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人間生活学科

2016.07.01

高梁における歴史的景観まちづくり|上田恭嗣|生活環境学研究室

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人間生活学科

学科ダイアリー

「岡山県高梁市を訪れたことがありますか」と、よく学生に問うことにしている。しかし、正直なところ大学生の1、2年生では、県内での位置もよく分からない学生も多い。そこで一言、「一度足を踏み入れて下さい。歴史的な町並みも残り、雲海で有名な備中松山城があります。小堀遠州作庭の借景庭園として日本でも有名な頼久寺もあります。足を伸ばせば日本では数少ない弁柄の町、吹屋がありますよ。一度訪れると印象深く心に残る町ですよ」と。つい熱が入って紹介をしてしまいます。

頼久寺の庭

頼久寺の庭

この町の歴史的な景観まちづくりに本格的にかかわりを持たせて頂き4年が過ぎました。現在は、高梁市景観審議会会長という立場で、景観づくりの旗振りをさせて頂いています。私は必ず高梁市を訪問するときは、JRに乗って町を訪れます。沿線添いの自然の風景は最高です。伯備線に乗るときは必ず進行方向の左端の席に陣取ることにしています。季節の移り変わりも素晴らしく、高梁川を挟む風景は素朴で変化がありとても美しいものです。おすすめのミニ探訪コースです。しかし、これまでは、駅に着くと非常にがっかりしていました。これほどまでの歴史的な町でありながら、駅前風景は殺伐とし何の変哲もない町の顔でした。大正15年に町外れに駅ができ、昭和にかけて新しくつくられた町であるから仕方がなかったとの理由もありますが、せっかく遠方から(冬を除く3シーズンには、関西からも多くの観光客がお見えになります)来られて、高梁の町に立ったとき、期待して訪れた方々には申し訳ないほどの風景でした。

 これまで、高梁市の景観づくりに携わらせて頂いた経緯があり、駅前周辺の町を歴史的な風景が佇む町にしようと市長さんに申し上げご理解も頂き、まちづくりの基準を町の委員の皆さんとともに作らせて頂きました。現在は駅舎をはじめとして町が少しずつ変わり始めています。10年、いや20年30年かけて息長く町をつくり直す構想を、町の方々のご理解を得て進めています。魅力のある町は心に残ります。人口減少が何処の都市でも叫ばれる時代を迎えています。自分たちの誇れる町、何処にもない町の魅力をつくり上げることも町が残る一つの方策と考えています。
 

現在の駅前風景

現在の駅前風景

20年30年後の風景

20年30年後の風景

高梁市出身の私のゼミ生もいて、2014年度の卒論では「高梁市における歴史的町並みを活かした景観まちづくり」と題して取りまとめもしてくれました。また、本年は吹屋の町づくりについても高梁市出身の学生が、「吹屋の歴史的まちづくりに関する考察」と題して卒業研究に取り組んでいます。地元で育った若者が自分たちの町を見直し、自分たちの町の魅力を引き出す調査研究をしてくれることは嬉しい限りです。今年の3年生のゼミ生は、自分が住む近隣の町である金刀比羅宮で有名な琴平町の景観町づくりにも着手し始めました。学生の視点によるまちづくり構想は、非常に大切です。次の時代に向けての足かがりとなる報告を期待しています。

 私も、もう一度、30年ほど前に10年間携わった岡山市足守の歴史的まちづくりにも力を注ぎたいと思っています。

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