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現代社会学科

2015.11.08

「古民家」から「個民家」へ:学科の紹介【16】

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現代社会学科

授業・研究室

「古民家」から「個民家」へ

二階堂裕子 准教授
 「『古民家』なら聞いたことがあるけど、『個民家』という言葉は知らない」と、みなさんは思うかもしれません。「個民家」は、私の造語ですから、それもそのはずでしょう。「個民家」とは、住む人がいなくなって、空き家のまま長年放置されてきた古い民家に手を加え、使い込まれた趣のある古材の美しさやその建物がもつ温かみを活かしつつも、世界にたったひとつしかない建物へと新たに生まれ変わった民家のことです。
 近年、こうした「古民家再生」の取り組みが全国で広がっています。その背景には、人口減少の著しい過疎地域に空き家が急速に増えていることが挙げられます。しかし、その一方で、古民家の風格ある外観や周囲の自然環境との調和がかもしだす美しさといった魅力に惹かれ、古民家を改修し、新たな命を吹き込む活動に楽しみを見出す人も増えています。
 二階堂ゼミでも、2015年6月から岡山県美咲町境地区で、「個民家」づくりに参加しています。月に1度、ゼミ生やこの活動に関心のある学生と一緒に現地へ出かけ、地元の住民やボランティア・グループのメンバー、町役場の職員らとともに、築100年の民家を居心地の良い空間に生まれ変わらせようと、汗を流しています。完成後は、人々が集い、交流する拠点として活用することをめざしています。作業の多くは大工仕事ですが、学生も私もまったくのド素人です。床板となる木材を切る電動式ノコギリはもちろん、コンクリートの土台を地面に打ち付ける大きな木づちを使うのも初めてで、最初はこれらの道具を持つだけで緊張が高まります。それにもかかわらず、こうした作業が楽しくて仕方ないのはなぜでしょう?また、顔も知らない人が住んでいたこの民家を、少しずつ改修していくうちに、愛着や親しみがじんわりと増していくのも、なんだか不思議です。
 恐らく、この取り組みには、完成後の「個民家」の姿を思い浮かべながら、どのような使い方ができるだろうか、どのように使うと楽しいだろうかと、ワクワクした気持ちになれるという大きな魅力があるからでしょう。このほか、この取り組みをきっかけに、年代や職業の異なる多くの人々と知り合い、同じゴールをめざしてともに働くという経験を通して、そのこと自体の面白さや達成感を共有することができるというのも、「個民家」づくりが私たちを惹きつけてやまない理由のひとつかもしれません。

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