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現代社会学科

2018.08.23

身近にある「異文化体験」のススメ:学科の紹介【41】

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現代社会学科

授業・研究室

身近にある「異文化体験」のススメ

二階堂裕子 准教授

 グローバル化が進む今日では、異なる文化を持った人同士が直接向き合っていかなければならない状況にあります。そのため、異なる文化を持つ人々と積極的に交流し、互いの文化や価値観の違いを受け入れつつ、新たな関係を創造することが求められるようになりました。そうした機会のひとつとして、海外留学の人気が高まっています。高校生の中には、大学生になったら、自分も海外の大学へ留学してみたいと考える人も多いことでしょう。
 しかし、そのような「異文化接触」は、外国へ行かなければ体験できないというわけではありません。 そこで、身近にある「異文化体験」として、私がゼミの学生とともに2015年から岡山県美咲町で続けているフィールドワークについて紹介しましょう。
 岡山県の中央部にある美咲町は、人口14,000人あまり(2018年7月末現在)の小規模自治体で、人口減少と少子高齢化が著しく進む過疎地域です。これまで、ゼミの学生たちは、美咲町の住民や自治体職員のほか、他の地域からやってきた多くのボランティアの人々とともに、空き家となっていた現地の古民家を新しい活動拠点として生まれ変わらせたり、美しい棚田で田植えや稲刈りを行ない、農業の再生を支援したりする取り組みに参加してきました。

 写真1 美咲町「棚田きんちゃい祭」で田植え体験(2018年6月)

 写真1 美咲町「棚田きんちゃい祭」で田植え体験(2018年6月)

現在、私たちが関わっているのは、美咲町大垪和地区で、現地の女性たちが運営する農村レストラン「やまっこ」の支援です。「やまっこ」では、手作りの豆腐や油揚げのほか、地元で生産された新鮮な野菜や米などを使ったお惣菜の人気が高いのですが、これまでメニューにデザートがありませんでした。年齢を問わず、多くの人に喜んでもらえるデザートを考案することが、ゼミ生たちの目下の仕事です。

写真2 「やまっこ」で「伝説の油揚げ」を作る

写真2 「やまっこ」で「伝説の油揚げ」を作る

このほか、2016年から行われている「美咲芸術世界」の支援も、私たちが力を入れている活動のひとつです。「美咲芸術世界」は、大垪和地区に移住してきたアーティスト夫婦の発案で始まったアートイベントで、これまで廃校となった小学校や神社などを会場として開催されてきました。作品の展示やミュージカルの上演のため、この夫婦はもちろん、夫婦の友人であるアーティストたちが世界各国から現地に集い、1カ月近くを費やして準備にあたります。ゼミの学生たちは、この過程を手伝うほか、イベント開催中も運営に関わります(2018年は9月23日から10月28日まで開催)。

写真3 「美咲芸術世界2018」の準備(2018年8月)

写真3 「美咲芸術世界2018」の準備(2018年8月)

これらの活動を振り返ってみると、それはある意味で、私たちにとって貴重な「異文化体験」の連続でした。田植えや稲刈りなどの農作業を初めて経験した学生の多くは、農業の楽しさと厳しさを肌で感じることとなりました。また、異なる世代や職業、人生経験をもつ人々との協働作業を通して、多様な生き方や価値観があることを学びました。とりわけ、個性豊かなアーティストたちとの出会いは、私たちの人生観を大きく変えてしまうほどの刺激あふれるものでした。さらに、「やまっこ」でいただいた油揚げやごはんの素朴な美味しさに加えて、そこで働く女性たちの親切さにすっかり魅了された者、携帯電話の電波が届かない場所で過ごす時間がもどかしく、自分がいかに「IT社会」にどっぷりとはまって生活しているかを痛感した者もいます。これらはいずれも、通常の大学生活では得がたい経験であり、美咲町での活動は、私たちの視野を広げ、新たな自分を「発掘」する、かけがえのない機会なのです。
だから、フィールドワークはやめられません。身近な「異文化体験」を、見直してみませんか。

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