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現代社会学科

2017.09.20

真夏のトルコ発掘記2017:私と犬:学科の紹介【33】

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現代社会学科

授業・研究室

真夏のトルコ発掘記2017:私と犬

紺谷 亮一 教授
 今年も8月初旬から9月初旬にかけてトルコ共和国カイセリ県キュルテペ遺跡に発掘調査に行ってきた。8月は非常に暑く、時には体力の限界を感じる時もあった。私自身、日本ではそれほどアルコールを嗜まないが、現地ではあまりの暑さにトルコ産のビールを何本も飲むことになった。気候が日本よりも乾燥しているからであろうか、何本飲んでも酔わない自分に驚きを隠せなかった。今年の発掘調査の目標はキュルテペ遺跡の起源を探るために地表下5,5mまで掘り下げた。すると地下水が染み出し、来年以降は発掘区を拡張しなければ物理的にも安全性の面からも問題がありそうだ。地表下5mにもなると日光も当たらず、なおかつ地下水の水蒸気によって蒸し風呂のような状態になり、調査活動はかなり過酷なものとなる。それでも諦めずに掘り進んでいくのは「この遺跡の起源を探ることがオリエント考古学に寄与する」という、絶対的な使命感と自信からくるものである。今年は約5,000年に年代づけられる層で大きな発見があったのであるが、これについては場所を変えて発表したい。

非常に寂しかったのは発掘調査隊宿舎で飼っていたタルチュンという犬が死んでしまったことだ。この犬は我々から「発掘犬」と呼ばれていた。午前中の涼しい時間に我々にくっついて発掘現場までやってくるのだが、なぜかこの犬がそばにいると重要な発見が起こるのである。今にして思えば、もっとおやつを与えたり、一緒に遊んであげればよかったと思う。あるときは部屋に入り込んで、土器や石器を実測する私の姿を神妙な顔つきで眺めていたのがとても可愛らしかった。

一方、私が日本で飼っているサンタという柴犬は発掘期間中、私と離れて預けられている。帰国すると「なぜ僕を置いてけぼりにしたの?」という顔つきで一週間ほどは懐かない。人格ならぬ犬格としては「大いに拗ねる」という感じである。いずれにしろ私は日本でもトルコでも犬に癒されながら生きている。

果たして古代の人は犬とどのような関係を結んでいたのだろうか。現代のように室内で犬を飼って溺愛するようなことはなかったかもしれない。一つ興味深い事例をお伝えしよう。古代オリエント世界では建築材に日干しレンガを多用していた。そして日干しレンガには時々、犬の足跡がついている時がある。これはレンガを乾かす際、犬がレンガの上を自由気ままに歩いた証拠である。その際、人間は犬に対してどのような感情を抱いたのだろうか。犬を叱る人、「また犬が悪戯をしている」と思う人々。いずれにせよ古代においても犬は人々のすぐそばにいたのである。

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