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日本語日本文学科

2017.04.01

「坪田譲治コレクション」ー坪田本家と渡邉和子理事長の導きを振り返ってー|山根知子|日文エッセイ162

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日本語日本文学科

日文エッセイ

日本語日本文学科 リレーエッセイ
【第162回】 2017年4月1日
【著者紹介】山根知子(やまね ともこ)
近代文学担当
宮沢賢治・坪田譲治を中心に、明治・大正の小説や詩および児童文学を研究しています。

 「坪田譲治コレクション」 
 -坪田本家と渡邉和子理事長の導きを振り返って-

 
「坪田譲治コレクション」新設コーナー
 坪田譲治(1890-1982)は、岡山市に生まれ小説家・児童文学作家となり、近代児童文学の発展に寄与する作品を生みだし、後進の育成にも力を注いだ作家です。
 本学は、岡山市の岡山駅西方面にわたる譲治ゆかりの風土に位置するという好条件もあり、日本の児童文学史を切り拓いた坪田譲治の研究拠点となることをめざして、本学創立60周年を迎えた2009年、譲治の命日7月7日に本学附属図書館に「坪田譲治コレクション」を開設しました。
 そして「坪田譲治コレクション」が7周年を迎えた2016年7月7日には、附属図書館の増築を機に、髙木孝子学長の配慮のもと、新たな場所に展示ケースが設けられた「坪田譲治コレクション」新設コーナーが開設され、展示を始めることができました。
 振り返ってみますと、15年ほど前から今に至る過程で、さまざまな導きがあったことを思い出します。当初は、譲治研究において全作品の実態や草稿の存在に関しても網羅的な確認はなされていない状況でした。
 そうした状況に対して私自身、岡山市文学賞(坪田譲治文学賞)の運営委員になったことも契機となって、遅れている譲治研究に対して初版本収集や草稿の調査を進めていました。そのようななか、まず本学日本語日本文学科所属の教員による理解と協力によって、日本語日本文学科の活動として位置づけられ、さらに本学附属図書館および大学の支援のもとで、大学全体の動きとしての「坪田譲治コレクション」開設へと至ったことは本当に幸いなことでした。

坪田家本家と渡邉和子元学長とのつながり
 譲治の作家活動の全貌を研究的に明らかにしようとする目的から、文献収集と並行して、譲治生家(岡山市北区島田本町)の周辺一帯をフィールドワークして近隣の方々による証言を集めていた私は、今は建物もない分家である譲治生家の近くに、坪田家の本家があり、そこにもよく訪れていました。
 坪田本家では、譲治のいとこの子どもにあたる中嶋倶子さんが住んでおられ、私が訪れるといつも温かく迎えて下さり、本家の情報や譲治が訪ねてきた話を教えて下さり、譲治関係資料を見せて下さいました。そうした幾度にもわたる交流のなかで、中嶋さんの長女である則武啓子さんが本学の卒業生であり、また卒業後には当時の渡邉和子学長の秘書として4年間勤めた方であると知ったのです。そうした深い縁に続き、さらに中嶋さんの夫である中嶋康輔先生も、岡山大学教育学部の教授として、数年本学の児童学科の非常勤講師としてお越し下さっていたということで、当時の渡邉和子学長との交流があったと知ることができました。こうして、坪田本家とのつながりを、特に渡邉和子元学長との関係において本学との絆として見出すことができ、さらに秘書を勤めた啓子さんとの交流も深めさせていただきながら認識していったという過程がありました。
 そうした過程で、中嶋ご夫妻から、坪田家資料および譲治関連資料を本学「坪田譲治コレクション」へと寄贈したい旨のお言葉をいただき、坪田家の古写真や譲治直筆資料を寄贈いただくこととなりました。
 さらに、「坪田譲治コレクション」の新設コーナー設置への準備期間でも、屏風や額入りの譲治直筆の書を新たに寄贈して下さり、それらが新設コーナーでの展示の中心的存在となりました。
 いよいよ2016年7月7日にこの新設コーナーが開設されたとき、中嶋ご夫妻をご案内したかったのですが、ご高齢のため写真でお伝えすることとし、渡邉和子理事長と則武啓子さんとをご案内することとなりました。ここに掲げたその日の写真は、渡邉和子理事長も熱心にご覧下さった展示風景で、中嶋ご夫妻にはたいへん喜んでいただいたと伺っています。
 その中嶋康輔先生が、この4ヵ月後に逝去されたと知ったときには、本当に驚きましたが、コレクションの様子をお見せできたことには救われる思いでした。
 また、さらにその1ヶ月後に渡邉和子理事長が、1週間前のクリスマスミサのお元気そうなお姿を最後に、天に召されたのでした。

 譲治研究と授業でのコレクション活用
 このたびお二人を天にお送りする経過を通して、「坪田譲治コレクション」は、譲治を中心としながら、岡山において坪田本家と本学との深い絆による思いから成り立ったことが、ますます深く心に刻まれる思いでした。
 そのことを伝えつつ、譲治の作品世界を学生たちとともに味わいたいと思っています。これからも授業で、また研究で、学生たちとこの「坪田譲治コレクション」の空間に入るたびに、こうした記憶や思いを甦らせつつ、譲治の作品世界への理解と親しみを深めていきたいと思います。

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