• Youtube
  • TwitterTwitter
  • FacebookFacebook
  • LINELINE
  • InstagramInstagram
  • アクセス
  • 資料請求
  • お問合せ
  • 受験生サイト
  • ENGLISH
  • 検索検索

英語英文学科

2016.04.25

「世界が鮮明になる」| 松井 かや

Twitter

Facebook

英語英文学科

エッセイ

本学には長期の留学制度に加えて、海外英語演習という3週間の語学研修プログラムがあり、全学科の学生が履修できます。昨年の夏、履修者18人を引率してカナダのビクトリアを訪れました。学生たちはビクトリア大学のEnglish Language Centreで毎日授業を受け、午後はダウンタウン・ツアーやヨガ等のエクササイズ、近くの街へのエクスカーションといった活動にも参加します。授業は 110分授業を2コマというなかなかハードな内容ですが、皆それぞれに楽しんでいたようでした。
ある日の午後、皆で Royal BC Museumという博物館を訪れたときのことです。広々とした空間にたくさんのトーテムポールが展示されていました。眺めていると、隣に来た学生が、トーテムポールは建てられる目的によって種類があること、彫られているもの(トーテム)にひとつひとつ意味があること、たとえばこの動物は......という具合に説明をしてくれました。研修での授業で知ったそうです。
説明の後、彼女は「何も知らずに(トーテムポールを)見たとしても、すごいと思うだろうし、それなりに楽しいと思う。でも、背景や意味を知ると、ものすごく面白くなるし、全然違って見えるんです。自分でもびっくり!」と話してくれました。さらに他の展示を見ていた学生たちもやってきて、「あー、やっぱりこうやって見ると納得するよね」「これってどういう意味だったっけ」などと授業の内容を思い出しながら語り合っていました。わかると面白いよね、と話すその表情がとても生き生きとしていました。

同じ表情に、ふだんの授業でも出会うことがあります。私の専門は英文学で、授業では学生たちとさまざまな作品を読みます。作者や、それが書かれた時代の情況、当時の人々の価値観などを知ることで、作品の様相は驚くほど変わってきます。このことを、ある学生は「世界が鮮明になる」と表現しました。ぼんやりとしていた世界がくっきりとして、視界が開けるのだと。つかみどころのない世界を理解しようとするとき、知識は大きな助けとなります。そこからまた、新たな疑問や関心も生まれてきます。これは文学に限らず、自分が生きる世界を理解する上で必要なスキルだと思いますが、それ以前に、「知って、考える」ことは、単純に楽しい!のです(もちろん、知れば知るほどよくわからなくなる、という事柄も世の中にはたくさんあるのですが)。

「知ると楽しい」なんて当たり前のことのようですが、「頭でわかっている」のと「体感する」のとではやはり違うのだなぁ、とビクトリアで再認識しました。今年の夏は、去年の2倍の人数の学生たちがビクトリアに向かう予定です。英語のスキルアップに留まらない、新鮮な学びや出会いが待っていると思います。どうぞ良い旅を!

一覧にもどる