入費:2,361千円(奉仕人口一人当たり205円)
2008年度予算額 図書館費:16,578千円(奉仕人口一人当たり1,442円)
うち図書購入費:1,600千円(奉仕人口一人当たり139円)

JR勝間田駅を出て図書館の位置を確認するため、市街地図を探すも見当たりません。仕方がないので見当をつけて駅前交差点を北方面へ歩いて約10分、道路を挟んで左右に校舎らしきものが見えました。右手は県立勝間田高等学校、左手は町立勝間田小学校でした。これを過ぎると突き当たりの交差点に「勝央町役場、勝央総合文化施設」の案内板を発見し、目を左手に移すと「勝央町役場、文化ホール、図書館・美術文学館、老人保健施設勝央苑」の案内板が設置されていました。同時に瓦葺きに白壁の建物2棟もすぐに目に入りました。この建物が俄には図書館と判りませんでしたが、近づくと窓から書架らしきものが見えたので図書館と確認できました。入口右手の建物が美術文学館、左手が図書館でした。

入館すると微かに木の香りがすると同時に目の前には、天井まで木枠が見渡せる空間がありました。柱も梁も書架も机や椅子も木が使ってあり、鉄筋コンクリートでは感じられない癒しの空間が広がっていました。

地場産業を活用した県内で唯一の木造建築という点でユニークといえます。2001(平成13)年10月に開館し、順調に地域の人々に受け入れられているようです。登録率約40%、住民一人当たりの貸出点数4点、同じく一人当たりの図書購入費は205円と、この規模の図書館としては健闘しているといえます。今後の課題は専任職員1人という人の問題と、減少傾向にある予算の問題ではないかと思います。すなわち非常勤職員の増加と予算の減少は、利用者の資料・情報要求に応えられなくなりサービスの低下へと繋がり易くなります。是非今以上の条件整備をおこなっていただきたいものです。

姫新線沿線のこの2館、貴方も一度見学してみませんか?

※図書館概要の数値は「日本の図書館 ?統計と名簿- 2008」日本図書館協会 2009 による
※( )内の数値は筆者の計算による

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