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日本語日本文学科

2015.02.01

書道三年次夏季課題『双鉤印譜』|佐野 榮輝|日文エッセイ136

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日本語日本文学科

日文エッセイ

佐野 榮輝 (書道担当)
書の実技・理論を通して多様な文字表現を追求しています。

 三年次後期には私が専門とする「篆刻法」があり、学生自身が用いる印を、大は八分(約24mm)、は四分(12mm)の石印材に、自分の名、自分で命名した雅号各大小三種、引首印(インシュイン、書作品の冒頭に捺す印)、名・雅号の一字印、仮名用一字印、干支印・賀状印(頌春・迎春・賀正ほか)など十数顆を刻す。
 この課題は四年次での最終ステージ、学外で開催する「書道卒業制作展」の出品作に捺すための自刻自用の印である。
 中高の美術や書道で経験して、印を所持しているものもいるし、書塾で入手したものもいるが、私は必ず自刻の印を捺すことと義務づけている。高校での芸術科「書道Ⅰ」では篆刻・刻字は必修化しているためである。

「文學(学)」の双鉤(左)と填墨(右)

「文學(学)」の双鉤(左)と填墨(右)

 『双鉤印譜』(ソウコウインプ)とは聞き慣れない方も多いかと考える。双鉤とは、執筆法の「二本がけ」をも言うが、この場合は書の複製の方法であり、学書の方法にも用いられる。原跡に薄い紙
をあて、その文字の点画の輪郭を細い線でなぞり取ること。敷き写し、籠字、籠写しともいい、この場合の「籠」は提灯などに字を写し取るのに、凹凸があるため、輪郭線を写すから言う。双(ふた)
つの鉤(かぎ)とは、例えば「一」字を敷き写すのに、まず左上から右斜め下に進み次に右に方向を変えて進むと鉤が一つでき、同様に上部から右下に行うと、二つ目の鉤ができる、ということであろう。全ての双鉤が済んだら、さらにその輪郭線内に原物を再現するために、墨を埋めることを填墨(テンボク、填はうずめる)という。
  今に伝わる王羲之『蘭亭序』や『喪乱帖』などみなこの双鉤・填墨の二つの工程からできた摸本の名品である。
 印譜とは完成した篆刻作品を印箋に捺(お)して、冊子に綴じたものである。   
 三年前から、三年次前期の「篆・隷書法」履修生に、後期の「篆刻法」のために、夏季課題としてこの『双鉤印譜』の作成を行っている。その理由は、初心者はなかなか四角い印に篆書が入れられないことと、印人は、小さい印面でどのような工夫を凝らしているかを凝視させるためである。
 教科書の中から、自分の気に入った、興味のある印を二十選び、双鉤と加朱(書の填墨)に要した時間、撰んだ理由や感想・筆記用具なども記入させる。
感想の主立ったものは、何故、辺縁(印の枠)が壊れているのか、壊したのか、に触れている者が多い。確かに石印材は壊れやすいし、中にはそのような印もあるが、大概は「撃辺」といって、印の文字の雰囲気に合わせたり、古色を付けるために、意図的に辺縁を壊していることを理解できるようになってくる。
 四辺が人工的な直線のままだと、印が大きく見えない、却って窮屈なども理解できるようになってほしい。壊すことによって印外の白い空気を小さい印面に送り込んでやると説明している。

学生の『双鉤印譜』より

学生の『双鉤印譜』より

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