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ノートルダムの風景

2017.06.28

洗礼者聖ヨハネの誕生の祭日―シスター・セント・ジョン渡辺和子名誉学長を偲ぶ

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ノートルダムの風景

ダイアリー

6月24日は洗礼者聖ヨハネの誕生を祝う祭日です。

カトリック教会で誕生日が祝祭日となっているのは、イエスと聖母マリア、そして洗礼者ヨハネの3人のみです。祝祭日のうちでも最も重要性の高いものを「祭日」といいますが、イエスと洗礼者ヨハネの誕生は、どちらも祭日です。イエスの誕生を祝うクリスマスは冬至祭と関わりがありますが、そのちょうど6か月前にあたるこの祭日は、聖ヨハネ祭と呼ばれ、夏至祭とも結びついて、キリスト教文化圏では盛大に祝われます。


『ルカによる福音書』1章には、イエスと洗礼者ヨハネの誕生の記事が並列的に描かれ、洗礼者ヨハネはイエスの先駆者として位置づけられています。天使ガブリエルは、祭司ザカリアに

「あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ」(13・14節)

と告げます。この天使ガブリエルがちょうど6か月後にマリアに神の御子の受胎を告げます。そして身ごもったマリアは、親類のエリサベトを訪ねます。マリアの挨拶を聞いたエリサベトは聖霊に満たされて声高らかに言います。

「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。わたしの主のお母さまがわたしのところに来てくださるとは、どういうわけでしょう。あなたの挨拶のお声をわたしが耳にしたとき、胎内の子は喜んでおどりました。」(42-44節)

この神からの恵みによって身ごもった二人の妊婦とその胎児が対面する美しい場面から、イエス・キリストとの出会いの喜びを最初に体験したのが胎内の子であることに注目し、胎児のいのちの尊さを訴えたのは、マザー・テレサです。マザーは、三度来日しましたが、その訴えこそ、来日の最大の目的でした。


 

ところで、マザー・テレサ来日の折に、通訳も務め、マザーと親交のあったシスター渡辺和子名誉学長の修道名は、洗礼者聖ヨハネを意味するセント・ジョンでした。それゆえに、シスターの学長時代のプレジデンツデー(学長の修道名の聖人の祝祭日を学長祝日として祝う日)は、洗礼者聖ヨハネの祭日でした。


シスターは生前、「6月のカレンダーには祝日の休みがないでしょう。だから、私の学長時代にプレジデンツデーの祝日が6月24日で休みになるのが、大変喜ばれていたのよ」と懐かしそうに話されていたことが想い起されます。


シスターは昨年12月30日に89歳で帰天されましたが、自らの葬儀のために生前にシスター本人が用意しておく聖書の言葉があり、それは洗礼者ヨハネの次の言葉でした。


「彼は栄ゆべく、我は衰うべし」(『ヨハネによる福音書』3章30節)


この言葉は、イエスに洗礼を授けた洗礼者ヨハネの使命が何よりも救い主であるイエス・キリストを無私の心で指し示すものであったことを告げています。シスターがセント・ジョンの修道名をいただいて生きたほぼ60年におよぶ修道生活は、まさにこの洗礼者ヨハネの姿勢にならい、私たち一人ひとりをかけがえのない存在として「ご大切」にしてくださる神を、学生に接する自らの身をもって指し示すことを志した教育者としての人生であったことを想わずにはいられません。


今年から6月24日洗礼者聖ヨハネの誕生の祭日は、そうしたシスター・セント・ジョン渡辺和子名誉学長の姿を偲び、その志を改めて想う大切な日となりました。

アンドレア・デル・サルト 「聖家族と聖エリサベツと洗礼者ヨハネ」



キリスト教文化研究所教授 山根道公
キリスト教文化研究所
山根道公


 

2017年10月28日(土)~29日(日)に行われる第54回大学祭では、シスター・セント・ジョン渡辺和子追悼展を企画しています。直筆原稿や映像を公開予定です。

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