フィールドワークとは何なのか?
藤實久美子准教授
前回の濱西栄司先生のブログ・エッセイ「社会集団・組織論のブックレポート/フィールドワーク」や、少し前になりますが紺谷亮一先生のブログ・エッセイ「イェニチェリ」のなかにフィールドワークという言葉が出てきます。また2013年秋のオープンキャンパスの学科企画ミニ・講座では小嶋博巳先生と二階堂裕子先生より「フィールドワークのススメ」というお話がありました。
ところでフィールドワークとはそもそも何なのでしょうか?
フィールドワークという言葉を改めて新村出編『広辞苑』(岩波書店)で引いてみると、次のことがわかります。
フィールドワーク (1)野外あるいは実験室外の作業・仕事・研究。野外研究。
(2)現場または現地での探訪・採集。実地調査。
フィールドワークを重視する学問分野は、一般に(A)自然科学:地質学、古生物学、地形学、自然地理学、生態学など、(B)人文科学:社会学、民俗学、文化人類学、歴史学、考古学、人文地理学などといわれています。
では現代社会学科がカバーする学問領域は(A)(B)のどちらだと思いますか?
(B)ですね。(A)(B)はそれぞれ(1)(2)に対応しているようです。したがって、現代社会学科で重視している事柄の一つとしては『広辞苑』(2)からイメージを膨らましたら良いでしょう。
ではなぜ現場、現地を訪れることは重要なのでしょうか?
歴史学において文字で書かれた史料や古い写真を詳細に分析・観察することは大切な作業ですが、たとえば安土桃山時代から江戸時代初期に築造された城の堅牢度はその急こう配な階段を実際に登ってみることで理解できます(写真1 備中松山城天守への登山道)。
写真1 備中松山城天守への登山道
また復元された城の廊下を歩いてみるとその広さを実感できますし(写真2 武蔵川越城本丸御殿の長廊下)、大広間の端に正座してみると殿様との距 離感や殿様と自分の目線の違いを初めて体感することができます。体験・追体験は理解の幅を広げ、その深さを増してくれるのです。
写真2 武蔵川越城本丸御殿の長廊下
現代社会学科ではフィールドワーク体験をする研修旅行を、年1回、行っています。2012年11月23日(金)には,兵庫県朝来市の生野銀山(生野町)と柳田國男生家(福崎町)に行ってきました(→ブログ記事)。2013年12月8日には岡山県北部、出雲街道沿いの宿場町である新庄村と勝山を訪れました(→ブログ記事)。
最後に、高校生の皆さんに「フィールドワークをしてみましょう!」と呼びかけたいと思います。
「いつ?」
「まずは今年の夏」
「どこへ?」
「まずはノートルダム清心女子大学に!」
オープンキャンバスに参加する。これは立派なフィールドワークであると私は思います。現場、現地で皆さんの御来校をお待ちしています。是非、本学に足をお運びください。