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現代社会学科

2014.08.04

フィールドワークの魅力―ベトナム社会の現在を知る―:学科の紹介【4】

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現代社会学科

授業・研究室

フィールドワークの魅力
―ベトナム社会の現在を知る―


二階堂裕子准教授
「教員紹介」ページへ

「ベトナム」といえば、みなさんは何を思い浮かべますか。

  民族衣装の「アオザイ」のほか、水牛が働く田んぼや雄大なメコン川の風景を連想する人もいるでしょう。しかし、近年、ベトナム経済の目覚ましい発展を背景として、人口768万人(2012年) を擁するベトナム最大の商業都市、ホーチミン市では、ショッピングセンターやホテルなどの高層ビルが次々と建設されているようすを思い浮かべる人は、それほど多くないと思います。ベトナムを実際に訪れ、街中にあふれる活気を肌で感じるまでは、私もベトナムについて、「のんびりとした農業の国」くらいのイ メージしか持ち合わせていませんでした。

 私がベトナムに関心を向けるようになったのは、2009年に兵庫県内の日本語教室で学ぶベトナム人労働者たちと出会ったことがきっかけです。調べてみると、日本で生活しているベトナム人は約4万人(2009年)で、10年前と比べて2.8倍 も増加していることがわかりました。これを機に、「なぜ日本で働くベトナム人が増えているのだろう」という疑問が生じ、さらに、日本への渡航を促す要因を 探るため、「ベトナムという社会についてもっと詳しく知りたい」という欲求がふつふつと湧き上がるようになってきたのです。

写真1 インタビューのようす

写真1 インタビューのようす

こうして、2011年以降、年に1~2回ほど、ベトナムのホーチミン市やハノイ市へ調査のため訪れるようになりました。今年(2014年)6月にも、ベトナムを調査研究している岡山大学の研究者や大学院生らとともに、ベトナム中部に位置するフエという世界遺産の街へ行きました。今回の目的は、グローバル化の動向がベトナムの農業にどのような影響を与えているのかを把握することです。そのため、フエ近郊でゴムやアカシアの樹を栽培している農家に対してインタビュー調査を行いました。

 人口約9,170万人のベトナムでは、労働者の約半数(2012年では47.3%)が農林水産業に従事していますが、都市化や工業化が著しく進行し、貨幣経済が急激に浸透する今日、その割合は年々減少しています。
 

写真2 農家の親子と一緒に

写真2 農家の親子と一緒に

今回の調査でも、「子どもには大学教育を受けさせ、農業以外の職業についてほしい」「子どもが都市や海外で働くようになっても構わない」と話す農家の人々がおり、これは私が事前に予想していた通りの回答でした。しかし、それとは逆に、「子どもにも農業を継いでほしい」と答える人も少なくありませんでした。

写真3 農家の子どもたち

写真3 農家の子どもたち

グローバル化が進行するなか、ベトナムにおける天然ゴムの生産高は増加傾向にあり、これにともなってゴム農家の収入も向上しています。今回の調査を通じて、 グローバル化や都市化といった動きが、必ずしも、農業生活に対する人々の満足度を一律に低下させ、農業の衰退を押し進めるわけではないことを理解したのです。
 

写真4 ゴムの木の樹液

写真4 ゴムの木の樹液

このように、現地で人々の生活にふれ、人々の行動や意識について直に学べるということこそが、フィールドワークのもつ最大の魅力といえるでしょう。

写真5 調査グループのメンバーとの夕食

写真5 調査グループのメンバーとの夕食

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