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ノートルダムの風景

2017.03.12

イースター(復活祭)

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ノートルダムの風景

ダイアリー

4月16日はイースター、キリストの復活を祝うお祭り(復活祭)の日です。キリストの誕生を祝うクリスマスとならんでキリスト教最大のお祭りですが、日本ではクリスマスほど知られていないかもしれません。

クリスマスは12月25日。しかし、これはイエス・キリストの誕生日ではなく、一年のうち、太陽の力が最も弱く、したがって、夜(=闇)の支配が最も強い冬至の季節に、光の救世主の誕生を祝う祭を配置したものです。一方、イースターは生命が躍動する春の到来に合わせて、新たな生命の復活を祝う祭を配置したもの。ただ、クリスマスが日付固定であるのに対して、イースターは祝祭日が毎年移動する移動祝日になっています。「春分の日の後、最初の満月の日の次の日曜日」という、ちょっとややこしい計算の仕方で、今年は4月16日がこれにあたります。ちなみに、2016年の場合は3月27日がイースターでした。

 

ところで、聖書によれば、イエスは十字架に付けられ、死んで墓に葬られたのち、3日目(正確には、足掛け3日)によみがえったとされています。その復活の様子は他の福音書には記されていますが、不思議なことに、最古の福音書である『マルコによる福音書』には、ただイエスの復活が「暗示」されているだけで、具体的な復活の様子は一切、記されていません(16章9節以下は後世の加筆)。「暗示」はされているわけですから、マルコは復活に関する物語を間違いなく知っていたはずなのに、なぜ彼はそれを記さなかったのか、これはマルコのミステリーとされています。途中で急死してしまったのではないかとか(マルコ急死説)、書いたのだけれども、最後の部分が消失してしまったのではないかとか(文書紛失説)、さまざまな憶測がありますが、確かなことは分かりません。しかし、「あえて書かない」ということがマルコのメッセージだったのではないか、という考え方もあります。つまり、『マルコによる福音書』は、「イエスはここ(エルサレムの墓場)にはいない。ガリラヤで会えるだろう」という復活の暗示で終わっているのですが、これは読者である私たちに対して向けられたメッセージであって、「イエスは墓場のような享楽の都(エルサレム)にはいない。あなたがた一人ひとりが苦難の中で、すなわち、『自分にとってのガリラヤ』で復活のイエスと出会いなさい」、マルコはそう伝えたかったのではないか、というのです。そう考えてみれば、イースターは春の到来を祝う祭であるとともに、いや、それ以上に、イエスと自分との出会いに思いを馳せ、その意味を噛みしめる日だと言えるでしょう。

ガリラヤ湖畔

ガリラヤ湖畔

最後にクリスチャンでも知らないトリビアを1つ。「イースター」という名前の由来は何かご存知ですか?「ウーン」と首をかしげた人は、正直な人。正解は「不明」だからです。異教の春の女神 Eostre に由来するという説もありますが、ホントのところはよく分かっていません。これまたミステリー。どなたか有力な説を知っていたら、ぜひ教えてください。


キリスト教文化研究所 所員・人間生活学科教授  葛生栄二郎

 

キリスト教文化研究所

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