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日本語日本文学科

2017.03.01

情報社会の図書館利用と情報リテラシー|川﨑千加|日文エッセイ161

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日本語日本文学科

日文エッセイ

日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第161回】 2017年3月1日
【著者紹介】
川﨑 千加 (かわさき ちか)
図書館・情報学 司書課程担当
 
情報社会の図書館利用と情報リテラシー
 
1、情報社会の入り口
 情報社会という言葉が現実となったのを実感したのは、1995年に本格的にインターネットが普及した時でした。アメリカでは、1994年に「インフォメーション・スーパー・ハイウェイ構想」が発表されました。すべての家庭でインターネットを介した在宅ワークや自宅での学習が可能になり、時間や空間を超えて世界中がネットワークにつながることで、生活はより便利で豊かになると。 一方で、こうしたネット社会では、経済的理由などでそうした環境を持てない人達は、多くの社会的活動
からも阻害されることになります。このようなデジタルデバイド(情報格差)の問題に対し、アメリカ図書館協会(以下、ALAとする)は、自宅にパソコンやネットワーク環境がない人に格差が生じないよう、図書館が支援することをいち早く宣言しました(注1)。図書館は人々がより文化的で健康な生活を送ることができるよう、すべての人が公平にあらゆる情報にアクセスする権利を保障することを目的としているからです。

2、「情報リテラシー」とは
 「情報リテラシー」という言葉が強調されるようになったのもこの頃からです。情報社会では、情報機器を柔軟に使いこなし、膨大な情報からより適切なものを取捨選択して、法的倫理などを理解した適切な情報を発信する力が求められるようになりました。これらの総合的な力が情報リテラシーと言えます。
 「情報リテラシー」はコンピュータを使う能力と考えられがちですが、それはリテラシーの一部分にすぎません。情報機器は今や赤ちゃんの時から接しているものです。スマートフォンは肌身離さず持ち歩くものになっている人も多いはずです。だからこそ、情報機器の操作よりも多様なメディアを介して広がる情報をどう読み解き、書く(発信する)かということこそが重要になっています。

3、情報リテラシーと図書館利用
 インターネットの普及から20年余りで、人々が扱う機器もパソコンからスマホやタブレットへと小型化し、いつでもどこでも常時ネットワークに接続されている社会が実現しています。IoT(Internet of Thngs=モノのインターネット)の浸透やAI(人工知能)の高度化も話題になっています。コンピュータにより管理、処理される情報は日常生活の中に入り込んでいるといえます。そして何か行動する時、考える時、"とりあえずネットに伺う"情報探索が当たり前の状態になった今、私たちはその情報の海の中を安全に航海できているでしょうか?
 2016年12月に複数の健康情報のまとめサイトが閉鎖され、ネットによる情報収集の危うさが話題になりました。命に関わることもある医療・健康情報にもかかわらず、医療関係者はほぼ関与しておらず、でまかせや根拠のない情報が多数掲載されていたことから批判を受け、閉鎖となりました。 そこでは実際の医療・健康情報とは異なる情報や、関連のないキーワードが盛り込まれていました。多くの人が「検索する言葉」を盛り込むことで、私たちがGoogleなどでキーワードを入れて検索すると、トップにそのサイトが表示されるようになっていました。それはそのサイトに多くの人がアクセスすることで、そこに広告を載せる企業を増やし、広告収入をあげるために行われていたことでした(注2)。
 こうしたことは氷山の一角にすぎません。それでも、多くの人はYahoo!やGoogleで検索して、最初に出てきた情報が自分の求めていた情報に最も近いものだとか、みんなが見ている情報だから信じて良いと思っているようです。何百万件とヒットした検索結果から、2ページ目や3ページ目までも確認する人はとても少ないようです。
 ネット情報だけでは、実は自分の求めている情報が上手く探せていないことも多いのです。情報をうまく探そうとするとき、検索するキーワードはとても重要になります。また、その情報がどこから発信されているのか、古い情報なのか新しい情報なのか、そして新聞や雑誌記事、図書でもその情報は確認できるのか、といったことを検討し、情報を多面的に読み取る力が求められます。その力を得ることができる場所が、多様な資料や情報源を備える図書館です。図書館の世界では「図書館を利用する力も情報リテラシーの一部」と考えています。それは、今後の情報社会を生きる上でとても重要な力と言えます。
 
注1) ALA.(1995). インフォメーション・スーパーハイウェイの公平利用について : その問題点と可能性.
In 『図書館のめざすもの』. 竹内_編.日本図書館協会, 1997.

注2) 情報の裏側 : ググるだけではカモられる. (2016, 12. 10).週刊東洋経済, (6699), 34-35.

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