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現代社会学科

2017.06.27

G7サミットと社会学:学科の紹介【31】

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現代社会学科

授業・研究室

G7サミットと社会学


濱西栄司 准教授
 2017年5月26-27日に、イタリア・シチリア島のタオルミーナでG7サミットが開催されました。トランプ大統領が参加するということで報道も良くなされていました。

 「サミット」は、もともと冷戦期の「石油ショック」(1973年)後に、先進・資本主義諸国の首脳(大統領/首相、大臣)が、新興国、アラブ産油国、社会主義・共産主義諸国に対抗して、主に経済政策を調整するための場として1975年に始めたものでした。以来、毎年開催され、現在では政治や紛争、テロリズム、気候変動などさまざまなテーマについて話し合う場ともなっています。現在の参加国は仏独英米伊日加の7カ国で、「G7」(Group of 7)サミットとも呼ばれます。

 サミット開催地には、政府要人やNGO、メディアを含め、世界中、開催国中から、多様な集団・組織、個人が集まります(写真)。気候変動問題、エネルギー問題、紛争・テロ、難民、金融危機などの諸問題は基本的に国境を越えた形で発生しますので、先進諸国の首脳たちが一同に集まるサミットは、各国政府にとっても、また(首脳たちに一度に要求できる点で)NGOなどにとっても、貴重な機会なのです。

写真 2009年G8サミット時のローマ市中心部バルベリーニ広場の様子(筆者撮影)

写真 2009年G8サミット時のローマ市中心部バルベリーニ広場の様子(筆者撮影)

 筆者は、これまでサミットをめぐる政府・NGO他の動きについて国際的な比較研究を行ってきました。各サミット時にどういう人たちが、何を主張しているのかを総合的に捉え、適切に比較検討すれば、その時々の世界・社会の全体的状況のある一面を理解することができます。たとえば日本で開催された5つのサミットをめぐって様々な活動を起こした集団・組織の変化は、図1のように整理できます。詳細は避けますが、その変化は、世界情勢の変化や日本社会の変化とも対応しているのです。

図1 日本開催5サミットをめぐる集団・組織の変化(濱西2016: 171)

図1 日本開催5サミットをめぐる集団・組織の変化(濱西2016: 171)

「サミット」は、政治リーダーたちの国際会議の一つですから、政治学や国際関係論の範疇に入るとおもわれがちです。しか、集団・組織の変化を、当該社会の変化と結びつけることができるのであれば、サミットもまた社会学者にとって貴重な研究対象になりえるのです。


参考文献
高瀬淳一、2000、『サミット――主要国首脳会議』芦書房.
野宮大志郎・西城戸誠編、2016、『サミット・プロテスト』新泉社.
濱西栄司、2016、『トゥレーヌ社会学と新しい社会運動

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