日本語日本文学科

人間生活学科

2003.12.20

私にとっての「文学」|清水 教子|日文エッセイ2

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    日文エッセイ

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日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第2回】2003年12月20日
私にとっての「文学」
著者紹介
清水 教子(しみず のりこ)
日本語学担当

語彙・文体を中心に、平安時代の公卿日記(変体漢文)を研究しています。また、室町末期の口語体のキリシタン資料にも関心があります。

大学・大学院の9年間「日本語・日本文学」(大学時代は「言語・国語・国文学」、大学院時代は「国語・国文学」という名称でした)を専攻したのですが、授業や卒業論文・修士論文関係以外の本は、読む気持ちのゆとりがほとんどありませんでした。社会人(教員)になってからはそのゆとりが少し持てるようになり、現在に至っています。

私の専門は「日本語学」です。平安時代の変体漢文の日記に見られる語彙や文体に興味を持っていて、細々と研究を続けています。が、今回は、私にとっての「文学」について述べてみたいと思います。
私にとっての「文学」は、研究の対象としてではなくて、読書の楽しみとしてあります。今の読書の楽しみは、専ら就寝前の30分ほどです。お行儀悪く、蒲団の中で寝転がったり伏せったりして読むのが好きです。従って、勢い文庫本が多くなります。文字は大きい方が勿論読みやすいのですが、本の重さの軽い方が優先されがちです。

好みは多様ですが、散文が主です。楽しみとして読む場合は、フランス文学、特に女性作家の小説・自伝や、国籍・男女を問わず随筆が多くなります。翻訳物ですと、原文の味わいとは又違うものがあるのですが、表現よりも内容のほうに重きを置いています。読書によって、自分のしたことのない体験ができること、知らなかった事実を知ること、それらによって視野が広がることに喜びを感じています。
日本語で書いてある随筆などは、日本語表現そのものも勉強になるので、大いに助かっています。目下読みつつある数学者藤原正彦氏の一連の随筆(文庫本)は、本当に面白く、思わず声を立てて笑ってしまいます。「笑い」はストレスの発散に役立ち、癌予防にも癌消滅にも効果が大きいと聞いています。また、著者のアメリカ滞在・イギリス滞在の体験から、異文化理解や文化比較について考えるきっかけをも与えてくれます。『若き数学者のアメリカ』ほか、お薦めの随筆です。

また、岡山市には「シネマ・クレール」という小さな映画館があり、そこで観た映画の原作を翻訳で読む場合もあります。最近では、ドイツ人シュテフアニー・ツワイクの『名もなきアフリカの地で』があり、ナチスによるユダヤ人迫害の一端についても知ることのできる良書です。

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