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現代社会学科

2014.12.11

【報告】10/29現代社会学科第6回学術講演会「百歳のおばあさんが語るラブストーリー:歴史学と社会学が出会うところ」

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現代社会学科

授業・研究室

 現代社会学科では、毎年、各分野の著名な先生をお招きして、御講演をいただく学術講演会を実施しています。今年度は、以前のブログ記事でもお知らせしましたように、10月29日に、京都大学大学院文学研究科教授 落合恵美子先生を講師としてお迎えし、「百歳のおばあさんが語るラブストーリー――歴史学と社会学が出会うところ」と題して御講演を頂戴いたしました。以下に、簡単ですが、ご報告をさせて頂きます。

写真1 会場の様子

写真1 会場の様子

 講演会は、29日14時45分から16時半まで(本学78時限の時間帯)に、新設のヨゼフホールにおいて開催されました。本学科学生を中心に、学外参加者も含め、約100名の参加がありました。

 御講演において、落合先生は、まず歴史社会学、歴史人口学、比較社会学、家族史研究といったアプローチの関係について、御自身の経験もふまえ語られました。その上で、「歴史人口学から見た徳川日本」について、御話がありました。教区簿冊にもとづくヨーロッパの歴史人口学にならって、日本では宗門改帳・人別改帳データにもとづいて徳川期の日本の家族史・人口史研究が進められてきましたが、データベースを作成するのに大変な苦労があることも御説明下さいました。

写真2 御講演の様子

写真2 御講演の様子

 次に婚外子や人口増加などの観点から、東北日本、中央日本、西南日が区別されるという徳川日本3地域仮説について御紹介された上で、長崎県野母村の人口分析をふまえ、西南日本の特異性として、人口増加、高い出生率、婚外出生の多さなどを指摘されました。
 このような歴史人口学的な議論を踏まえた上で、先生は、改めて「婚外子の父親は誰か」という疑問を提起され、歴史社会学や歴史民俗学で実施されているライフヒストリー調査の重要性を指摘されました。そして、実際に鹿児島県で御自身がなさった100歳の女性へのライフヒストリー調査の成果をもとに、婚外子出生と結びつくヨバイ風習が、歴史人口学に基づく西南日本の特異性の仮説にあてはまることを示されました。

写真3 100歳のおばあさんと御家族など

写真3 100歳のおばあさんと御家族など

 さらに先生は、ヨバイ風習が盛んであったとしても「婚外子差別がなかったのか」という疑問を提起され、再び、生存率等に関する歴史人口学的分析にもとづいて、婚外子差別が存在した可能性を指摘されました。そして最後に、西南日本のヨバイ風習や、離婚・再婚の頻繁さなどの現象が、東南アジア社会と共通していることを指摘され、アジアの家族制度、婚姻制度の比較研究の重要性へと議論を展開されました。

 歴史学の観点・手法と、社会学の観点・手法とが結びついた御講演内容で、聴講者アンケート(いずれも本学科学生)でも

「社会学は現代の事を、歴史学は過去の事を、とどこかで別の学問だと思っているところがありました。しかし、今回の講演会に参加させて頂き、過去からどのように変化し、今の社会が作られるに至ったのか、歴史学を学ぶことによって、現在をより深く理解できるようになるのだと思いました。」

「歴史学としての徳川日本の宗門改帳からみた人口の増加や婚外子の増加、その背景、そして、社会学からみた親の在・不在による生存率や足入れ婚の減少など、2つの学問を交えた考察は本当にわかりやすくよく理解できました。」

「今日の講演を伺って、昔と今の両方面から調べることで、より確実な研究結果が出るところにとても魅力を感じました。」

 というように歴史と現在、歴史学と社会学の結びつきについての感想が多く寄せられました。
 歴史学と社会学を中心に構成される現代社会学科の学生にとって、そして教員にとっても、非常に有意義な御講演を賜ることができたと存じます。落合先生に心より感謝を申し上げます。

 (文・濱西栄司)

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