2016.09.13
わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。
(エレミヤ書29 章11 節)
旧約聖書は、歴史が神の計画によって方向づけられていると教えます。そのため、数々の歴史的出来事は人間の心に深く刻まれ、記憶にとどめられてゆきます。心に刻まれた過去の記憶は、将来への希望に人々を駆り立てます。
本年五月オバマ米大統領の広島訪問は、広島の地に様々な思いを与えました。広島の地でのスピーチは、「未来において広島と長崎は、核戦争の夜明けでなく、私たちの道義的な目覚めの地として知られることでしょう。」(時事通信社訳)としめくくられました。
この言葉は、一九八一年二月広島の地で聖ヨハネ・パウロ2世が宣言した「広島を考えることは、平和に対しての責任をとることです。この町の人々の苦しみを思い返すことは、人間への信頼の回復、人間の善の行為の能力、人間の正義に関する自由な選択、廃虚を新たな出発点に転換する人間の決意を信じることにつながります。」に連なります。
預言者が述べるように、たとえそれが悲惨なものであっても、過去の出来事が将来に向かって希望を与えるものと受け取っていきたいと思います。二度と同じ過ちを繰り返さないためにも。
キリスト教文化研究所客員教授 原田豊己神父