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現代社会学科

2015.11.19

今日も家族日和:学科の紹介【16】

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現代社会学科

学科ダイアリー

今日も家族日和

山下 美紀 教授
 『家族という病』(下重暁子著,幻冬舎,2015)の売上が好調だったようだ(2015上半期ベストセラー,日版調べ」)。帯の「『家族はすばらしい』は欺瞞である」という言葉がなんとも挑発的である。
 しかし、家族を研究している私にしてみれば、家族がある種の抑圧装置となりうることは自明であるから、逆に、この本が、現代の日本人の関心をひきつけていることに興味を抱く。

写真1 社会学者の本棚

写真1 社会学者の本棚

 もちろん一般的には、仲の良い家族幻想が蔓延しており共有されている。人気の男性アーティストが「家族になろうよ」と歌えば、歌詞にもあるような、無口な強さのじいちゃんだったり、かわいい笑顔のばあちゃんだったりを想起し、ほっこりした気分になれるのだろう、多くの人の胸を打つ(らしい)。まさか、憎しみあい、殺しあうような家族は想定されまい。

 たとえば、統計数理研究所が1953年から5年ごとに実施している「国民性調査」のなかに「あなたにとって一番大切なもの」を問う項目がある。調査データが公表されているもののうち、もっとも古い第2回調査(1958年)では、1位が「生命・健康・自分」の22%であった。2位は「愛情・精神」の16%、3位は「金・財産」の15%で、「家族」は12%の4位という結果となっていた。さて、ここで質問。最新の第13回調査(2013年)において堂々の1位に輝いたのは何だと思いますか?
 答えは、「家族」で44%。ちなみに、「生命・健康・自分」と「愛情・精神」が18%で同率2位となっている。

 調査の回を経るごとに「家族」の回答割合が高まっていき、第8回調査(1983年)で31%と1位になって以降、不動の1位をキープし続けている。つまり、日本人にとって、「愛情や精神」「金や財産」「生命・健康・自分」よりも、「家族」が、大切なものとして考えられるようになってきたのである。

 一方、『犯罪被害者白書』(平成27年版、内閣府)によると、殺人事件の被疑者と被害者の関係について、807件のうち、被害者が親(実父母・継父母・養父母)だったものが139件17.2%、配偶者だったものが146件18.1%、子ども(実子・養子・継子)87件10.8%、きょうだい35件4.3%と、被害者が家族関係にあると考えられる殺人が、50.4%と半数を占めているのも事実である。(児童虐待件数や子どもの貧困率など、挙げ始めたらきりがないのでネガティブな情報はここまでにする)

写真2 数々の統計データ

写真2 数々の統計データ

 私たちは、家族について知っているようで、案外知らないことも多い。だからこそ、不安になったり、家族を賛美したり、家族にやきもきするのだろう。そんな現代人にとって家族とは何かを考えるうえで、示唆に富んだ資料がある。少年漫画の代表作ともいえる『ONE PIECE』(尾田栄一郎)と『NARUTO』(岸本斉史)である。前者は、登場する主人公たちの家族に注視しないのに対し、後者は血縁・血族といった関係性に注視しており、家族の扱いが非常に対照的といえる。現代人が、「家族」あるいは「家族的なもの」をどのようにとらえ、何を求めているのかを知る手がかりになると睨んでいる。さて、政府は平成19年度から11月の第3日曜日を「家族の日」とし、その前後1週間を「家族の週間」と定めている。今年も11月15日が「家族の日」となっており、「生命を次代に伝え、育んでいくことや、子育てを支える家族と地域の大切さが国民一人ひとりに再認識されるように呼びかけてきた」とされている(内閣府HP)。せっかくの「家族の週間」。マンガを読みながら、今日も家族について考えることにしよう。

写真3 家族・こども

写真3 家族・こども

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