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児童学科

2019.05.24

池上彰先生「大学論」特別講義を開催しました

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児童学科

学科ダイアリー

ジャーナリストの池上彰先生が、「大学論」の特別講義をしてくださいました。この講義は、故・渡辺和子ノートルダム清心学園理事長が、児童学科の初年次必修科目「総合演習」の中で、リベラル・アーツについて講義していたテーマを、池上先生が引き継いで受けてくださったものです。2017年度が初回で、今回は3度目になります。

リベラル・アーツとは何か、大学で学ぶということはどういうことかについて、たいへん分かりやすく伝えてくださるおかげで、学生たちからもテーマに沿った鋭い質問が多く出され、会場全体が充実した学びの雰囲気に包まれます。そのため、ご多忙の池上先生が毎年スケジュールを調整して来学くださる好循環が生まれています。本年度も、児童学科一年生だけでなく、本学のたくさんの学生や教職員の参加がありました。

〇日時:2019年5月11日(土曜日)13:30~15:00
〇会場:ノートルダム清心女子大学 カリタスホール

<特別講義の概要>
1.大学で学ぶとは
例えば、大津市で園児が巻き込まれた交通事故を、「かわいそう」「ひどい」「許せない」で終わらせるのでなく、抜本的な交通事故対策や、その予算、保育園での散歩や園庭の必要性(幼稚園と保育園の設置基準の違い)、そこからつながる幼保一元化の課題等、多方面に広げて考えることが、大学で学ぶことである。

2.新元号「令和」と「言霊」
BBC(英国放送協会)は、「令和」を当初 ‟Order and Harmony" と訳して伝えた。しかし、「命令」の「令」ではなく「令嬢」「令室」といった「美しい」という意味である。記者が語学に堪能であっても、万葉集(日本文化)に詳しくないために起こったことで、国の文化を知ることがいかに重要かを示している。現在は ‟Beautiful Harmony" が訳として用いられている。日本人は昔から「言霊」を大事にしてきた。ただ、不吉なことを「忌み言葉」として避ける傾向は、「嫌なことは考えない」文化であり、「想定外」が頻繁に起こることにつながる負の側面でもある。このように、文化をリベラル・アーツとして学ぶことにより、物事の背景や原因がより深く考えられる。

3.リベラル・アーツとは
人間が人間であるために必要な考え方や知識を学ぶことである。すぐに役立つ知識は、すぐに役立たなくなる知識とも言える。アメリカのハーバード大学やMITではリベラル・アーツを重視している。最先端の科学技術に対応するためには、自分の頭で考えて創りだす力が必要である。

4.学生であること
高校までは、文部科学省の検定教科書を使い、正しいとされている知識を学ぶ。一方、大学では、正しいかどうか分からないこと、そのまま信じていいかどうか分からないことを学ぶ。疑いを持ち、一生懸命に学ぼうとする学生であってほしい。

5.日本の英語教育について
日本人は何年間も英語を勉強しているのに話すことができないと言われるが、実際は、英語で話す力がないのではなく、話す内容がないのではないか。本、古典をしっかり読み、自分の考え(=教養)を持ち、語れる内容を増やしておきたい。

6.教育を受けられることの幸せ
教育とは人に盗まれることのない財産である。字が読めないことで、騙され搾取されることもある。自分の名前が書ける喜び、請求書が読める大切さを実感している人々がいる。読み書きは衛生管理につながり、乳児死亡率低下につながることから、女性の識字率向上が求められている。
 
7.学生からの質問
・大学で学ぶ目的が、学問や教養のためではなく、就職のためになっているのではないか。
・学ぶことが当たり前になっている日本において、教育の楽しさを知らせるには。
・リベラル・アーツを学ぶことで「共感力」は育つと思うか。教養を学んでよかったことは何か。
・リベラル・アーツを始め、ビジネスや英語教育に関して、何でも海外から取り入れてきたが、本質が伴っていないのではないか。
・小学校から「聞くこと」が多い日本の教育の中で、主体的な学びはできるのか。

講義の締めくくりとしてショウペンハウエル著・斎藤忍随訳『読書について』(1983年岩波文庫)をご紹介くださいました。「読書とは他人にものを考えてもらうことである」と述べてあることから、読書を通して他人の思考をたどるとともに、それだけでなく、本当にそうなのか、自分の考えと何が違うのか、なぜ自分は感動するのか等、自分で考えることを止めないでほしいとのメッセージを頂きました。

(文責/児童学科准教授 福原史子)

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