2月9日、久しぶりに書道教室を覗いてみると、学生が大勢集まっていました。今日は、「書道卒業制作」の引継ぎの日です。
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4年生にとっては最後、3年生にとっては最初の「書道卒業制作」の日を、「顔見世(かおみせ)」と呼んでいます。
「代表」「広報」「会場係」など、役割分担を決めて、仕事を引き継ぎます。
こちらは新代表が旧代表から引継ぎを受けています。
引継ぎが済んだら、4年生のすることは二つ。
3年生にパネルの作り方を実演してみせることと、
自分たちの作品をパネルから取り外すことです。こちらは、いくつか気に入ったものを選んで、後日業
者に表装してもらいます。
全部仕立てて貰ってもいいのですが、お金がかかるのでなかなかそうもいきません。
これで名実共に、4年生は書道卒業制作展を終了しました。一年間、お疲れ様でした。
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さて、今期の代表を務めた_橋由樹さんに、卒業制作展を終えたいま、一年間を振り返って貰いました。以下はインタビューです。
強く印象に残っているのは、裏打ち実習(ブログ参照)の日の打ち上げです。
佐野榮輝先生に「もうちょっとしっかりやってくれない?」と言われてしまったんです。
その日まで、私たちは決して不真面目にしていたのではありません。むしろ各自の作品に集中して一生懸命でした。
でもそれは、必要なことの一部でしかなかったんですね。先にパネルの準備をしておくとか、自分たちだけでできることをしていなかったため、肝心の裏打ちのしかたを教えて頂くまでにバタバタしてしまいました。
「書いていればいいというものではないのだ」と、はっとなりました。
それ以来、自分の作品に取り組む傍らで、周りの状況にも気を配るように心がけました。
とはいっても、もっとできたらよかったなとは思うこともありますが、そこはメンバーの皆に助けられました。
佐野先生はあまりほめません。私も唯一、3年生時の篆刻制作で「初めてにしてはいいね」と言われただけ。
ああしろこうしろと直接的におっしゃることもありません。
それでも、作品を何度も書き直す際に、変えてみたところ、工夫してみたところには、確実に言及されます。
私たちが自分で考えるようにしてくださっているのだと思います。
実は私は清心が第一志望ではありませんでした。だから、中学まで習っていた書道のために大学を選
んだというわけではないんです。
その清心に入らなければ、書道は続けていなかったと思います。
こうして色々な条件が積み重なって、佐野先生のもとに私たち9人が集まることになり、自分たちだけの作品展が開けて、一人5作品も出展できて、更に篆刻まで専門家に直に教えて貰えて―大げさですが、私には奇跡のように思えます。
やりたくてもできない人もいるようなことを、させて貰えました。
それをここで収めるのはもったいないので、卒業して教職に就いてからも、書道を続けてもっと自分の書を高めたいと思っています。
【今日のことば】
なにより、書という、人生で没頭できるものが見つけられてよかったと思います。
(第20期書道卒業制作展・代表 髙橋由樹)
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第20期の代表・_橋由樹さん