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現代社会学科

2014.09.05

国際社会とはこんなところ―グローバル化・社会学・英語―:学科の紹介【5】

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現代社会学科

授業・研究室

国際学会とはこんなところ
―グローバル化・社会学・英語―


濱西栄司講師
「教員紹介」ページへ

 昨今、教育や雇用の「国際化」、「グローバル化」ということが良く言われていますね。テレビでも、世界で活躍する日本人を特集する番組や、海外を旅する番組、海外で暮らす日本人を訪ねる番組を良く見かけます。将来、海外に行ってみたい、海外で働いてみたい、と考える高校生や大学生も増えているようです。

大学での学問・研究という営みも、実は、グローバルなものだと言えます。
 <人類普遍の知識を追求すること>が、本来的には、学問・研究の目的だとされているからですね。皆さんも大学で、世界中のできごとについて学び、研究することができますし、望むなら、インターネットを通じて世界中の人と議論することも可能なのです。

 われわれ研究者の間では、学術的な研究と議論の場のことを「学会」と呼び、そして、とくに世界中の人が参加するグローバルなものを、慣例的に、「国際学会」と呼んでいます。

 国際学会というと、高校生・大学生のみなさんには縁遠いもののように感じられるかもしれませんが、世界的にみれば、学生が国際学会に参加することは珍しいことではありません。海外の国際学会では、大学院生はもちろん、学部生にも良く会います(後述する世界社会学会議@横浜の場合も、全登録参加者の4分の1が、国内外の大学院生・学部生でした)。

 そこで今回は、「国際学会」というものについて、少し話をしてみたいと思います。

* * *

 私の専門は「社会学」ですが、その最大の国際学会は、1950年から4年に一度開催されている「世界社会学会議」(World Congress of Sociology)です。世界中から、4,000~6,000人(57ヶ国)の研究者が集まり、50以上の社会学の専門分野に分かれて、自分の研究成果について発表をしたり、他人の発表を聞いて議論したりします。

図 1 世界社会学会議のHPhttp://www.isa-sociology.org/congress2014/

図 1 世界社会学会議のHPhttp://www.isa-sociology.org/congress2014/

・2014年世界社会学会議@横浜
 第18回となる今年の世界社会学会議は、東アジアで初めて、日本の横浜市で開催されました(2014年7月13~19日)。私を含め、日本の社会学者は数年にわたり準備をしてきましたし、横浜市もいろいろなバックアップをしてくれました。学生もボランティアで会場運営などに関わってくれました。

 参加者は6000人を超えて過去最多となり、学会の様子は新聞などにも掲載されました(朝日新聞「東アジアの視点で「新しい社会学を」――横浜で世界社会学会議」2014年7月22日)。

写真1 会場のパシフィコ横浜

写真1 会場のパシフィコ横浜

写真2 日本社会学会会長の講演

写真2 日本社会学会会長の講演

・研究発表と言語
 国際学会というと、「英語」、というイメージがあるかもしれませんが、世界社会学会議では公平性の観点から、フランス語とスペイン語も公用語になっています。カナダやベルギー、スイスの一部地域やアフリカの一部の国々ではフランス語が話されていますし、中米・南米のほとんどの国ではスペイン語が使用されていますから、英語はそれほど多数派でもないのです。
 研究発表は、たいてい英語でなされますが、その場合でも、英語が母国語ではない人同士のあいだで成り立つような独自の「わかりやすい英語」というものが、世界的にみて次第にできあがりつつあるように思えます。たとえば、誰かに向けてなされる行動の場合には、文法に関係なく、すべて前置詞の「to」が用いられてしまうこともあります。それでも話し手も聞き手も、英語が母国語ではないような場合には、じゅうぶん、やりとりが成り立ってしまうのですね(その方が英語が苦手な人にはわかりやすいという声もあるほどです)。
 また、フランスやイタリアなど、英語が母国語ではない国の方々の英語は、ある程度ゆっくりで、一単語一単語、聞き取りやすいことが多いので、英語を母国語とする人たちの速く流暢な英語よりもむしろ、様々な言語的背景をもつ聴衆に、誤解なく伝わるということもあるのです。
 英語が公用語として力を持つようになればなるほど、このような「逆転現象」は、いろいろなところで起こっていくような気がしています。

・懇親会/パーティ
 学会では懇親会・パーティも開かれます。とくに国際学会の場合は、世界中から集まった研究者の労をねぎらうために、趣向を凝らした開催国・地域ならではの企画・出し物が用意されることが多いです。今年の世界社会学会議でも、開会セレモニーでは和太鼓や尺八の演奏がありましたし、最終日に横浜港の巨大会場で開かれた送別パーティでは、東北地方の伝統的な踊りや、ジャズバンドによる演奏なども披露されました。港から見える夜景もとてもきれいで、好評でした。

写真3 送別パーティの様子

写真3 送別パーティの様子

写真4 横浜の夜景

写真4 横浜の夜景

・2018年世界社会学会議@トロント
 4年後の2018年には、カナダのトロントで第19回の世界社会学会議が開催されることになっています。トロントは、さまざまな人種・文化の人たちが共に暮らす多文化主義の都市として有名ですので、今から開催が楽しみです。

* * *

 国際学会は、最先端の研究成果に触れることのできる貴重な機会ですし、国内ではあまり取り組まれていないような新しい・珍しい研究にも出会える場です。今回、横浜でも、卒業研究の参考にするために世界社会学会議に参加している4年生の日本人学生と会うことがありました。グローバル化が進むにつれて、今後、こういう学生も増えていくような気がしています。
 近年、企業も、学生が大学でどういう勉強・研究をしてきたのか、卒業研究のテーマはなにか、ということに関心を持つようになっています。実際に就職活動の際に、卒業研究の内容について尋ねてくる企業も増えています。

 ぜひグローバルな視野に立って、自分の(研究)関心を深めていってほしいと思います。

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