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日本語日本文学科

2013.10.01

新聞記事を読みたい|神原俊治|日文エッセイ120

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日本語日本文学科

日文エッセイ

日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第120回】2013年10月1日
【著者紹介】
神原 俊治(かんばら としはる)
図書館学・司書課程担当

図書館を活用した資料と情報の探索方法を探究しています。

新聞記事を読みたい
 2012年2月のリレーエッセイで、司書教諭課程科目「情報メディアの活用」の履修生に《本学附属図書館が所蔵する印刷メディアを使用して》という条件を付け、課題を与えていることを紹介しました。彼女たちは将来、教諭として教壇に立ち、各種の情報メディアを駆使して問題解決をするということを児童・生徒に教えなければなりません。彼女たちは複数のメディアを使いこなす方法を体験しておくべきだと考えますから、敢えて得意なインターネットは封印して印刷メディアを使うようにしています。
 今年度も次のような課題を与えました。


課題: 皇太子(現天皇)が、正田美智子さんと結婚したという当日の新聞記事を読みたい。どのような資料を見ればこの記事を探し出せるか、教えて欲しい。また、その新聞記事は、どこの図書館で見ることが出来るのかも教えて欲しい。
調査条件: 本学附属図書館が所蔵する、印刷メディアを使用すること


ハッキリとしたキーワードは、人物名(正田美智子)だけです。人物を知るためには人名辞典を利用すればよいのですが、手当たり次第調べるのは非効率的です。そこで重宝するのが『人物レファレ
ンス事典 新訂増補版 昭和(戦後)・平成編 日外アソシエーツ編・刊 2003』です。当該人物の略歴と掲載辞典を示してくれます。万一、当該人物のヨミが判らない場合でも「姓の読みがなガイド(画
数順排列)」で調べることができます。[正田]は"しょうだ;まさだ"と読むことが判りますから、それぞれのヨミで検索します。"まさだ"での手がかりは、ありません。"しょうだ・みちこ"での検索も
項目が見当たりませんでしたが、"正田英三郎"(p.1272)の欄に「美智子皇后の父」と記載があるので、"美智子皇后"を検索しました。これも項目がありません。逆に"皇后美智子"で検索してみると当該項目がありました(p.593)。

 

皇后美智子(こうごう・みちこ)
≪明仁皇太子とご結婚、のち皇后≫の一文があり、その下に現人、現情、現朝、現日、日人、児人、新潮、大百、全書と、9種類の掲載事典が略号で示してありました。
 凡例で正式なタイトルを確認しながら本学図書館が所蔵しているか否かをチェックすると、【現人、現情、日人、児人、新潮、全書】の6種類を所蔵していました。さらに結婚の年月日が記載してある事典を探します。結婚年月日が確認できた事典は【現人、全書】の2種類でした。

 ・現代人物事典 朝日新聞社編 朝日新聞社 1977 p.499
 ・日本大百科全書 22 小学館 1988 p.349

に、〈1959(昭和34)年4月10日結婚〉の一文有り。
 人名事典だけでなく、【戦後史大事典 三省堂 1991 p.274】、【昭和史全記録 毎日新聞社
1989 p.682】、【時事年鑑 1960年版 時事通信社 1959 皇室p.26】、【山陽年鑑 1960年版 山陽
新聞社 1959 主要日誌p.18】などでも年月日の記録があり、写真も見て取ることができました。

 次に、当日の新聞をどこの図書館が所蔵しているかを調べます。新聞紙は酸性紙を使用しているので、劣化しやすいため多くの図書館では直近のものしか保管しません。現物に代えてマイクロフィルム版、縮刷版、復刻版等で補っています。これらの中で安価に入手できるのが縮刷版です。今回は全国紙の「朝日新聞の縮刷版」を取り上げます。どこの図書館が所蔵しているか調査するためには、『学術雑誌総合目録 和文編 2000年版 国立情報学研究所編 丸善 2001』や『全国複製新聞所蔵一覧(平成5年7月1日現在) 国立国会図書館編・刊 1994』などが利用できます。

 後者で確認すると、朝日新聞[東京]縮刷版は、12ページから30ページにかけて、北は北海道から南は沖縄まで、全国の大学、公共図書館や研究機関の所蔵状況が掲載してあります。この中から選べばよいわけですが、例えば岡山県内の所蔵館に限定すると次のようになります(p.27)。

・岡山県総合文化センター 昭23.1~ (欠あり)
・岡山大学附属図書館 昭3~ (欠 昭6.1~9,11,12,昭44)
・倉敷中央図書館 昭22.11~ (欠あり)
・金光図書館 昭26.1~ (欠あり)
・山陽新聞社 昭22~ (欠あり)

と、5施設で所蔵ということになりますが、"欠あり"の表示は確実性に欠けますから、欠号を表示している「岡山大学附属図書館」が適切と考えます。

 今回は、人物名がハッキリしていたので人名事典を主に使用しました。その他にも歴史事典、年鑑や年表なども利用できます。また、所蔵館の調査も複数の資料を使って確認できます。印刷メディアは、インターネットと違って疑問や課題を解決するために、分野とか時代等を思考しながら利用しなければなりません。
 皆さん、頭脳活性化のために"印刷メディア"を"嫌"というほど使ってみませんか?
         
*画像(上)は、『新訂増補 人物レファレンス事典』、(下)は『全国複製新聞所蔵一覧』。

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