本学で岡山市の「市民の童話賞」表彰式が開催されました(1)の続きを掲載します。
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「あいたたた~~~~~。」
つまり、お話の2/3のあたりで、「あいたたた~~~~~。」と誰かが痛がっているストーリーになる訳です。
次に埋まったのは、5番の枠、「さっきジュースを飲んだのでした。」、その次が3番で「きのう何を食べたかなァ?」。
というわけで今のところ、
1
2
3 「きのう何を食べたかなァ?」
4
5 さっきジュースを飲んだのでした。
6
7
8
9
10 「あいたたた~~~~~。」
11
12
13
14
15
16
というお話です。
イメージがつかめたでしょうか。
枠が埋まって行くにつれ、前後の文脈に合わせる苦労が増えますね。
グループのメンバーは、一緒にお話を作る仲間であると同時に、ライバルでもあるのです。
この「選考委員グループ」のストーリーは、どういう方向へ向かうのでしょうか。
ここで、我らの山根知子が動きました。
こうして5人が3つずつ文を埋めて、最後の16の枠を全員で考えれば、お話は完成です。
なかなか楽しそうで難しそうな課題です。
では、みんなもやってみましょう。
各グループがカードを引き、テーマが決まっていきます。
12「ブラキオサウルス、しっぽかして。」なんと、ハードルを上げてきました!
例えばあるチームのテーマは…
「たこやき/せかいちず」。
普通なら、このテーマで物語を作ろうとはなかなか思いませんよね。そこが醍醐味です。
ちなみに、A・Bの箱には次のようなカードが入っています。
A
コンテスト
たこやき
ほらあな
けむし
はなみず
なすび
みみず
きょうりゅう
B
ウィルス
おうこく
だいぼうけん
0点
えんそく
はいしゃさん
だいばくはつ
せかいちず
どこのチームも額を付き合わせるようにして、枠に入れる言葉を考えています。
選考委員チームも苦戦中の様子。
どうやらストーリーの前半と後半のつなげ方に苦心しているようですね。
さて、作品提出の時間が来ました。 各グループの作品を、村中教授が読み上げます。 当然のことながら初めて見る作品を、それはそれは生き生きと読んでくれます。
選考委員の作品は、このようになりました。
題して「きょうりゅうはいしゃさん」。 (下の画像をクリックすると大きな画面で読めます)
どのチームの作品も、傑作ぞろいでした。
「なす/おうこく」のカードからは、スーパーマーケットを舞台に、なすびの軍団がトマト王国に挑むお話が生まれました。
長らく占拠されていた目玉商品の棚から、トマトを追い出すことには成功するのだけれど...。
「マグマザウルスだいばくはつ」は、「きょうりゅう/だいばくはつ」のカードからできました。
タイトルこそ素直ですが、意外にも宇宙創成の壮大な物語です。
なにせラストの台詞が「光あれ」。もはや神話です。
「まほうのはいしゃさん」は、あれよあれよと言う間にストーリーがシュールな方向に展開して、会場は爆笑の連続です。
作者の一人の小学生も、村中教授が読み上げるのを、自分でゲラゲラ笑って聞いていたのが印象的でした。
この日12の物語が編まれましたが、一つとして、ありきたりなものはありません。
最後に、村中教授からの一言。
「一人ではこんな風に1時間ちょっとでお話を作るなんてできませんよね。
そしてそれ以上に、こうしてグループで創作をしてみると、自分では思いつかないような発想があるんだなと、実感できたのではないかと思います。
それを踏まえてまた、各自の創作に戻って、みんなで物語を書いていきましょう」
「みんなで物語を書く」、その場の一つを岡山市や本学が担っているとしたら、こんな素晴らしいことはないように思いました。
書けるだけでなく、芸達者。
「タイトルは『きょうりゅうはいしゃさん』だけど、歯医者さん出てこないじゃない!」(村中教授)
村中先生、お疲れ様でした。
岡山市文学賞の詳細については、岡山市文学賞のサイト、「学生による坪田譲治ワールドへの招待」(岡山市文学賞運営委員)がありますのでぜひごらん下さい。
本学の「文学創作論」の様子や創作作品は、こちらからごらん頂けます。