• Youtube
  • TwitterTwitter
  • FacebookFacebook
  • LINELINE
  • InstagramInstagram
  • アクセス
  • 資料請求
  • お問合せ
  • 受験生サイト
  • ENGLISH
  • 検索検索

英語英文学科

2017.05.11

フランスのこと│福島富士郎教授

Twitter

Facebook

英語英文学科

エッセイ

フランスのこと
福島富士郎

アメリカのトランプ大統領の出現を多くの人が驚きの思いで受け止め、彼の内向きの言動が世界を揺るがしていますが、ヨーロッパでも似たような大きな政治的揺れが起こっています。今月、フランスの大統領選挙が中道派のマクロン候補の勝利で終わって、多くの人がほっとしていると思います。外国人に対して排他的な考えを持つ極右のルペン候補が大統領に当選したら、どうなってしまうのだろうかと心配しました。

私は1981年~2年の1年間パリに留学していて、パリ14区にある大学都市に住んでいました。そこにはいろんな国が建てた留学生のための寮があり、私はドイツ館、次に日本館に住みました。そこにはいろんな国からの留学生がいて文字通り国際的な雰囲気の中で暮らしていました。

そのような中で、フランスの外国人に対する寛容さを感じた出来事がありました。当時、イランではホメイニ師によるイスラム原理主義の政治が行なわれ、それ以前のパーレビ国王による政治体制が崩壊し、パーレビ国王はフランスに亡命していたのです。そのような中で、フランス在住のイラン人でホメイニ政権に反対する人と、その政権を支持する人たちが大学都市の前の道路で、両側の歩道に立ってそれぞれ相手を非難する声を上げていました。イランの政治のことをイラン人がフランス国内で対立する示威行動をしている。このことがとても印象的でした。つまり、よそ者が自分の家の庭でお互いに言い争いをしているのをフランス人は許している寛容さがあるように見えました。因みに、パーレビ体制下で亡命せざるを得なかったホメイニ氏が行った国もやはりフランスでした。フランスには旧植民地出身の人たちもたくさん住んでいます。

寛容に見えるフランスも以前は、アフリカに植民地を持って現地の人々を支配し、独立を目指すアルジェリアとの戦争も経験していたのです。また、アジアではベトナムがフランスの植民地になっていたことがあります。私がフランスのどこだったが忘れましたが地方の駅のホームに居たらおじいさんが話しかけてきて、ベトナムに行ったことがあると言っていました。観光旅行で行ったのではなく、辛い感じで話をしていたのでベトナムとの植民地戦争で行ったという話をしていたと記憶しています。そのおじいさんに「私は日本人です」と言っても、日本がどこにあるか分からなかったようです。そのおじいさんにとってアジア人はベトナム以外は考えられなかったかもしれません。

国際化の中にあって、たくさんの人が外国の言葉を学びたいと思っていますが、その国のことを知るには言語や現在の状況だけではなく、過去の歴史を知ることも必要だと思います。英語英文学科でも文学履修コース、英語学言語学履修コースに加えて、国際コミュニケーション履修コースを新たに設けましたが、これらのコースでは語学力は勿論のこと、外国の歴史、文化などの深い理解も必要です。

一覧にもどる