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日本語日本文学科

2010.10.01

つまらない国語の授業からの脱却|大滝 一登|日文エッセイ84

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日文エッセイ

日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第84回】2010年10月1日

つまらない国語の授業からの脱却
著者紹介
大滝 一登(おおたき かずのり)
国語科教育担当
国語科カリキュラムや学習評価を中心に、国語科教育について理論と実践を通して研究しています。

いきなりで恐縮だが,皆さんはこれまで受けてきた国語の授業に対してどのような感想をお持ちだろうか。
もちろん,こんな質問が間口の広い漠としすぎたものであることは十分承知の上である。お答えになるご本人の特性をはじめ,学校,教師,教材,クラスの雰囲気など,授業を印象付ける変数はそれこそ数限りなく,なかには教育に関する論議の不毛性を思い浮かべる方までいらっしゃるかもしれない。

しかしその一方で,国語の授業を受けた感想からある程度共通した印象を抽出できるのも事実であろう。ちなみに国語教師を目指す本学の学生に,あえて「こんな授業はしたくないと思える授業は?」という質問をしてみた。すると,生徒として授業を受け続けてきた彼女たちならではのこんな声が聞こえてきた。


「ただ自分が教科書を読み,説明するだけの授業」「やる気や興味が持てない授業。分からないことばかりで,話が理解できずにただ聞くだけの授業。教師のみが満足している授業」「教師の価値観や,普通(一般)なら...と思うなどの考え方を押しつける授業」「大勢の意見を扱わない,反映されない授業はしたくありません」「文法の活用形を覚えるためだけに呪文のように活用形を唱える授業」
「教師の一方通行な授業」
(2009年度「国語科教育法Ⅰ」受講生への質問紙調査結果に基づいて作成)


いかがだろうか。「そうそう,その通り!」と頷かれた方は,つまらない国語の授業に長い間付き合わされてきたに違いない。

申し訳ないことに,高校教員の経験を持つ私も反省させられる点が少なくない。日々の忙しさに屈服して,授業を受ける生徒の立場を十分考慮しない授業をこなしてきたのではないかという思いが今も胸の奥で疼いている。私に限らず,進学受験を念頭に置いた年間数十時間もの授業のなかではやむなくこうした授業が多くなってしまうのが現実であろうが,生徒を置き去りにしていては教育は成り立たない。

話は変わるが,昨年告示された高等学校学習指導要領の解説国語編の作成に協力する機会を得た。実際の協力者会議では,解説の作成作業だけではなく,中央教育審議会の答申を踏まえつつ,教科目標の検討から各科目の目標・内容に至るまで,学習指導要領自体の検討に参加したが,様々な立場のメンバーが国語教育について熱く語る姿はまさに授業そのものであり,私にとっては大変刺激的な体験であった。この協力者会議でつねに話題になっていたのが,まさに学生の感想と同じく,講義中心の一方通行の授業スタイルからいかに脱却していくかということであった。

新しい学習指導要領では,特に,思考力・判断力・表現力等を育成するため,国語科だけでなく各教科等で「言語活動の充実」を図ることとなっている。そして国語科は,言語を扱う教科としてその中核的な役割を担うというわけだ。国語科に課せられた責任はますます重い。

さて,さらに学生に「思い出に残る国語の授業は?」と尋ねると,こうなった。


「クラスの人たちの普段聞くことのできない話が聞けた弁論大会に向けた授業」「いろいろな本を薦めてくれた授業」「説明だけでなく自分がその話について思ったことを語れた古文の授業」「漢文の話に先生が面白いタイトルを付けるので,その授業では皆が笑っていました」(出典は同上)


このように,教師が生徒の興味関心を高めたり,言語活動を取り入れたりしながら学習者主体の授業をいかに構築するかということが授業改善の中心テーマであろう。そこで私の担当する大学の授業でも,教科教育に関する授業に限らず様々な授業で学生の「言語活動」を積極的に取り入れることにしている。ペアワーク,グループでの話し合いはもちろんのこと,授業案の共同作成や相互評価活動,ディベートにロールプレイディスカッションと,その活動は様々だ。

「体験と言葉」は新しい教育のキーワードである。その魅力を実感した教師なら,自らの教室で子どもたちに対してそれを実践してくれるはず。そういう思いで教師を目指す学生たちに今向き合っている。

画像は,ロールプレイディスカッションを行う学生たち(本学での授業風景)

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